トラヴィルの違いと選び方
75・85・95・105・115の振り心地と球筋を比較
アイアンの球がグリーンに落ちても、奥へこぼれてしまう。トラヴィルは、そんな球を高さで止めたいときに試したいシャフトだ。手元のしなりを感じながら、当たり際に先だけが急に走る感触は控えめ。それでも球が上がる、という本人試打がある。
迷うのは、75・85・95・105・115のどれにするか。普段DGを使う人が105Sを選んだ例もあれば、105Sより115Sの方が球が揃った例もある。今のシャフトと近い重量を選ぶだけでは決まらない。
ここでは、5重量帯の違いを振る場面と実際の球に結びつけて比べる。軽くして振り抜くのか、重さを残して球を揃えるのか。最初に打つ二本まで絞っていこう。
国内公式仕様と、試打者本人の感触・弾道評価をもとにした比較。GOLF DNAによる全モデルの実打測定ではない。試打条件・メーカー協力の有無は末尾に記載。
切り返しではしなる。当たり際に先だけが急に走る感じは控えめ

トラヴィルの特徴が出るのは、切り返しで重さを受け止めてから、インパクトへ戻ってくるまでの間だ。フジクラは手元の剛性を抑え、先端を高剛性にした設計を採用。さらにゴム層を加えて、しなり戻りを調整している。
105Sを自分のアイアンに挿し、数ラウンド使った野村タケオは、手元から中間がゆっくりしなる一方、当たり際にヘッドが強く走る感触は少なかったと書いている。それでも球は高く、グリーンで止めやすかったという。
手元にたわみを感じるから、先も大きく動くはず。そう思って振ると、感触と実際の球の高さが結びつかないかもしれない。シャフトが戻る勢いで球をつかまえたい人は、普段のシャフトと交互に打って、フェースを戻すタイミングまで比べたい。
75・85・95・105・115。名前の数字と公表重量は少し違う
| モデル | R | S | X | トルク |
|---|---|---|---|---|
| 75 | 75.5g | 77g | 設定なし | 2.9° |
| 85 | 86.5g | 88g | 設定なし | 2.7° |
| 95 | 97g | 99g | 設定なし | 2.3° |
| 105 | 設定なし | 108g | 110g | 2.2° |
| 115 | 設定なし | 118g | 120g | 2.0° |
現行は5重量帯・10仕様。75・85・95はRとS、105・115はSとXで、調子の表記はすべて中元だ。Sで並べると77、88、99、108、118g。75から115まで41gあるので、同じSというだけでは振り応えを揃えられない。
トルクの小ささを、そのまま曲がりにくさの順位に置き換えない。まず重さを決め、その中で切り返したときのたわみと、当たり際の戻り方を確かめる方が、比較する本数を絞りやすい。
75|85でも長い番手がしんどいときに
75はR75.5g・S77g。S同士なら85から11g軽くなる。85で7番は振れていても、5番や6番になると振り遅れる、終盤はクラブを持ち上げるのがつらい。そういう場面まで含めて軽くしたいときの候補になる。
my caddie編集部は、メーカーのメディア向け試打会で75を打ち、軽量でもしっかりした感触を報告している。ただし、75と85を同じ条件で比べた高さや曲がり幅は、記事からは確認できない。75の方が必ず高くなる、という紹介にはできない。
試すときは、切り返しを急がずに振った球も見たい。軽くなって振り抜けても、普段の力加減で打点やキャリーが散るなら、85へ戻して比べる。最初に見るのは、全力で振った一球よりも、長い番手を続けて振れるかどうかだ。
85|軽く振り抜きながら、高さを確かめる
85はR86.5g・S88g。95のSより11g軽い。95でクラブを振り下ろすのに力が要るなら、85を並べると重さの負担を減らせるかが分かる。
メーカーの試打企画では、低い球が悩みだった杉山美帆が85Sを使用。自分のクラブより打ち出しが高くなり、落下角も増えた例が紹介されている。これは杉山本人の結果で、85Sが95Sより上がるという比較ではない。
自分で比べるなら、球の一番高いところだけでなく、左右の着弾も見る。95から85へ替えて高さが出ても、左へ巻く球や右へ抜ける球が増えたら、その軽さで振り出しを揃えられているかを確かめたい。
95|950GHと重さを近づけて、しなり方を替える
95はR97g・S99g。通常950GHのSは公表98gなので、数字の上ではほぼ同じ重量帯だ。950GHが重いわけではないけれど、当たり際の感触や球の落ち方を変えたい人には、まず並べやすい。公表値は番手や製品状態を揃えた装着後重量の比較ではない。
950GHから95へ替えるなら、どちらも同じSだからと決めず、切り返しでどこにしなりを感じるかを打ち比べる。先が戻る勢いを使っていた人なら、トラヴィルで球を押し出す感覚になるのか、戻りを待ちすぎて右へ出るのか。この差が選ぶ理由になる。
95から105へ上げると、Sで9g増える。95を軽く感じて手で振りにいくなら105を、105だと長い番手の当たりが薄くなるなら95を並べる。ここは100gの上下という数字より、自分の振り方が変わる境目を探したい。
105|重さを残して、ゆっくりしたしなりを使う
105はS108g・X110g。軽さを大きく取りにいくより、100g台の重量感を残しながらトラヴィルの戻り方を試す位置にある。
野村タケオの105Sの試打では、ワッグル時には張りを感じたが、振ると手元から中間のしなりを使え、打感も穏やかだった。ここでいう柔らかい打感と、シャフト全体が軟らかいことは別だ。大きくしならない感触でも、球は上がったと報告している。
一方、普段DG S400を使う「ゴルフおじさん」は、同一ヘッドで8仕様を打ち、105Sが最も振りやすく、距離も方向も揃ったという。重いスチールを使っているから115、と最初から決めない理由になる。
115|105で軽すぎるなら、もう10g残す
115はS118g・X120g。105からS同士で10g増える。105で切り返しを急いでしまう人や、重いスチールから替えると軽く感じすぎる人が、重さを残して比べる候補だ。
ゴルフのニュースのフィッティングでは、120g台後半のKBS C-TAPERを使う編集部員Kが、同じヘッドで115Sと105Sを試した。105Sでも頼りなさは感じなかったが、左右のばらつきから115Sを選んでいる。本人は115Sの振り抜きと、手に伝わる感触の柔らかさも評価した。
重い方が全員に合うわけではない。115では普通に振った球が低くなり、長い番手でキャリーが出ないなら、その重さを残す必要があるかを105で確認したい。115で振り切れることと、ラウンド後半まで同じ高さを出せることは分けて見る。
105Sより飛んだ95S。それでも105Sが選ばれた
「ゴルフおじさん」の試打は、ロフト31度の同一7番ヘッドで行われている。95Sの平均キャリーは105Sより長かったが、本人が選んだのは105Sだった。飛距離の上積みより、狙った距離へ揃うことを優先した結果だ。
| 仕様 | 平均キャリー | 飛距離のブレ | 方向性のブレ |
|---|---|---|---|
| 95S | 178.5yd | 10.2yd | 9.5yd |
| 105S | 175.7yd | 2.9yd | 4.4yd |
| 115S | 175.5yd | 4.7yd | 7.0yd |
この表を、そのままモデル別の精度ランキングにはできない。普段DG S400の打者が105Sで揃ったのに対し、先ほどのC-TAPER使用者は115Sを選んだ。重いスチールからの移行でも、どちらが合うかは実際の振り方で変わっている。
「球が高い」と「グリーンで止まる」を、一緒に確かめる
トラヴィルが狙っているのは、落下角を大きくして上からグリーンを狙う球だ。低く飛び出して奥へ転がる球が、高さを出して落ちる球へ変わるか。試打で見たいのは、最高到達点だけでなく、キャリー地点からどれだけ前へ進むかまでになる。
計測器が使えるなら、同じヘッド・ロフト・ボールで、打ち出し、最高到達点、落下角、スピン、キャリーを一緒に見る。高さが出てもスピンや着地後の転がり方まで同じとは限らないし、グリーンの硬さや受け方でも止まり方は変わる。
メーカーが公表する平均1.1度の落下角増加は、開発時にツアー選手の使用クラブと比べた結果。自分の7番でも1.1度増えるという約束ではない。40度や45度を、どの番手・どのグリーンにも通じる合格点として固定するのも避けたい。
最初は二本。重さを残すか、軽くするかで選ぶ
| 今の不満 | まず比べる二本 | 見るところ |
|---|---|---|
| 85でも長い番手が振り切れない | 75と85 | 普段の力での打点、長い番手のキャリー |
| 95では終盤に重さがつらい | 85と95 | 振り抜きと、左右の着弾の広がり |
| 950GHの重さはよいが、感触と球の高さを変えたい | 現在の950GHと95 | 切り返しのしなり、当たり際の戻り、高さ |
| 95が軽く、手で振りにいく | 95と105 | 切り返しを急がず打てるか、距離が揃うか |
| 重いスチールから替えたい | 105と115 | 重量感を残す必要と、普通に振った球の高さ |
同じヘッド・長さ・グリップの7番で比べ、よかった方を5番や6番でも打つ。7番だけ気持ちよく振れても、長い番手で高さが出ず、キャリーの間隔が詰まるなら、重さを下げる比較が必要になる。
フルショットだけでなく、少し力を抜いた球も混ぜたい。軽い方が一発の飛距離では勝っても、コースで使う力加減で距離が揃う方が、アイアンとして使いやすい。
スチールから替えるなら、打感としなりを分けて比べたい
トラヴィルを打って手に響きにくいと感じても、それだけで一段硬くする必要はない。打感が穏やかでも、切り返しや当たり際にはしっかりした支えを感じる場合がある。
今より軽くしたいのか、手元のしなりを感じたいのか、グリーンで止まる球が欲しいのか。いま困っている一つを決めて二本を並べると、75から115まで全部を打たなくても、次に比べる相手が見えてくる。
よくある疑問
トラビルとトラヴィルは同じ?
同じTRAVILを指す表記として使われている。フジクラの公式表記は「トラヴィル」。ここではアイアン用TRAVIL IRONの75・85・95・105・115を扱っている。
トラヴィルは全部で何種類?
現行の重量帯は75・85・95・105・115の5つ。75・85・95にR/S、105・115にS/Xがあり、計10仕様。2023年の試打記事は75追加前の4重量帯・8仕様を扱うものがある。
95Sと105Sは何が違う?
公式7番用重量は99gと108gで9g差。同じSでも振り応えは変わる。95Sの方が飛んでも105Sの方が距離と方向が揃った本人試打があるが、全員に同じ結果が出るという意味ではない。
重いスチールからは115を選べばいい?
105と115を並べたい。同一ヘッド試打でDG S400使用者が105Sを選んだ一方、別のC-TAPER使用者は115Sを選んでいる。重さを残したいか、少し軽くしても振り出しが揃うかを確かめよう。
軽い75や85なら、誰でも球が高くなる?
重量の軽さだけでは決まらない。楽に振れても、打点やフェースの戻り方が変わることがある。同じヘッドとボールで高さ・キャリー・左右の着弾を比べる。75が85より高いと断定できる共通条件の実測は、本記事の資料では確認していない。
トラヴィルはスチールより軟らかい?
手への響きが穏やかなことと、シャフトの硬さは別。105Sの本人試打では、柔らかい打感と、しっかりした振り心地が同時に報告されている。同じフレックス文字だけで硬さ換算はできない。
MCIと同じシャフト?
別製品。トラヴィルにも金属による重心調整を採用しているが、ゴム層によるしなり戻りの調整を加えている。メーカー特集で開発者が説明している。MCIより必ず高い、あるいは必ず硬いという順位はここでは付けない。
UTにも使える?
公式にはユーティリティ用40インチの用意がある。ただし、アイアンの7番用重量・振り心地をそのままUTの完成クラブへ当てはめない。ヘッドの差し込み条件、長さ、バランスを組む工房と確認したい。