文献研究 v1.1 · 2026年10月20日公開
RESEARCH 004 · 研究本編
グリーンを外したら、何打で上がれるのか
国内外のプロと技量別アマのアプローチ成績。
資料照合 2026年10月20日 · ゴルフの科学 · 文献・公表データによる研究

研究本編の目次
要旨
寄せワンを逃しても、次のパットを二つで収める場合と、もう一度アプローチする場合では打数が違う。本研究では、グリーン外からホールアウトまでの打数を調べるため、国内外の公式統計、実戦追跡データ、実験研究を比較した。
国内男子は2025年の公式ランキング掲載103人で、リカバリー23,814/38,428、サンドセーブ3,316/7,014だった。国内女子は2025年の公式公開データ246人のうち、規定対象92人のサンドセーブが3,243/7,613。いずれも成功数と機会数を合算したGDの再集計で、団体が公表した「ツアー平均」とは区別する。
PGA TOURの2025年公式ツアー平均はスクランブリング58.52%、サンドセーブ56.52%。LPGAの2025年公式年間一覧154人では、スクランブリング28,266/50,283=56.2138%、サンドセーブ4,778/10,808=44.2080%となった。PGAの公式平均とLPGAの掲載者再集計は対象範囲が揃っておらず、男女の技量差を示す比較ではない。
距離・ライ別の残り打数には、2003〜2010年PGA TOURデータによる10〜100ydの公表モデルを使った。一般アマは、実戦でのスコア区分・ハンディ区分別成績を比較した。競技アマには国内ナショナルチーム選手と海外メジャー決勝進出者の大会成績、チェコ上位アマのウェッジ実験がある。日本人大学生を技量別に分けた実験も扱うが、実験の着地点成功率と、実戦の寄せワン率は別の指標である。
残り打数の内訳が不明な項目については、公表成功率に仮定を加えた32通りの分布と、少数の大会実績に別集団の事前分布を借りた12通りの推計を計算した。表示した幅は仮定による差で、実測の信頼区間ではない。
寄せワン率だけでは、失敗後の打数も平均残り打数も決まらない。クラブや狙い方を比べるには、打ったあとに残る場所と、そこから上がるまでの打数が必要になる。公開された集団平均と、個人の成功確率も区別しなければならない。
本稿は2025年の国内外4ツアーの年間成績、条件別の実戦集計、実験研究を比較した文献研究である。GDが独自にショットを計測した調査や、メタ分析、査読済み論文ではない。条件付き推計の個人への予測精度は未検証である。
1.対象集団と採用資料
対象者と計測条件を下表に示す。年間成績、個別大会の成績、練習場などでの実験結果を分けて比較する。
| 対象 | 採用できたデータ | 取得状況と限界 |
|---|---|---|
| 国内男子プロ・全体 | JGTO 2025、掲載103人のリカバリー・サンドセーブの分子と分母 | 年間の掲載集団を再集計。距離・ライ別の残り打数は非収録 |
| 国内男子プロ・上位 | 同じ年間ランキングの指標別上位 | 指標で選んだ上位。世界ランキング上位や恒常的能力とは異なる |
| 国内女子プロ・全体 | JLPGA 2025、規定対象92人の掲載率。バンカーは分子・分母も一致 | サンドセーブは機会加重集計可能。リカバリーは公開JSON内の数と率が68人で一致せず、率の単純平均のみ採用 |
| 国内女子プロ・上位 | 高橋彩華のリカバリー、柏原明日架のサンドセーブ | 公式の掲載率を採用。後者は87/137まで一致 |
| 海外男子プロ・全体 | PGA TOUR 2025の公式年間平均2指標、距離・ラフ別4指標、各180人の掲載個票。過去の距離・ライ別残り打数モデル | 年間平均を取得。距離別スクランブリングと任意の位置からの2打以内率は別物 |
| 海外男子プロ・上位 | 同じ2025年年間一覧の指標別首位とシェフラー | 単年の実績。上位を事後選択した点を保持 |
| 海外女子プロ・全体 | LPGA 2025年間掲載154人の2指標を全行再集計。AIG大会個票も保持 | 年間掲載者の機会加重値。公式が表示した全ツアー平均とは呼ばない |
| 海外女子プロ・上位 | 2025年年間首位、スクランブリング220/322、サンドセーブ58/95 | 距離・ライ別通年表は取得できず、男子の条件差を借用した推計を別掲 |
| 国内競技トップアマ | 2025年JGAナショナルチームの廣吉優梨菜、NEC軽井沢72の大会個票 | 実戦のバンカー1/1。1人・1機会から集団能力を断定しない。男子の同条件値は未取得 |
| 海外競技トップアマ | 全英女子決勝進出アマ3人のバンカー4/9、チェコ上位100位内の男子10人の実験 | 女子の実戦と男子の着地実験を別系列にする |
| 国内技量別アマ | 日本人男子大学生30人、HC1〜10/11〜20/21以上の実験 | 半径5m内への初回着地。1987年公表の特定標本で、現代日本の実戦平均ではない |
| 海外技量別アマ | Golfmetrics、Arccos、Shot Scopeの原区分。距離別の寄り方、6ft以内率、FW/ラフの寄せワン | 実戦成績あり。収集年不明のデータを2025年実績や日本人実測へ変更しない |
| 大ミス・残り打数分布 | 全非パットの大ミス指標、条件付き分布32通り、少数実績推計12通り | 距離×ライ×技量別の実測分布は未取得。推計を別データに隔離 |
2.研究対象と集計方法
2.1 調べる範囲
対象はグリーン周りのチップ、ピッチ、グリーンサイドのバンカーと、50〜100ydの部分ウェッジである。次の三点を調べた。
- 距離・ライ・技量で、ホールアウトまでの打数はどう違うか。
- 同じ寄せワン率でも、失敗したときに何打かかるかで評価は変わるか。
- 外した場所や打ち方を比べるには、集団の平均に加えて、どのような個人記録が必要か。
2.2 使用資料と照合方法
公式の年間ランキング、公式サイトが統計画面の表示に使う公開JSON、公式メディアPDF、大学・学会・出版社公開の論文、データ提供者の原記事を確認した。日本語・英語で国内一般アマ、競技アマ、女子プロ、失敗分布を調べた。
JGTOは2025年の各指標3ページにわたる全掲載行を取得し、選手IDの重複、分子・分母と掲載率を照合した。JLPGAは画面用公開JSONと公開表示プログラムを確認し、画面と同じ規定対象の条件で抽出した。LPGAの大会PDFは決勝進出71人全員について、各ラウンドのバンカーの数と通算値を照合し、プロ68人とアマ3人を分けた。数字がない人を0成功・0試行と置き換えてはいない。
PGA TOURはSeason 2025、Time Period Year to Date、最終大会The RSM Classic・週末日2025-12-29の表示を採用した。6指標で各180人の公開ランキングも検算した。LPGAは2025年・大会未選択の年間表を2指標とも154人全行確認し、掲載率と分子・分母を照合した。
論文の数表はページ画像と照合し、列の対応と距離区分を確認した。Broadieの付録Table 9とGolfmetricsについても同じ手順を取った。使用した集計値と推計の入力はデータ付録に掲載した。本文を確認できない数値や、対象年が違う数値は主表から除外した。
文献検索を事前登録した網羅的レビューではない。同じ元データを使う記事や再掲PDFは、独立した標本として合算していない。
2.3 実績と推計の区分
| 区分 | 意味 |
|---|---|
| 公表実績・実験集計 | 原資料に掲載された率、回数、平均誤差。GD独自実測ではない |
| 公表モデル | 実測ショットから原著者が推定した残り打数関数 |
| GD再集計 | 公表された分子・分母や掲載率を、対象範囲を明示して計算 |
| GD条件付き推計 | 出典のある入力に、明示した追加仮定を置いて計算 |
| 仮定例 | 判断方法を説明するための仮想条件。実在選手の実績とはしない |
| 未確定 | 必要な条件がなく、一意に数値化できないもの |
3.寄せワンとスクランブリングの定義
本研究での残り打数Tは、今のグリーン外の状態からホールアウトまでに必要なストローク数である。今回の一打、続くショット、パット、必要な罰打を含む。
| 指標 | 分母と内容 | 読み替えてはいけないもの |
|---|---|---|
| 初打のグリーンヒット | 指定条件からのショットのうち、グリーンに到達した率 | 寄せワン、GIR、平均残り打数 |
| 2打以内のホールアウト | 同じ開始条件からT≤2だった率 | 必ずパーになる率 |
| スクランブリング/リカバリー | GIRしなかったホールでパー以上にまとめた率 | 任意のグリーン外の位置からT≤2となる率 |
| サンドセーブ | グリーンサイドのバンカーから2打以内で上がる率 | バンカーから一発で出る率、パーセーブ率 |
| 近接距離 | 最終停止または着地からピンまで。原典によって定義が違う | 失敗の確率や次のパット数そのもの |
| SG・ショット価値 | 同じ開始・終了状態に対する基準打数との差 | 成功確率 |
パー4の2打目を外したあとにT=4なら、そのホールは6打になる。3打目を外したあとにT=4なら7打だ。何打目から数えたかでスコアは変わるため、T≥4を一律にダブルボギー率とは呼ばない。OBや刻み直しでパーオンできなかったホールもあるため、スクランブリングと、ある位置からの2打以内率も一致しない。
4.国内外のプロの実績
4.1 国内ツアーの2025年年間成績
| 統計と集団 | GD再集計 | 対象・注意 |
|---|---|---|
| JGTO掲載103人のリカバリー | 61.9704%=23,814/38,428 | 機会加重。全出場選手を含むとは限らない |
| 同・サンドセーブ | 47.2769%=3,316/7,014 | 機会加重 |
| JLPGA規定対象92人のリカバリー掲載率 | 61.5846% | 選手を等しい重みで平均。機会加重値ではない |
| 同・サンドセーブ | 42.5982%=3,243/7,613 | 機会加重。各人の掲載率とも一致 |
成功数と機会数を合算する方法と、選手ごとの率を等しい重みで平均する方法では、結果が異なる。JGTOリカバリーは前者が61.9704%、後者が61.6341%。JLPGAのリカバリーは後者なので、JGTOの機会加重値と直接比較して男女差を検定することはできない。
国内の指標別首位は、JGTOリカバリーの砂川公佑208/299=69.5652%、JGTOサンドセーブの時松源藏39/64=60.9375%。JLPGAリカバリーの高橋彩華は掲載70.7566%、サンドセーブの柏原明日架は87/137=63.5036%だった。当該指標で首位を選んでいるため、この差を「トッププロという固定集団の能力差」とは解釈しない。JGTOリカバリー、JGTOサンドセーブ、JLPGAリカバリー、JLPGAサンドセーブ
JLPGAのリカバリーについては、公開データのrec_cntとrec_not_paron_cntの比が掲載rec_rateと92人中68人で一致しなかった。例えば佐久間朱莉の399/591は67.5127%だが、掲載率は67.8571%である。項目の集計範囲の違いかデータの不整合かは、公開説明から確定できない。掲載率を勝手に修正せず、不一致の分子・分母を再集計には用いない。個票と差分は検算記録に全件保存した。公式画面用公開データ
4.2 海外の2025年通年値
| 指標 | PGA TOUR公式ツアー平均 | LPGA年間掲載154人・GD機会加重再集計 |
|---|---|---|
| スクランブリング | 58.52% | 56.2138%=28,266/50,283 |
| サンドセーブ | 56.52% | 44.2080%=4,778/10,808 |
PGAの値は公式のTour Average欄を採用した。画面に載る180人だけで再計算するとスクランブリング48,682/81,569=59.6820%、サンドセーブ11,262/19,537=57.6445%となり、公式平均とは一致しない。掲載順位の対象と公式平均の対象が同じとは限らないため、再集計で公式平均を「訂正」しない。公式平均の全分子・分母は画面に示されていない。PGAスクランブリング、PGAサンドセーブ(両ページともSeason 2025/Year to Date、週末日2025-12-29)
LPGAの画面は全ツアー平均を表示しないため、掲載154人の成功数と機会数を足して計算した。率の単純平均ならスクランブリング55.6834%、サンドセーブ43.2342%となる。年間一覧は全出場者や全大会の全ショットを含むとは限らない。LPGA年間統計(Seasons 2025/大会未選択。条件がURLに残らないため、年度と表示内容を別途照合)
同年の指標別首位は、PGAスクランブリングのマッテオ・マナッセロ226/328=68.90%、サンドセーブのマイケル・キム93/130=71.54%。シェフラーはスクランブリング283/412=68.69%で3位、サンドセーブ56/97=57.73%で90位だった。LPGAはスクランブリングのキム・ヒョージュ220/322=68.32%、サンドセーブのミンジー・リー58/95=61.05%。一人が全指標で同じ順位になるわけではない。この首位群は指標を見て選んだ集団であり、固定した「トッププロ群」の平均ではない。
4.3 年間と大会を混ぜない
LPGA公式の2026年開幕前資料は、2025年のスクランブリング首位をキム・ヒョージュ68.32%と明記している。資料の発行年ではなく、表の対象年を採用した。これは年間上位の実績であって平均ではない。LPGA公式、PDF4ページ
同年の全英女子では、公式最終統計の決勝進出プロ68人について、バンカーの成功数を合算すると164/415=39.5181%となった。リンクスの一大会、かつ予選通過後の集団である。これをLPGA全選手の年間平均とすることも、国内女子42.5982%との差を技量差とすることもできない。公式最終統計、PDF16〜27ページ
PGA TOURの公式2025年BMW資料には過年度の詳細表も収録されている。PDF81ページの平均スクランブリング58.78%、サンドセーブ53.92%は、見出しと列を画像照合すると「2024年プレーオフ前」の値だった。2025年平均としての採用を見送った。2026年ソニーオープン前の公式資料では、2024年以降・最低75ラウンドのスクランブリング上位がシェフラー67.55%、松山英樹66.43%、金谷拓実66.36%などとされる。こちらも2025年単年へ変更しない。BMW資料、PDF81ページ、ソニー資料、PDF22ページ
これらの大会資料にある成績は、上の年間比較には加えていない。
4.4 PGA TOUR 2025の距離・ラフ別実戦成績
| 条件 | 公式ツアー平均 | 掲載180人の成功/機会 | 同180人の機会加重再集計 |
|---|---|---|---|
| 10yd未満 | 86.27% | 11,125/12,809 | 86.8530% |
| 20〜30yd | 52.05% | 6,983/13,132 | 53.1754% |
| 30yd超 | 29.50% | 3,903/12,923 | 30.2020% |
| ラフ・距離混合 | 55.97% | 16,724/29,418 | 56.8495% |
公式の20〜30ydの定義は、GIRしなかったホールで、バーディを狙うストロークの位置がピンから20〜30ydにあり、パー以上にまとめた割合である。「ラウンド中の全20〜30ydショットを無条件に集めた率」ではない。距離行とラフ行は別々の条件集計で、ラフ20〜30ydの交差セルもこの表からは分からない。10yd未満と30yd超の差を、距離を縮めたときの純粋な因果効果にも置き換えない。10yd未満、20〜30ydと定義、30yd超、ラフ(すべて2025年通年)
10〜20yd、バンカーの距離別、条件別スコアの2025年値は未確認である。全体統計と詳細ショット統計の対象大会・計測対象が一致するか不明なため、年間総数から他の距離帯を差し引く方法では補っていない。
5.距離とライで、残り打数はどう違うか
5.1 PGA TOURの距離とライ別の残り打数
BroadieのTable 9は、2003〜2010年の800万打超から、距離・ライ別の残り打数を推定した表である。下表にその値を掲載する。現在のプロの実測平均ではなく、当時のショットデータに基づく公表モデルである。
| ピンまでyd | フェアウェイ | ラフ | バンカー | リカバリー位置 |
|---|---|---|---|---|
| 10 | 2.18 | 2.34 | 2.43 | 3.45 |
| 20 | 2.40 | 2.59 | 2.53 | 3.51 |
| 30 | 2.52 | 2.70 | 2.66 | 3.57 |
| 40 | 2.60 | 2.78 | 2.82 | 3.71 |
| 50 | 2.66 | 2.87 | 2.92 | 3.79 |
| 60 | 2.70 | 2.91 | 3.15 | 3.83 |
| 70 | 2.72 | 2.93 | 3.21 | 3.84 |
| 80 | 2.75 | 2.96 | 3.24 | 3.84 |
| 90 | 2.77 | 2.99 | 3.24 | 3.82 |
| 100 | 2.80 | 3.02 | 3.23 | 3.80 |
単位はホールアウトまでの打数で、パットも含む。平均2パットを足すと二重計上になる。Recoveryは原著独自の位置区分で、ピンに近い側へ外したショットのすべてを指すわけではない。Broadie 2011、Table 9・PDF31ページ
40ydのラフは2.78打、60ydのフェアウェイは2.70打。近い方が、常に少ない打数で上がれるとは限らない。ただし、この差は「20yd後ろへ刻むために一打使っても得」という意味ではない。刻む一打も数える必要がある。前のショットを同じ一打で終えた場合の、残る場所の比較である。
20ydのバンカーは2.53打、ラフは2.59打だった。バンカーの方が少ない値だが、同じ選手が同じ条件でラフとバンカーを打ち比べた実験ではない。コースやライの違いを含む集計なので、バンカーを狙う方が有利だという根拠にはならない。
5.2 アマのグリーンに乗る率と残距離
Golfmetricsの20〜60ydの表では、次の成績が掲載されている。スコア区分は原著の表記を保持する。個々人のWHSハンディに換算していない。
| 原著区分 | FWからグリーンへ | ラフからグリーンへ | FWの残距離比中央値 | ラフの残距離比中央値 |
|---|---|---|---|---|
| Pro1・64〜71打の区分 | 96% | 87% | 7.3% | 12.9% |
| Pro2・72〜79打の区分 | 95% | 80% | 9.4% | 15.3% |
| Am1・70〜83打の区分 | 93% | 86% | 13.8% | 15.4% |
| Am2・84〜97打の区分 | 81% | 72% | 16.9% | 21.0% |
| Am3・表は97〜120打、本文は98〜120打 | 75% | 64% | 20.3% | 25.6% |
残距離比は、打つ前のピンまでの距離に対し、打ったあとに何割残ったかを表す。中央値だけでは大ミスの割合はわからない。また、この表のプロ区分はスコアによる分類であり、実績やランキングで選んだ「トッププロ群」ではない。Broadie 2008、Table 2・PDF7ページ
同資料のサンドセーブは、プロ50%、Am1 26%、Am2 17%、Am3 7%。バンカーの対象は0〜50ydの系列であり、50yd一点ではない。グリーンヒット表の20〜60ydとも条件が一致しないため、両者の差からパットの失敗率を作らない。
Arccosの提供元記事では、バンカー0〜25ydの2打以内率はスクラッチ34%、提供元が20ハンディと説明するbogey golferで13%。25〜50ydは27%、7%だった。別記事の18ハンディ、フェアウェイからのグリーンヒット61.75%、平均44.01ftは「40〜60yd」の集計である。表題の50ydを一点の距離と誤記しない。同記事の3ハンディとの比較対象はフェアウェイバンカーであり、グリーンサイドのバンカーに混ぜない。Arccosのバンカーの原報告、40〜60ydの原報告
5.3 一般アマの距離別・ライ別の実戦データ
Shot Scopeの公式データブックは、コース上で記録された成績を技量別に掲載している。PDF10ページの表を画像で確認した。以下の距離は元資料の区分を保持し、近接距離のm表示だけ1ft=0.3048mで換算した。
| 提供元のHC区分 | 0〜20ydからの平均近接距離・ft(約m) | 20〜40ydから・ft(約m) | 50yd以内から6ft以内に残る率 |
|---|---|---|---|
| 0 | 7.44(2.27) | 14.31(4.36) | 49.6% |
| 5 | 8.94(2.72) | 17.36(5.29) | 41.6% |
| 10 | 9.48(2.89) | 20.04(6.11) | 37.3% |
| 15 | 11.09(3.38) | 22.95(7.00) | 33.5% |
| 20 | 11.61(3.54) | 24.86(7.58) | 28.0% |
| 25 | 13.65(4.16) | 27.01(8.23) | 23.4% |
6ftは約1.83m。「そこに残る率」であって「そのパットが入る率」でも「寄せワン率」でもない。収集期間・男女比・国別構成・各セルの球数は非掲載。資料全体の3億5千万打超を各セルの分母にせず、日本の2025年実績とも呼ばない。本文のshort gameはグリーンから50yd以内と説明されており、ピンまでの距離とグリーン端までの距離を無断で統一しない。提供元PDF10ページ・印刷ページ18
同PDF11ページには0〜50ydのライ別寄せワンの図もある。
| 提供元のHC区分 | フェアウェイ | ラフ | 差・ポイント |
|---|---|---|---|
| 5 | 61% | 41% | 20 |
| 15 | 48% | 28% | 20 |
| 25 | 38% | 18% | 20 |
フェアウェイとラフでは、残距離や傾斜の内訳も異なる。差は20ポイントであり、「ラフで20%低下」ではない。同じ場所の芝だけを替えた効果とも区別する。図のHC5/15/25と、本文が別に挙げるスクラッチ69%/48%は対象が異なるため、上表には図の6セルを掲載した。提供元PDF11ページ・印刷ページ20
6.国内アマと競技トップアマの実戦と実験
6.1 日本人を技量別に分けた実験
松本芳之の研究では、日本人男子大学生のゴルフ部・サークル所属者30人を、HC1〜10、11〜20、21以上の各10人に分けた。各人が単独時と4人の観察者がいる時に、50mと70mをそれぞれ10球打つ。成功は「半径5mの円内に直接着地」であり、停止位置でもGIRでも寄せワンでもない。クラブ・サークルのハンディ区分で、現在のWHSとは扱わない。
| 技量区分 | 単独50m | 単独70m | 観察者あり50m | 観察者あり70m |
|---|---|---|---|---|
| HC1〜10 | 44% | 35% | 43% | 33% |
| HC11〜20 | 34% | 23% | 20% | 15% |
| HC21以上 | 26% | 20% | 21% | 11% |
原著Table 2の成功数平均を10球で割った値である。各条件の100球は10人が繰り返し打った結果なので、独立した100人の成績とは扱わない。上級群・単独50mの44%も、半径5m内への初回着地という課題の成功率であり、7番アイアンのグリーンオン率50%とは別の数字である。技量と観察条件の交互作用は有意ではなく、上級者だけが観察者の影響を受けにくいとは結論できない。松本1987、Table 2・誌面118ページ/PDF4ページ
6.2 国内競技上位の実戦個票
廣吉優梨菜は、2025年1月発表のJGA女子ナショナルチーム7人の一人である。同年のNEC軽井沢72では、サンドセーブ1/1、GIR42/54だった。ナショナルチーム選手の大会実績ではあるが、バンカーの機会は一つだけであり、競技トップアマ全体の成功率を表すものではない。JGAの選考発表、公式大会通算データ
6.3 海外競技上位の実戦と実験
2025全英女子の公式資料でアマチュアと明記された決勝進出者は3人。パウラ・マルティン・サンペドロ2/4、カルラ・ベルナト・エスクデル0/1、ジェネス・ウォン2/4で、サンドセーブの合計は4/9だった。これは一大会の決勝進出者の実績であり、世界トップアマ一般の44.4%という母集団推定ではない。プロ68人の39.5%より高くても、アマの方が優れているとの比較には使わない。AIG公式統計、PDF17・25・27ページ
チェコの国内ランキング100位以内から男子アマ10人を対象にしたウェッジ実験では、平均年齢22±3歳、HC1.2±3.4。芝から45・55・65・75・85mに各3球、計150球を打っている。測っているのはキャリーの着地点で、ランを含む停止位置ではない。
| 距離m | 左右の平均誤差m | 縦の平均誤差m | 半径方向の平均誤差m |
|---|---|---|---|
| 45 | 1.6 | 8.2 | 8.6 |
| 55 | 2.4 | 6.3 | 7.1 |
| 65 | 2.0 | 6.5 | 7.2 |
| 75 | 2.5 | 9.1 | 9.7 |
| 85 | 3.7 | 5.4 | 7.1 |
短い距離ほど誤差が小さくなるわけではなく、各距離で左右より縦の誤差が大きかった。原著考察には縦横の大小を逆に記した一文があるため、上表はResultsの数値とFigure 1に合わせた。この実験が測ったのは着地点の誤差であり、距離感の練習による実戦スコアの改善ではない。Brožkaら2021、Methods・Results・Figure 1・Discussion
7.大きなミスは、平均や中央値だけでは分からない
GolfmetricsのTable 3は、スクラッチ基準のショット価値が−0.8打を下回る球をawful shotと定義している。パットを除く全ショットで、Am1は1ラウンド1.9回、Am2は4.1回、Am3は9.3回。これに対応するショット価値の合計は−2.2、−4.7、−10.7打だった。グリーン周りだけの失敗率ではないので、そのままアプローチのダフリ率へ移さない。Broadie 2008、定義はPDF3ページ、Table 3は7ページ
同じ距離・ライ・技量について、ダフリ、トップ、バンカーに残る、グリーンを越える、池、OB、次のライ、T≥4が同時に分かる実戦分布は、今回の資料からは得られていない。散布図の中心部分や50%楕円から、その外側で起きる大きなミスの率は決められない。
以下では、失敗後の打数に仮定を置き、その仮定によって平均打数がどれだけ変わるかを計算する。
8.失敗後の打数を仮定した推計
8.1 寄せワン率だけでは、平均残り打数は決まらない
u=P(T≤2)、c=P(T=1)と置く。Tは正の整数なので、uだけが分かっているとき、平均の下限は3−2uであり、上限は有限に決まらない。チップインを0と仮定すると下限は3−uになる。2打で上がれなかった球が3打だったのか、7打だったのかが不明だからである。
したがって、スクラッチのバンカー0〜25yd・u=34%から「平均は2.66打」と断定することはできない。2.66打は、チップインを無視し、失敗した全ケースが3打で終わるという追加条件を置いた下限である。
8.2 公表されたバンカーの成功率を固定した32通りの分布
原報告の成功率uを変えず、失敗後の打数について次の条件を置いた。
- チップイン確率cは0とする近似。
- rは「2打以内に上がれなかった中で、4打以上かかる割合」。0、10、25、50%の4条件を計算する。
- sは「4打以上の中で5打かかる割合」。0、25%の2条件を計算する。
- 計算する打数はT=1〜5に限る。現実に起きる6打以上のケースは、この計算には含めない。
確率はP1=c、P2=u−c、P3=(1−u)(1−r)、P4=(1−u)r(1−s)、P5=(1−u)rs。平均は3−u−c+(1−u)r(1+s)となる。4つの実績入力×4つのr×2つのsで32通りを計算し、各行の確率の合計と平均を検算した。
以下はr=10%、s=0の条件付き計算である。rの10%自体は実測から推定した値ではない。
| 出典の集団とバンカーの距離 | 固定した2打以内率u | 3打となる率 | 4打以上となる率 | 推計平均T |
|---|---|---|---|---|
| スクラッチ0〜25yd | 34% | 59.4% | 6.6% | 2.726打 |
| スクラッチ25〜50yd | 27% | 65.7% | 7.3% | 2.803打 |
| 提供元20ハンディ0〜25yd | 13% | 78.3% | 8.7% | 2.957打 |
| 同25〜50yd | 7% | 83.7% | 9.3% | 3.023打 |
u=34%を変えなくても、r=0なら平均2.660打、r=50%・s=0なら2.990打、r=50%・s=25%なら3.0725打になる。失敗後の打数による計算上の違いであり、スクラッチの実測平均を3.07打と推定した結果ではない。
8.3 少数の大会実績と事前分布
バンカーの少数実績について、Beta事前分布の平均mと強さkを明示し、成功a、試行bに対して事後平均を(a+mk)/(b+k)で計算した。
事前条件は、Arccosスクラッチの0〜25yd・m=34%をk=5または20で借用する場合と、過去PGAの15ydのバンカー・m=51%をk=5で借用する場合。国・性別・距離・競技条件の一致を証明できていないため、いずれも外挿の仮定である。
| 実戦個票 | 実績a/b | 借用条件を変えた事後平均の幅 |
|---|---|---|
| 廣吉優梨菜・NEC軽井沢72 | 1/1 | 37.1〜59.2% |
| サンペドロ・全英女子 | 2/4 | 36.7〜50.6% |
| ベルナト・全英女子 | 0/1 | 28.3〜42.5% |
| ウォン・全英女子 | 2/4 | 36.7〜50.6% |
この幅は事前条件を変えたときの計算結果で、信頼区間ではない。各人の能力がこの範囲に収まる保証も、国内トップアマ全体の平均を45%とする根拠もない。実績が少ないほど、どの集団の値を事前分布に使うかで推計が大きく変わる。
8.4 PGAの条件差を借りたLPGAの参考推計
LPGAの2025年年間一覧には、距離・ラフ別のスクランブリング率がない。参考推計として、PGAの全体成績に対する条件別のオッズ差がLPGAにも当てはまると仮定した。入力は両ツアーとも年間掲載者の機会加重値に揃える。PGAの公式Tour Averageではなく、掲載者の再集計値を使う。
logit(p)=ln[p/(1−p)]、expit(x)=1/[1+exp(−x)]とすると、
LPGA条件別率 = expit(logit(LPGA年間率) + logit(PGA条件別率) − logit(PGA年間率) + δ)
基点はLPGA56.2138%、PGA59.6820%。δ=0が条件差をそのまま借りる場合で、δ=±0.25を仮定のずれを見るための幅にした。
| 条件 | LPGA参考推計・δ=0 | 仮定をずらした幅・δ=±0.25 |
|---|---|---|
| 10yd未満 | 85.1% | 81.7〜88.0% |
| 20〜30yd | 49.6% | 43.4〜55.8% |
| 30yd超 | 27.3% | 22.6〜32.5% |
| ラフ・距離混合 | 53.3% | 47.1〜59.5% |
この4行はLPGAの実測値ではない。 2025年の年間実績とPGAの条件別実績を使っているが、PGAの条件差がLPGAでも成り立つかは未検証である。コース設定、距離・ライの内訳、掲載基準の違いも調整していない。δの幅は仮定を動かした幅で、信頼区間や予測区間ではない。LPGAの条件別実績が得られれば置き換える参考値として、推計のJSONに収録した。バンカーの率やP(T≥4)には使わない。入力の出典は第4.2・4.4節、式と丸め前の値は付録Cの推計JSONに掲載している。
8.5 推計の対象外とした項目
国内一般アマの現代日本の実戦T分布、男女・国別の全距離区分、ショートサイドの一律の失敗率、ウェッジの番手を替えた因果効果は未確定である。別集団の率を当てはめても、その条件の実績や検証済み推計にはならない。条件付き推計が可能な範囲と、数値を特定できない範囲を分けた。
9.転がすか上げるか、旗を狙うか
Arccosの2023年原記事には、10ハンディのラフから20ydで、PWはLWより3ft近いという観察集計がある。本文はtypicallyと述べており、平均か中央値かを明記していない。さらに、選手はランダムにクラブを割り当てられていない。LWを選ぶ場所は、転がせない、深いラフ、必要キャリーが長い、といった難条件かもしれない。この差を、そのままPWへ替えた場合の改善量にはしない。提供元原報告
打ち方aの期待打数は、今回の1打に、各到達先の確率とそこからの残り打数の積を合計して求める。罰打を別に加算するときは、到達先の残り打数にも同じ罰打を含めない。チップインなどでホールアウトした到達先の残り打数は0打となる。
例えば、旗を狙う球Aが成功時に球Bよりg打有利だが、確率pの追加ミスでL打余計にかかる、という単純な二枝の仮定例なら、Aが有利になる条件は(1−p)g>pL、つまりp<g/(g+L)である。g=0.15打、L=1.5打なら境目は約9.1%。この0.15打や1.5打は実測値ではなく、自分の記録を入れる場所を示す例である。共通の成功率だけでクラブを決めず、失敗先も含めて比べる。
実際のショットを比べるときは、次の条件も記録する。
| 条件 | 判断で必要なこと |
|---|---|
| 転がす経路がある | 途中の芝・段差・バンカーを越えられるか |
| 高く上げる必要がある | 必要キャリーと着地点の幅、自分の縦距離の散らばり |
| ピンが近い側へ外した | 落とし所から先の余地、逆側へ行った時の次のライ |
| 長いパットを残す | 自分の距離別パット数。単純に2打と固定しない |
| ミスが池・OBへつながる | 罰打、救済、打ち直し後の位置まで計上する |
バニラピッチなど、一つの基本動作を中心に練習する方法の優劣は、今回の資料では比較していない。観察者がいるときの実験も、録画や罰を使った練習の効果を測ったものではない。
10.個人の成績を調べるための記録
10.1 一打ごとに残す項目
アプローチを打つ前の状況と、ホールアウトまでの結果を一件の記録にする。空振り、ダフリ、トップ、バンカーに残った球も含め、打ったすべての球を記録する。
| 記録 | 主な内容 |
|---|---|
| 人とラウンド | 匿名の選手ID、日、コース、練習か実戦か、技量区分とその取得法 |
| 開始状態 | 何打目、パー、ピンまで、グリーン端まで、ライ、足場の傾き |
| 制約 | 必要キャリー、落とし所の余地、障害物、上り下り、把握できれば芝・硬さ・速さ |
| 選択 | クラブ、普段の打ち方、狙った場所、転がし/ピッチ等の区分 |
| 初打の結果 | 着地と停止を区別した距離、グリーン到達、次のライ、ミス分類、罰打 |
| 完了 | 次のアプローチ数、パット数、開始状態からの総打数T |
同じ距離・ライで、P(T≤2)、平均T、P(T≥4)を比較する。寄せワンが増えなくても、4打以上かかる場面が減れば平均Tは小さくなり得る。逆に、寄せワンが増える一方で池に入る回数も増えれば、平均が悪化する場合がある。
10.2 記録の数と条件の偏り
何球あれば十分かは一律に決まらない。成功率50%付近を単純な独立二項近似で95%・±10ポイント程度に収めるには約96機会、±5ポイントなら約384機会が目安となる。ただし同じ人・同じ日に同じ場所から打つ球は独立ではない。実戦の場所、日、条件が偏れば、この球数だけで精度を保証できない。
練習で打ち方を比較するなら、同じ人が近い条件でクラブや目標を入れ替え、打つ順番も偏らせない。練習中に着地点が近くなったか、後日も同じように打てるか、実戦の打数が減ったかは、それぞれ別に確かめる必要がある。
10.3 地図や航空写真でわかること
地形図、航空写真、標高は、落とし所の広さ、障害物、外した先の候補を整理するために使える。ただし、それだけで芝の抵抗、グリーンの硬さ、当日の速さ、細かな傾斜、救済可能な位置が分かるわけではない。
個人の判断に使うには、その場所から普段の球がどこへ飛ぶか、そこに残ったとき何打かかるかという記録も必要になる。地図と公開平均だけで、その人に有利な打ち方までは決められない。
11.データの不足と比較上の制約
国内外の成績は、対象者や計測条件が揃っていない。主な制約は以下のとおりである。
- PGA TOURの2025年公式年間平均2指標と条件別4指標、LPGAの年間掲載154人の2指標を採用した。ただしPGA公式平均の全対象の分子・分母は非表示、LPGAは公式全ツアー平均ではなく掲載者の再集計である。PGAの10〜20yd・バンカーの距離別・条件別スコアは未確認。LPGAの条件別4行は別ツアーから条件差を借りた推計で、条件別の実測が揃ったわけではない。
- JLPGAリカバリーの公開数と率の関係は未解明。原資料の掲載率は採用したが、分子・分母からの機会加重平均は保留した。バンカーは一致しており、この問題を別指標へ広げていない。
- 国内一般アマの実戦、国内競技男子アマ、女子一般アマの条件別分布は未取得。1987年の男子大学生実験や海外アプリ利用者で国内人口の平均を代用しない。
- 競技アマの実戦バンカーの標本が小さい。メジャーの予選通過やツアー出場という選択も入る。国内1人と海外3人を国別対決へ加工しない。
- 次のライ、残距離の分布、失敗分類、Tの裾が同時に分かる公開データがない。推計では識別できないパラメータを明記した。実測の検証が済むまで、個人への断定的推奨に使わない。
- 企業データの総ショット数は各セルの標本数ではない。利用者選択、未記録、検出漏れ、修正、距離測定誤差、条件分類の粗さが残る。
ここで未取得としたものは、今回確認した公開資料に含まれなかった項目である。関連する研究そのものが存在しないと判断したわけではない。
12.結論
寄せワン率だけでは、アプローチからホールアウトまでの平均打数は決まらない。同じ成功率でも、失敗を3打で収める場合と、4打以上かかる場合では平均が異なる。距離やライ別の統計も、近接距離、グリーンに乗る率、ホールアウトまでの打数を区別して比較する必要がある。
公開統計には集団ごとの傾向があるが、それを個人の成功確率として使うことはできない。クラブや狙い方を比較するには、本人が普段打つ球とミスした球の行き先、その後の打数を記録しなければならない。
今後は、同じ人が近い距離・ライで打ち方を替えたとき、平均打数や4打以上かかる割合がどう変わるかを調べる必要がある。今回の文献研究では、その個人別の改善量までは検証していない。
付録A.論文比較と採用範囲
| 原典 | 標本・設計 | 本稿で使う結果 | 使わない結論 |
|---|---|---|---|
| Broadie 2011、大学公開原稿 | ShotLink 2003〜2010、800万打超から関数推定 | Table 9の距離・ライ別残り打数。Section 3.2の15・25ydの2打以内率 | 現在の日本人アマの予測値、全セルの生の実測平均 |
| Broadie 2008、Science and Golf V掲載予定稿 | 約40,000打、約500ラウンド、130人超、6コース、主に2005〜2007 | Tables 1〜3のバンカー、グリーン到達、残距離比、大ミス | スコア区分をWHSや固定トッププロ群へ変更すること |
| 松本1987、実験社会心理学研究26(2),115–123 | 日本人男子学生30人、技能3群、単独/観察、50/70m | Table 2の初回着地成功数とSD | 現代日本全体、実戦GIR、録画練習の効果 |
| Brožka・Gryc・Kotrba・Zahálka 2021、The Open Sports Sciences Journal 14 | チェコ競技上位男子10人、芝から5距離150球 | 着地点の縦横誤差、距離による違い | 最終停止位置、寄せワン、練習方法の因果効果 |
直接URLは本文各節と出典台帳に記載。BrožkaらのDOIは10.2174/1875399X02114010086。同じ論文の複数表を独立した研究として数えていない。
書誌情報:
- Broadie, M. (2011). Assessing Golfer Performance on the PGA TOUR. Columbia University公開原稿、2011年4月8日版。表紙はInterfaces掲載予定と記載。本稿が照合したのはこの版。
- Broadie, M. (2008). Assessing Golfer Performance Using Golfmetrics. Science and Golf V: Proceedings of the 2008 World Scientific Congress of Golf掲載予定の大学公開原稿。
- 松本芳之(1987)「観察者効果に関するフィールド研究―技能水準、課題難度、遂行状況の関係について」『実験社会心理学研究』26(2),115–123。
- Brožka, M., Gryc, T., Kotrba, M., & Zahálka, F. (2021). Analysing the Accuracy of Elite Amateur Golf Players during a Pre-tournament Wedge Test. The Open Sports Sciences Journal, 14. DOI:10.2174/1875399X02114010086。
付録B.集計と引用で区別したもの
| 混同しやすい点 | 本研究での扱い |
|---|---|
| Broadie 2011のラフ・バンカーの残り打数 | Table 9の10〜100yd・4状態40値を掲載 |
| 女子プロの年間成績と大会成績 | 国内年間成績、海外年間上位と個別大会の成績を区別 |
| 海外2ツアーの2025年通年値の対象範囲 | PGA公式年間平均とLPGA年間154人の分子・分母によるGD再集計を区別 |
| 条件別の実績と参考推計 | PGA2025の距離・ラフ別4指標、Shot Scopeの距離・技量・ライ別30値は公表実績。LPGA条件別は推計 |
| 国内アマと競技アマの標本 | 国内の技能別実験、国内競技選手の実戦、海外競技選手の実戦と実験を別々に掲載 |
| Arccosの50ydを一点の測定値にする | 元の40〜60ydへ訂正。FWバンカーも区別 |
| Golfmetricsバンカーの50を距離一点と混同する余地 | 0〜50ydのバンカーの成績と確認。50%はプロのサンドセーブ率 |
| 中央値や平均から大ミス率を作る | 分布を特定できない旨と、仮定別計算を分離 |
| 2025年資料に載った2007・2024年の表を当年値とする危険 | 表題・列見出し・ページ画像で年次を確認し、過年度として保持 |
付録C.データと計算
照合用の内部データは2,023レコード。同じ選手の複数指標を含み、2,023研究や2,023人の独立標本を意味しない。公開付録には、本文で比較する集計値・公表モデル・推計の入力と計算結果を抜粋した。ランキングの全個票、原資料のPDF、提供元の生ショットデータは再配布していない。
確率の値は0〜1で保存した。球数などが非公表の場合はnullとした。条件付き推計の小数点以下の桁は、個人の成績をその精度で予測できる意味ではない。第8節の式と公開付録の入力から再計算できる。
データ付録
公表データとGDの推計
本文の集計値と公表モデル、GDの条件付き推計を二つのファイルに収録しています。ランキングの全個票、原資料のPDF、生ショットデータは再配布していません。
公表値ファイルにも公表モデルが含まれるため、basisで区別します。球数非公表はnull。推計の幅は、実測の信頼区間ではありません。
出典と対象範囲
同じ原資料の別指標や別表も含みます。25件を、25の独立研究や独立標本として合算していません。
- JGTO-REC25JGTO 2025年リカバリー率
2025年掲載103人の全行から、成功数と機会数を合算。
- JGTO-SAND25JGTO 2025年サンドセーブ率
2025年掲載103人の全行から、成功数と機会数を合算。
- JLPGA25JLPGA 2025年年間スタッツ
2025年規定対象92人。リカバリーは掲載率の単純平均、サンドセーブは成功数/機会数の再集計。
- JLPGA-NEC25JLPGA 2025年NEC軽井沢72・大会通算
2025年8月15〜17日の大会通算。少数機会を通年能力としない。
- JGA-TEAM25JGA 2025年ナショナルチーム選考
2025年1月のナショナルチーム選考。競技アマの所属確認に使用。
- AIG25LPGA 2025年AIG全英女子・最終統計
2025年最終統計。決勝進出プロ68人とアマ3人を分離。一大会の成績。
- LPGA25-LEADERLPGA 2026年開幕資料に載る2025年年間首位
2026年開幕前の資料に記載された2025年年間首位。
- PGA24-SNAPSHOTPGA TOUR 2025年BMW資料・過年度表
2025年に発行された資料だが、採用対象の表は2024年プレーオフ前。
- PGA24-25-TOPPGA TOUR 2026年ソニー資料・2024年以降の成績
2024年以降、最低75ラウンドの上位。2025年単年とは区別。
- BROADIE11Broadie 2011年公開稿・PGA TOURの残り打数モデル
2011年4月8日の公開稿。2003〜2010年のデータから推定したTable 9。現在の実測平均ではない。
- BROADIE08Broadie 2008年公開稿・Golfmetrics
主に2005〜2007年のGolfmetrics。原著のスコア区分をWHSへ換算しない。
- MATSUMOTO87松本芳之 1987年・観察者効果に関するフィールド研究
日本人男子学生30人の実験。初回着地の成功率であり、実戦のGIRや寄せワンではない。
- BROZKA21Brožkaほか 2021年・上位アマのウェッジ実験
チェコ国内上位100位内の男子10人・150球。キャリー着地点の実験。
- ARCCOS20-SANDArccos 2020年公表・砂と部分ウェッジ
2020年公表。バンカーの距離は0〜25/25〜50yd。観測期間と区分ごとの球数は非公表。
- ARCCOS17-WEDGEArccos 2017年公表・40〜60ydのショット
2017年公表。距離は一点の50ydではなく40〜60yd帯。
- ARCCOS23-LOFTArccos 2023年公表・グリーン周りのロフト比較
2023年公表。クラブ選択が異なる観察集計で、打ち替えの因果効果ではない。
- PGA25-130PGA TOUR 2025年スクランブリング
Season 2025/Year to Date/The RSM Classic/週末日2025-12-29。公式平均と掲載180人の再集計は別。
- PGA25-111PGA TOUR 2025年サンドセーブ
Season 2025/Year to Date/The RSM Classic/週末日2025-12-29。公式平均と掲載180人の再集計は別。
- PGA25-363PGA TOUR 2025年ラフからのスクランブリング
Season 2025/Year to Date/The RSM Classic/週末日2025-12-29。公式平均と掲載180人の再集計は別。
- PGA25-366PGA TOUR 2025年30yd超
Season 2025/Year to Date/The RSM Classic/週末日2025-12-29。公式平均と掲載180人の再集計は別。
- PGA25-367PGA TOUR 2025年20〜30yd
Season 2025/Year to Date/The RSM Classic/週末日2025-12-29。公式平均と掲載180人の再集計は別。
- PGA25-369PGA TOUR 2025年10yd未満
Season 2025/Year to Date/The RSM Classic/週末日2025-12-29。公式平均と掲載180人の再集計は別。
- LPGA25-SANDLPGA 2025年サンドセーブ年間一覧
Seasons 2025/大会未選択。年間掲載154人の分子・分母から再集計。
- LPGA25-RECLPGA 2025年スクランブリング年間一覧
Seasons 2025/大会未選択。年間掲載154人の分子・分母から再集計。
- SHOTSCOPE-BOOKLETShot Scope Data Booklet・技量別実戦集計
PDF10〜11ページ(印刷18・20)。実戦集計。観測期間・区分ごとの球数は非公表。