ゴルフ百科事典

気候変動で、ゴルフ場そのものを移転する判断が必要になるのはどんな場合?

気候変動・適応

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まず答え

浸食や洪水が繰り返し拡大し、護岸・排水・変更などの現地対策では、技術的・環境的・経済的に長期維持できないと判断される場合です。いきなり全コース移転ではなく、危険なグリーンやティー、施設の部分移転から検討します。

詳しい解説

気候変動への対応で、最初からゴルフ場全体の移転を選ぶわけではありません。通常は、排水改善、耐塩性・耐乾燥性のある芝への変更、水管理、海岸防護、ホールの改修など、現在の敷地で適応できる方法を先に検討します。

R&AのGolf Course 2030が公開する海岸コース向け対策資料では、移転は長期的な適応策の一つとされ、サービス施設、道路、駐車場などから、必要に応じてグリーン、ティー、クラブハウス、さらにはコースの一部まで移す選択肢が示されています。

移転を本格的に検討する条件は、現在位置を守り続けることが「経済的・環境的・技術的に成立しにくい」場合です。具体的には、海岸浸食で安全な余地が年々失われる、高潮や洪水の頻度・範囲が増えて重要施設やホールが繰り返し使えなくなる、防護工事を続けても維持費が大きすぎる、あるいは防護そのものが周辺の海岸環境へ大きな負荷を与える、といった状況です。

判断には時間軸も必要です。R&A資料では、予想される浸食速度や将来の洪水頻度・範囲によって、何を移すべきか、いつまでに実行する必要があるかが変わるとしています。数十年先まで現在位置を維持できるなら段階的改修で対応できる場合がありますが、重要資産が近い将来に継続的な危険区域へ入る予測なら、故障・被災してからではなく事前移転の計画価値が高くなります。

ただし、移転には新しい土地、計画許可、費用が必要です。近隣に利用可能な土地がない場合は、物理的に移転できないこともあります。そのため「気候変動があるから移転」ではなく、①将来の浸食・洪水リスク、②現地対策の寿命と費用、③自然環境への影響、④移転可能な土地、⑤コースの歴史性やプレー価値を総合して判断します。

結論として、移転は最後の手段というより、現地を守り続けることが長期的に成立しない場所で使う計画的な適応策です。全体移転の前に、最も危険な施設やホールだけを段階的に後退させる選択肢もあります。