歴史的コースで 樹木を 伐採するのが、 景観破壊ではなく 「復元」に なるのは どんな 場合?
歴史的コース保存・修復
まず答え
後から植えられた樹木が、復元対象とする時代の設計・眺望・プレー線を隠しており、その状態を古写真や図面などで十分に確認できる場合は、伐採が復元の一部になり得ます。ただし「古いコースだから木を切る」のではなく、復元年代と証拠を先に決める必要があります。
詳しい解説
歴史的コースで木を切ることは、常に復元になるわけではありません。判断の分かれ目は、その樹木が「復元したい時代の特徴」なのか、それとも後の時代に加わって元の空間構成を変えたものなのかです。
米国国立公園局の復元基準では、復元は特定の時代の姿を正確に表すため、その時代以外に加わった特徴を取り除くことがあり得ると定義されています。一方で、復元対象の時代を先に選び、その根拠を示し、失われた特徴を戻す場合も文書や現物の証拠で裏づけることを求めています。
ゴルフコースの代表例がOakmont Country Clubです。USGAによると、Oakmontでは後年に大量の樹木が植えられ、当初の開放的な景観やホールをまたぐ眺望が失われていました。1990年代に発見された1950年の航空写真が、創設者一族の時代に近い状態を示す資料として復元の基準に使われ、その後の長期計画で1万2,600本を超える樹木が除去されました。
この場合の目的は、単に木を減らして見通しを良くすることではなく、後年の植栽で変わったコースの空間構成を、資料で確認できる過去の状態へ戻すことでした。フェアウェイの広がり、ホール間の視線、風の通り方、芝の日照条件なども変化しますが、それらは復元の結果として生じる要素で、伐採そのものを正当化する万能理由ではありません。
逆に、樹木自体が復元対象期から存在する、歴史的景観の一部になっている、生態・安全・法令上の保護対象になっている場合は、同じ考え方をそのまま適用できません。後年の変化にも歴史的価値が生まれている場合があります。
したがって、樹木伐採を「復元」と呼べるのは、①復元する年代が明確、②その年代の景観を示す航空写真・地上写真・図面などがある、③対象木が後の時代の追加だと確認できる、④除去によって戻す設計上の特徴が具体的、という条件がそろう場合です。証拠なしに昔風へ見せるための伐採は、復元とは分けて考えるべきです。