芝の 病害は、 症状が 出てから 薬剤を 使えば 元どおりに 治る?
病害・発症後回復
まず答え
必ずしも治りません。薬剤で病原体の活動を抑えられても、すでに枯れた葉や根が元へ戻るわけではなく、病害によっては発症後の薬剤効果が乏しいこともあります。まず原因を診断し、必要な防除と生育環境の改善を行い、生き残った芝の再生や播種・張芝などで回復させます。
詳しい解説
芝に病斑や枯れ込みが出た後で薬剤を使っても、必ず元どおりに戻るわけではありません。病害管理では『病原体を止めること』と『傷んだ芝面を回復させること』を分けて考える必要があります。
まず重要なのは診断です。似た見た目でも原因が真菌、細菌、過湿、暑熱、薬害などで違えば対処も変わります。USGAは細菌性萎凋について、治療用の薬剤がなく、原因を確認したうえで制御できるストレスを減らし、健全な芝を保つことが中心になると説明しています。つまり、症状を見ただけで殺菌剤を選ぶ方法では対応できない病害もあります。
真菌病害でも、発症後の散布が常に回復へ直結するとは限りません。USGAのテイクオールルートロット解説では、症状が確認された時点では病原体の活動期を過ぎており、治療的な殺菌剤散布が短期的にうまくいかない場合があるとされています。フェアリーリングでも、症状が出てからの薬剤は菌を抑えても、すでに変化した土壌状態や症状をすぐ元へ戻す効果は小さいと報告されています。
病原体の活動を抑えた後は、芝自体の回復が必要です。生き残った株が再生できる状態なら、水分、通気、肥培、刈高などを回復に適した条件へ整えます。損傷が大きく裸地になった場所では、自然回復を待つより、播種、張芝、健全部からのプラグ移植などが必要になることがあります。USGAも小規模なグリーン損傷では、健全な芝を使って傷んだ部分を小さく分散させることで回復を早める方法を紹介しています。
したがって発症後は、①原因を診断する、②病原体が今も活動しているかを確認する、③必要なら病害に合う防除を行う、④過湿・通気不足・栄養・暑熱など回復を妨げる条件を直す、⑤枯死部は再生・播種・張芝などで面を戻す、という順で考えます。『薬剤をまけば枯れた芝が治る』ではなく、病原体の制御と芝面の再生は別工程です。