ゴルフの 「鉛直軸モーメント」って 何?
地面反力・回転モーメント
まず答え
鉛直軸モーメントは、身体を上から見たときの回転を生む、上下方向の軸まわりの回転作用です。足裏のフリーモーメントだけではなく、地面反力が身体重心から離れた位置に作用して生じる回転作用も含むため、両者を同じものとして扱いません。
詳しい解説
鉛直軸モーメントは、地面に対してほぼ上下方向の軸まわりに身体を回そうとする回転作用です。ゴルフでは、骨盤や胸郭そのものの回転角ではなく、地面から受ける力が全身の回転へどのような力学的作用を与えるかを見る量です。単位は一般にN·mです。
重要なのは、鉛直軸モーメントと足裏のフリーモーメントが同じではないことです。地面反力が身体重心から離れた位置に作用すると、「力×作用腕」による回転モーメントが生じます。これに加え、足と地面の接触面そのものには鉛直軸まわりのねじり作用であるフリーモーメントも生じます。どちらも鉛直軸回転に寄与し得ますが、計算上は別の成分です。 鉛直軸成分を計算する場合、基準点から作用点への位置をr、地面反力をFとすれば、反力の寄与はrₓFᵧ−rᵧFₓです。垂直地面反力だけでは、鉛直軸まわりのモーメントは生じません。
Hanらは熟練男性63人のドライバー・5番アイアン・ピッチングウェッジを測定し、地面反力によるモーメントと接地面のピボットモーメントを分けて解析しました。主要成分として、前後方向の軸まわりの地面反力モーメントと、鉛直軸まわりのピボットモーメントを報告しています。異なる軸のモーメントをひとまとめにして『鉛直軸回転の力』と読まないことが重要です。
Petersonらは高度熟練者11人で6番アイアンとドライバーを比較し、左右脚の水平地面反力、その向き、身体重心からの作用腕を使って角インパルスを解析しました。ドライバーでは正味の角インパルスが大きく、増やし方は選手ごとに異なりました。つまり回転作用は一つの足・一つの力だけで決まるものではありません。
実用上は、①どの基準点まわりのモーメントか、②鉛直軸の正負、③左右足を別に計算したか合計したか、④地面反力によるモーメントとフリーモーメントを分けているか、⑤どのスイング局面かを確認します。数値が大きいほど良いと単独評価せず、骨盤・胸郭の回転、クラブ速度、打球結果と同じ時間軸で読みます。