土壌水分計の 数値が 同じなら、 同じ量を 散水していい?
灌水・土壌水分管理
あとで読む保存した記事へ →
詳しい解説
土壌水分計で同じ体積含水率が出ても、その後に必要な散水量まで同じとは限りません。水分計は、プローブを挿した場所に現在どのくらい水があるかを推定する道具です。これから何リットル補うべきかを直接表示しているわけではありません。
まず、同じ水分値でも芝がその後に失う水量が違います。日当たり、風、気温、湿度、芝種、根の深さによって蒸発散量は変わります。USGAは、土壌水分センサーの値を単独で使うのではなく、気象データや蒸発散量、現場観察と組み合わせて散水判断を行う考え方を示しています。
次に、根域の性質でも必要量は変わります。同じ体積含水率でも、砂主体の根域と有機物が多い根域では水の保持特性や利用できる水の範囲が違います。また、マウンド、低地、日陰などでは乾き方が異なるため、一つの数値をコース全体の共通基準として使うのは危険です。
さらに、『必要な水深』と『散水時間』も同じではありません。グリーンごとに面積、スプリンクラー数、ノズル、散水分布が違えば、同じ運転時間でも入る水量は変わります。手散水でも、USGAの事例では現在の水分量と当日の予想蒸発散量から必要な水深を決め、グリーン面積に応じて実際の水量へ換算しています。
水分計の使い方としては、その場所で芝が萎れ始める前の目安となる水分値を把握し、複数地点を測って乾燥の偏りを確認します。そのうえで、当日の蒸発散需要と芝の状態を見て、足りない場所へ必要量だけ補います。
つまり、水分計は『散水量を決める答え』ではなく、『今どこがどの程度乾いているかを判断する材料』です。同じ数値だから同じ量を散水するのではなく、場所ごとの水分保持とこれからの水需要まで含めて量を決めます。