沿岸の ゴルフ場は、 高潮や 海面上昇に どう 備えるの?
沿岸・気候変動対策
まず答え
海岸線の後退、浸水範囲、塩分の侵入を継続的に測り、危険度に応じた対策を段階的に準備します。低地のかさ上げや排水・塩害対策、砂丘など自然地形の管理で時間を稼ぎ、将来の危険域に入るグリーンやティーは内陸へ移す計画まで事前に持っておくのが基本です。
詳しい解説
沿岸のゴルフ場では、高潮や海面上昇への対策を「被害が出てから復旧する作業」だけにしないことが重要です。海岸線の後退、高潮で浸水する範囲、地下水や灌漑水への塩分侵入などを継続して測り、どの水準になったら次の対策へ進むかをあらかじめ決めておきます。
R&AのGolf Course 2030で作成されたFormbyの沿岸管理計画では、将来の海面上昇と嵐によって海岸侵食が強まる可能性を見込み、侵食予測を毎年見直しながら段階的に対応する「decision pathway」の考え方を採用しています。短期的には砂丘など海岸地形の管理を続けつつ、将来危険になる9番グリーンや10番ティーを内陸へ移せる新しいルーティングを事前に準備し、必要な時点で切り替えられるようにしています。
浸水や塩害への備えも必要です。USGAは、高潮や大潮で塩水が入る沿岸コースでは、灌漑水や土壌の塩分を電気伝導度などで確認すること、低い場所をかさ上げすること、塩分が残った場合は淡水で洗い流すこと、繰り返し浸水する区域では耐塩性の高い芝を検討することなどを紹介しています。つまり海面上昇対策は護岸だけではなく、水・土壌・芝・地形の管理まで含みます。
一方、海岸を硬い構造物で固定すれば必ず解決するわけではありません。R&AのFormby計画では、硬い海岸防護は砂の移動を変え、周辺海岸へ影響する可能性や技術的な難しさがあるため優先案にはしていません。場所によっては自然地形を生かしつつ、危険な施設やホールを後退させる方が長期的に合理的です。
したがって、沿岸コースの備えは、①侵食・浸水・塩分を測る、②短期の排水・塩害・地形対策を行う、③将来の危険域を予測する、④グリーン・ティー・施設の移設案を先に設計しておく、という段階的な計画で考えます。最適な方法は海岸の地形、法規制、自然保護、費用によって変わるため、すべてのコースに同じ護岸や移設を当てはめるものではありません。