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3Dプリントは金型が不要なのに、なぜ量産クラブの主流になっていない?

3Dプリント・量産

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まず答え

金型が不要でも、1個ずつ積層する装置時間、材料費、後加工、品質確認などのコストがなくなるわけではないからです。3Dプリントは少量生産や複雑な内部構造では強みがありますが、大量生産では金型費を多数の製品へ分散できる鋳造・鍛造などが有利な場合があります。そのため、現状は「何でも3Dプリント」ではなく、設計自由度の価値がコストを上回る製品から採用が進んでいます。

詳しい解説

3Dプリントは、金型を作らずにデジタルデータから形状を作れるのが大きな利点です。しかし、「金型がない=量産コストが必ず安い」という意味ではありません。

米国国立標準技術研究所(NIST)は、積層造形について、従来製法では難しい形状や少量のカスタム生産に利点がある一方、多くのケースで製品1個あたりの製造費が従来法を上回ることがあり、装置利用料と材料費が大きなコスト要因になると整理しています。また、現時点の研究では小ロット生産で経済性を持ちやすいとしています。

量産クラブでは事情が逆になる場合があります。鋳造や鍛造は最初に金型・治具へ費用がかかっても、同じ形状を何万個も作れば、その初期費用を多数の製品へ分散できます。一方、金属3Dプリントは各ヘッドを層ごとに造形するため、造形時間、金属粉末、装置稼働、支持材除去、熱処理、表面仕上げ、寸法・強度検査などの工程が製品ごとに残ります。

それでも3Dプリントがクラブで使われる理由は、従来法では作りにくい内部構造を作れるからです。COBRAの3DP Tour Ironは、内部に3Dプリントの格子構造を設け、重量を別の場所へ再配分する設計を採用しています。つまり3Dプリントの価値は、単に金型代をなくすことより、内部形状や重量配分の自由度を増やす点にあります。

したがって現時点では、同一形状を大量に安く作る製品では従来製法が残りやすく、複雑形状、少量生産、個別設計など3Dプリントの強みが大きい領域から採用が広がると考えるのが適切です。将来、造形速度や材料費、装置費が下がれば、この境界は変わる可能性があります。