ゴルフ場を 閉鎖して 太陽光発電に 変えると、 土地利用と して 何が 得で 何が 失われる?
跡地利用・太陽光発電
まず答え
得られるのは、すでに開発された広い土地を再利用して再生可能エネルギーを生産できることです。一方で、ゴルフという利用機会だけでなく、まとまった緑地が持つ雨水調整、冷却、景観、生物のすみかなどの機能を失う可能性があります。太陽光へ変えれば自動的に環境負荷が小さくなるわけではなく、造成・排水・土砂流出・景観まで比較して判断します。
詳しい解説
閉鎖したゴルフ場は、道路や管理動線、造成された地形などがすでに存在する広い土地です。そのため太陽光発電へ転用する場合、新たに自然林などを大規模に開発するより、既開発地を再利用できることが大きな利点になります。
環境省は、太陽電池発電所の環境影響評価を合理化するガイドラインで、ゴルフ場跡地を「既に開発済みの土地」の代表例として扱っています。これは、立地条件によっては自然改変の程度を抑えながら再生可能エネルギー設備を置ける可能性があるためです。土地所有者側から見れば、閉鎖後の広い土地に新たな用途と収益源を持たせられる点も利点になります。
ただし、失われるものもあります。ゴルフ場は単なる芝の競技面ではなく、樹木、池、ラフ、自然化区域などを含むまとまった緑地です。USGAが支援した研究では、ゴルフ場は周辺の住宅地や工業地より、都市の冷却、送粉者の生息地、雨水中の栄養塩保持などで高い機能を示す場合があると報告されています。コースによって差はありますが、全面的にパネル、管理道路、設備へ置き換えると、こうした機能や景観、レクリエーションの場が減る可能性があります。
太陽光発電側にも環境課題があります。環境省が2026年に公表した自然環境配慮の手引きは、太陽光発電で土砂流出、濁水、景観、生活環境への影響が問題になった事例を背景に、立地と設計段階から自然環境へ配慮する必要性を示しています。元がゴルフ場だからといって、排水路、池、斜面、樹林を大きく変えても問題ないという意味ではありません。
したがって比較するのは「ゴルフか太陽光か」だけではありません。①発電量と事業性、②新たな自然地を開発せずに済む利点、③現在の緑地・雨水・生物・景観機能、④造成や排水変更の影響、⑤地域のレクリエーションや雇用、⑥撤去後まで含めた土地利用を並べます。
条件によっては、コース全体を一律に転用せず、環境価値の高い池・樹林・湿地を残しながら発電区域を限定する方が、エネルギー利用と緑地機能を両立しやすい場合もあります。結論は、太陽光転用が常に得でも常に損でもなく、その土地で何を失い、何を新たに得るかを同じ尺度で比較して決めるべき、ということです。