公表資料・保険と保証の条件調査 · 2026年10月30日公開
ゴルフ保険・付帯補償・事故と賠償の調査レポート
保険料と業界収支、既契約・カードの補償、用品保証、更新制限、判決と事故統計を原資料から確認する。

調査の対象と、今回確認できた変化
本調査は日本のゴルフに関わる保険と事故の補償を対象にした。個人向けのゴルファー保険、国内旅行型の商品、団体契約の例、ゴルフ場の設備責任、従業員の労災を調べた。保険会社の現行商品ページだけでなく、契約始期別の約款と旧パンフレット、裁判所の判決原文、損保協会のADR資料、事故調査の原資料を保存した。確認日は2026年10月30日。
複数年の変化として確認できたのは、三井住友海上の2023年1月〜2025年9月始期用と2025年10月以降始期用の料金・補償、楽天が公表した2026年11月始期からの料金、東京海上日動の2026年10月のホールインワン費用に関する改定である。労災の件数は2008〜2024年の同一資料の遡及表を用いた。
保険料、判決で命じた賠償、保険会社の支払事例は、それぞれ違う金額である。本稿では数字の性質を各図表に記し、利用者が請求される修理代と受け取る給付も区別した。
カード会員向けの団体補償、自動車・火災保険の個人賠償特約、ショッピング保険、メーカー・工房保証まで調査範囲を広げた。商品単体の料金に加え、既契約から補える部分、残る損害、更新後の扱い、保険会社の全体収支を記載する。
けが、賠償、道具、お祝い。支払う理由は4つある
他人への賠償
法律上の賠償責任打球で人を負傷させた、他人の物を壊した。過失や損害額を確かめる。
自分のけが
入院・通院等の給付入院日額など、選んだ条件に沿う。治療費の全額精算とは限らない。
用品の損害
修理費・時価等補償場所、破損か盗難か、自己負担、1点上限を確かめる。
ホールインワン
祝いに使った費用達成の証明と実際の支出が必要。達成しただけの賞金ではない。
全国のゴルフ保険市場はいくらか
日本損害保険協会のファクトブック2026で主要指標の分類を確認した。ただ、今回照合した公表資料からは、個人向け・団体向け・旅行型のゴルフ補償を横断した国内保険料総額、契約者数、ゴルフだけの保険金総額を確定できなかった。
「傷害保険」「賠償責任」など、より広い分類にはゴルフ以外が含まれる。旅行型の一部の補償、住まいの保険等に付く個人賠償特約、施設側の契約もあり、商品名がゴルフである契約だけ足しても範囲が揃わない。
そのため、損保全体の数字をゴルフ市場規模として引用することも、ゴルフ人口に仮の加入率と年額を掛けて実測市場額とすることも避けた。確認できる会社の料金、補償、契約経路、個別支払の金額から、商売と負担の中身を追う。
資料 [24]
販売窓口と引受会社、事故の確認先
楽天のゴルフ保険ページは、取扱代理店を楽天インシュアランスプランニング、引受保険会社を楽天損害保険と表示している。申込みの入口が大きなブランドのサイトでも、契約を引き受ける法人と同一とは限らない。
東京海上日動の商品ページには同社の商品説明と代理店を通す申込み経路がある。JP損保サービスの資料は、団体の加入者に向けた契約案内である。窓口を比べるときは、個人向けの誰でも申し込める例なのか、加入資格のある団体向けなのかも確かめる。
事故後の確認には、現場の状況を知るゴルフ場や目撃者、傷害を示す医療資料、物損を示す修理見積などが関わる。保険会社が確認するのは、事故の発生、損害、法律上の責任、そしてその事故が契約の対象に入るかである。代理店の手数料率やゴルフ商品単独の利益率は、今回の資料では開示を確認できていない。
保険を売る人、引き受ける人、請求を調べる人
契約する人・団体
年契約、旅行型の短期契約、勤務先等を通す団体契約。加入経路で条件が違う。
代理店・販売窓口
見積・申込等を扱う。楽天の窓口ページは代理店と引受保険会社を明示している。
引受保険会社
約款と契約に基づき事故を受け付け、損害・責任・証明を確認し、保険金を支払う。
事故の関係先
ゴルフ場の事故記録、医療資料、修理見積、目撃者、必要に応じた調査や交渉が請求を支える。
4つの補償は、請求の計算方法も異なる
賠償責任は、他人にけがをさせたり、他人の物を壊したりして法律上の賠償責任を負った場合の補償である。限度1億円は、その事故で必ず1億円を払うという額ではない。損害と責任が確認され、限度と約款に沿って支払われる。
自分の傷害は、死亡・後遺障害保険金額、入院・通院日額、所定の手術給付等で示す商品がある。治療費の領収書を合計して、その額すべてを賠償責任から受け取る仕組みとは違う。
用品は修理費や時価等を基にする。ホールインワン等の費用は、所定の達成と証明があり、対象のお祝い費用を実際に負担した場合の補償となる。「けが・用品・お祝いを全部付けた保険」と「賠償を中心にした契約例」は、広告の年額だけでは比較しきれない。
保険会社の収支:損害率と事業費率を確認する
日本損害保険協会のファクトブック2026は、2025年度の損害率61.0%、事業費率31.2%を示す。前年度は64.1%、31.9%。損害率は正味支払保険金と損害調査費を正味収入保険料で割った割合、事業費率は募集や契約の維持管理等の費用の割合である。
単純合計は2024年度96.0%、2025年度92.2%となる。ここでは全種目・協会会員会社の計数を使った。ゴルフ保険だけの収益は切り出せず、100%からの差を純利益率として表示することもしていない。準備金、期間対応、運用等を含む会社の利益計算とは異なる。
料金と引受条件は会社の収支に関わる。自己負担や支払限度、対象者、対象事故を変えれば会社が負担する範囲も変わる。団体資料で確認できた割引と損害率割増、改定時の値上げ、更新制限を、同じ商品の経過として確認する。ただし、特定個人を断った理由やゴルフ単独の採算を、全体指標から推定していない。
損保全体では、保険料に対する保険金等と経費はどう動いたか
2024年度
単純合計 96.0%
2025年度
単純合計 92.2%
自動車・火災保険の個人賠償責任特約を使う経路
損保ジャパンのTHE クルマの保険は、個人賠償責任特約を追加できる。本人、配偶者、同居親族、別居の未婚の子等が、日常生活の偶然な事故で他人にけがや物損を負わせ、法律上の賠償責任を負った場合等を対象とする。国内無制限、国外1事故1億円、国内の所定条件で示談交渉を行うと説明する。
2020年10月の改定発表では、2021年1月以降始期の対象自動車・火災・傷害保険等で、受託品損壊等を対象へ追加するとした。例にはゴルフ場敷地内で使用中のカート自体の損壊がある。火災保険の現行FAQも、場内のカート使用による所定の賠償を対象としている。
自動車保険の対人賠償や人身傷害と、個人賠償責任特約は項目が異なる。契約名が自動車保険だから車以外では使えないと決めつけず、付けた特約を見る。一方、この特約に本人の傷害や自己所有のクラブ損害が自動的に加わるわけではない。
個人賠償を使った後の等級と、契約を続けられるか
損保ジャパンの現行FAQは、個人賠償責任特約のみを使った事故を、ノンフリート等級が下がらないノーカウント事故の例に挙げる。車両保険の盗難事故等とは扱いが異なる。1年超の契約では取扱いが異なることがあるとも注記している。
この説明から確認できるのは、当該特約のみを使った場合等の等級の扱いである。毎年の料率改定や契約内容の変更、更新の引受判断まで固定すると読むことはできない。等級が下がらないことと、保険料が何年も変わらないこと、必ず更新できることはそれぞれ異なる。
ゴルフ保険を断られた人が、自動車・火災保険の特約なら必ず新規追加できるとの資料は確認していない。既契約で有効な補償を利用する場合と、新たな審査・変更を求める場合を区別した。
カード付帯のゴルフ保険:券種別の上限
三井住友カードの重要事項PDF2・4ページと商品ページを照合した。ゴルフ安心プランの賠償限度は、一般・ゴールドNL等の区分20万円、ゴールド・プラチナプリファード等5,000万円、プラチナ等1億円。用品は3万・5万・10万円、ホールインワン費用は上位区分の10万円で、残る2区分は付いていない。
同じ発行会社のゴールドでも、ゴールドNLと別区分になる。正式な券種、家族会員、選択したプランまで対応させて転記した。日常生活安心プランの個人賠償上限を、ゴルフ安心プランの上限と混同することも避けた。
同じ3万円の用品枠でも、場所や盗難・破損の条件がある。自宅保管、置き忘れ、機能を損なわない外観傷等は、対象外条件を照合する。保険料不要はカード会員向けサービスの表示であり、カード年会費まで含むゼロ費用の新規加入を意味しない。
カード付帯の選択、開始日、2026年の改定
三井住友カードの選べる無料保険は、旅行安心プランを初期設定にしており、ゴルフ安心プラン等は対象会員が選択する。重要事項では毎月20日を締切とし、締切後翌月1日午前0時から1年が補償期間となる。カードの切替えには別の引継ぎ規定がある。
プランを選ぶことで他のプランの補償も変わるため、旅行用の保険を別に持つかという判断も生じる。持っているだけで全プランが同時に有効になる制度としては記載していない。
2026年4月16日以降補償開始では、ゴルフ場敷地内で自分が運転等をしていたカート自体の損壊を対象へ追加した。商品ページの旧カート除外の文言をそのまま採らず、改定案内と照合した。4月15日以前に始まった補償は1年間の満了まで旧条件のため、カレンダー上の現在日だけでは新旧を決められない。
カードの補償は、プランを選ぶ時期と開始日も確認する
対象カードと現在のプラン
三井住友カードの選べる無料保険は、初期設定が旅行安心プラン。ゴルフを選んでいるか確認。
締切と補償開始
重要事項では毎月20日が選択締切、締切後の翌月1日午前0時から1年間。
他のプランへの影響
選択したプランが対象になる。同じカードで旅行・ゴルフなど全プランが同時に付く仕組みではない。
改定前後の契約
2026年4月16日以降補償開始から借用カート損壊を追加。それ以前に始まった分は満了まで旧条件。
JCBザ・クラスのゴルフ補償と国内旅行保険
JCBザ・クラスの公式案内は、保険料不要のゴルファー保険として、賠償1億円、用品5万円、ホールインワン費用10万円、死亡・後遺障害100万円、入院日額1,500円、通院日額1,000円を掲載する。対象はザ・クラスの本会員・家族会員で、引受会社は損保ジャパン。会員専用ページからの申込みを案内している。
これをJCBゴールドなどへ一律に適用していない。同じJCBの国内旅行傷害保険は別制度で、対象のカード決済と、公共交通乗用具搭乗中、宿泊中の火災・爆発、宿泊付き募集型企画旅行参加中等の傷害事故を定める。
例えば、私用車で日帰りのラウンドへ行ってプレー中に転んだ場合、国内旅行に出たという理由だけでは、この国内旅行傷害の列挙条件を満たさない。ゴルフ向けの付帯保険、旅行傷害、ショッピング保険は、同じカードに関係していても別々に読む。
ショッピング保険:購入日、支払方法、物品と事故を照合
JCBゴールドのショッピングガードは、当該カードで買った対象物の購入から90日以内の偶然な損害を、年間500万円、自己負担1事故3,000円等の条件で案内する。物品・事故の除外があるため、ゴルフ用品なら何でも無条件に買い替えられるとは扱わない。
三井住友カードの例は、購入日と翌日から200日間、自己負担1事故3,000円。ゴールド等の対象区分では国内・海外の利用を対象とする一方、一般区分では国内リボ・3回以上の分割等の条件がある。一般NLなど、同社でもお買物安心保険が付かないカードがある。
既に持つ対象カードで買った直後の損害には確認の余地があるが、長年使うクラブの事故を無期限に置き換えるものではない。保険のためだけに利息や手数料のある支払へ変える判断も、本稿からは勧めていない。購入時の支払記録と事故原因を確認する。
買物保険と保証は、期間だけでなく対象が違う
| 制度の例 | 期間 | 対象・主な条件 |
|---|---|---|
| JCBゴールドのショッピングガード | 購入から90日 | 当該カードで買った対象物の偶然な損害。自己負担3,000円。 |
| 三井住友カードの対象カードのお買物安心保険 | 購入日と翌日から200日間 | 対象カード・支払方法、物品・事故等の条件。自己負担3,000円。 |
| ブリヂストンのメーカー保証 | 購入から2年 | 通常使用での製品不具合。保証書・改造等の条件。 |
| GOLF CITYの作業保証 | 引渡しから3カ月 | 自店の部品交換・修理箇所の不具合に対する所定保証。 |
メーカー保証と、工房で行った作業の保証
ブリヂストンの現行FAQは、購入後2年以内で通常使用において製品上の不具合があれば保証対象とし、保証書の欠落、他社での修理・改造、使用上の問題等では有償になる場合があるとする。有償のヘッド・シャフト交換では、交換部品に新たに2年の保証があるという案内もある。
GDOの修理案内は、メーカー対応が受けられないUS仕様・中古・自身でリシャフトやライ角調整等を施した改造品について、保証対象外かつ依頼自体を受けられないと説明する。販売店による受付条件の例として採用し、業界全店の規定にはしていない。
GOLF CITYの保証は、受渡しから3カ月、自店で行った部品交換・修理箇所の不具合についての所定の部品代・工賃を扱う。作業箇所以外の故障、他店での分解、クラブが使えない間のプレー料金等には除外がある。製品の品質保証、作業保証、偶然な事故の保険を同じ契約にはしない。

買物保険と保証は、期間だけでなく対象が違う
| 制度の例 | 期間 | 対象・主な条件 |
|---|---|---|
| JCBゴールドのショッピングガード | 購入から90日 | 当該カードで買った対象物の偶然な損害。自己負担3,000円。 |
| 三井住友カードの対象カードのお買物安心保険 | 購入日と翌日から200日間 | 対象カード・支払方法、物品・事故等の条件。自己負担3,000円。 |
| ブリヂストンのメーカー保証 | 購入から2年 | 通常使用での製品不具合。保証書・改造等の条件。 |
| GOLF CITYの作業保証 | 引渡しから3カ月 | 自店の部品交換・修理箇所の不具合に対する所定保証。 |
古い保証サービスを、現在の選択肢に数えない
ゴルフパートナーの過去の店舗記事には、中古クラブの破損・盗難を補うW安心保証の説明が検索で残っている。一方、同社は2015年2月26日、2008年から提供したこのサービスを2015年3月末で終了すると公式に告知している。
今回は終了告知を確認し、新規に使える保証の候補から除いた。昔の商品説明や店舗記事を読めることと、いま契約できることは違う。カードの改定前条件、古い販売保証、過年度の保険料も同じ手順で現行・旧版を区別する。
資料 [39]
組合せモデルと、自己負担として残す金額
モデルの一つは、有効な個人賠償特約で他人への責任を備え、既に選択したカードの用品補償で一定額を補い、超過分を自己資金で持つ形である。別のモデルは、購入直後は対象の買物保険を確認し、その期間後の用品破損に備えて修理予算を確保する形だ。どちらも本人の傷害・休業、HIO、借用カート等を別に確認する。
用品限度3万円で認定損害10万円なら、少なくとも7万円が上限を超える。賠償20万円だけで元本10,468,367円の損害を補うと仮定すれば、10,268,367円が限度を超える。限度だけを差し引く説明用計算で、当時の裁判でそのカード保険が使われたという事実ではない。
既契約の保険料やカード年会費をすでに負担し、補償が有効で変更費用等もなければ、組合せに新たな保険料が生じない場合はある。追加費用がないことと十分な補償であることは異なる。既契約の有効性・上限・期間を確認した上で残額を選ぶ比較であり、個人の引受審査を省略した加入提案にはしていない。
既存の契約を組み合わせた場合に残るもの
| 組合せの例 | 確保する補償 | 残りを確認する箇所 |
|---|---|---|
| 有効な個人賠償特約+カードの用品補償 | 他人への賠償と所定の用品損害 | 自分のけが、用品の超過、HIO、カート・家族の範囲 |
| 有効な個人賠償特約+購入後の買物保険+修理の自己資金 | 賠償と、対象購入品の一定期間の損害 | 購入期間後の用品事故、自分の傷害・休業、HIO等 |
| 既に持つJCBザ・クラスのゴルフ補償 | 表示された賠償・本人傷害・用品・HIO | 登録と開始条件、用品5万円等の限度、日額給付と実際の損害の差 |
補償の上限を超えると、残る金額は大きい
| 条件を単純化した例 | 対象の限度 | 上限を超える部分 |
|---|---|---|
| 用品の認定損害10万円を、用品3万円枠だけで補う | 3万円 | 少なくとも7万円 |
| 打球判決の元本10,468,367円を、賠償20万円枠だけで補うと仮定 | 20万円 | 10,268,367円 |
何を補いたいかで、使う保険・保証が変わる
| 備えたい損害 | 既契約から探す先 | 特に確認すること |
|---|---|---|
| 他人への賠償 | 自動車・火災保険の個人賠償特約/カードのゴルフ補償 | 本人・家族、上限、借用カート、国内外、示談 |
| 自分のけが | 既存の医療・傷害保険/傷害付きのカード・専用保険 | 事故・場所、給付条件、休業収入まで含むか |
| クラブ等の損害 | カードの用品・買物補償/メーカー・工房保証 | 購入日、原因、改造、修理額と自己負担 |
| ホールインワン等の費用 | 対象カードのゴルフ補償/専用保険/自分の予算 | 付帯の有無、上限、目撃等の証明、対象支出 |
三井住友海上の旧版・新版を同じプラン名で照合
旧版の対象は2023年1月1日〜2025年9月30日始期。新版は2025年10月1日以降始期である。両方のパンフレットのPDF2ページにあるA・B・Cの契約例を転記した。
年額の変化はAが2,620円→3,820円(1,200円増)、Bが8,950円→11,160円(2,210円増)、Cが13,200円→15,880円(2,680円増)。旧額を分母とすると45.8%、24.7%、20.3%の上昇となる。
賠償限度はA1億円、B・C2億円で、用品は20万・25万・30万円、ホールインワン費用はAなし、B30万、C50万円と、掲載された主要な限度額は旧新で同じだった。一方、改定案内は借用カート自体の損壊を対象へ追加している。比較表の限度額が同じことを、補償条件が完全に同一である根拠にはできない。
旧版の適用期間には複数の暦年が含まれる。2023年、2024年、2025年を別々に調べた市場平均として線を引かず、契約始期の適用窓を表示した。
三井住友海上:保険料とカート損壊の補償が変わった
同じ会社のA・B・Cでも、入っている補償が違う
| 三井住友海上・2025年10月以降 | A | B | C |
|---|---|---|---|
| 年額保険料 | 3,820円 | 11,160円 | 15,880円 |
| 賠償上限 | 1億円 | 2億円 | 2億円 |
| 死亡・後遺障害 | 400万円 | 500万円 | 500万円 |
| 入院日額 | 4,000円 | 6,000円 | 6,000円 |
| 通院日額 | 2,000円 | 3,000円 | 3,000円 |
| 用品上限 | 20万円 | 25万円 | 30万円 |
| ホールインワン費用 | なし | 30万円 | 50万円 |
楽天の2026年11月改定:年額と適用前後を明記
公式の料金表は、2026年11月1日以降始期の年額をゴールド4,350円、プラチナ5,740円、ダイヤモンド8,280円とする。注記に、10月31日以前始期では3,850円、5,260円、7,570円と載っている。差は500円、480円、710円。旧額比の上昇率は13.0%、9.1%、9.4%となる。
調査日には旧料金の始期条件もまだ残っている。新料金だけを「現在の保険料」と書くと、10月30日時点の事実と適用日がずれる。図では新旧を併記した。
3タイプとも表示の賠償上限は1億円。用品限度は20万・20万・30万円、自己負担はいずれも1万円。ホールインワン費用は10万・20万・30万円、通院日額はゴールドなし、プラチナ1,000円、ダイヤモンド2,000円である。料金改定の理由や約款全項目の新旧差は、このページの料金表だけからは説明できない。
資料 [8]
楽天:2026年11月始期からの料金も公表されている
au損保の短期型:旅行の期間と携行品の条件
au損保の商品ページは、日帰り・1泊2日をブロンズ428円、シルバー693円、ゴールド1,051円と表示する。2泊3日・3泊4日は530円、857円、1,303円。年額契約を月単位に割った料金ではなく、選んだ旅行期間の保険料である。
賠償責任限度はブロンズ5,000万円、シルバー8,000万円、ゴールド1億円。携行品限度は10万・20万・30万円で、自己負担3,000円、1個・1組・1対10万円までという制限がある。ホールインワン費用限度は10万・20万・30万円。
対象となる人は指定した本人のみ。重要事項説明書は、国内旅行中を住居出発から帰着までの行程と定義する。契約の成立前に起きた事故を、後から申込みで埋めることはできない。年契約との費用比較に加え、出発前の手続と対象期間を管理する負担もある。
移動中のけがと、ゴルフ場内のけが
三井住友海上のゴルファー傷害は、ゴルフ場・練習場敷地内での練習・競技・指導中等を対象として案内する。パンフレットには、プレー後に帰宅途中でけがをした例が対象外として載る。
au損保は国内旅行型で、住居を出発してから帰着する旅行行程が対象となる。対象区間を比べると、自宅からコースまでを含むかという違いがある。ただし、旅行区間の中なら病気、すべての私物、すべての損失が同時に補償されるという意味ではない。
同じ一日のラウンドでも、どの場面からどの補償が始まるかが違うため、年額を短期料金で割った回数だけで選択を決めることはできない。
カート車体の損壊:2025年の三井住友海上改定
同社の旧パンフレットは、ゴルフ場のカートに損害を与えた例を、保険金を支払わない例に載せていた。2025年10月改定の案内は、これまで対象外だった「ゴルフカート自体の損害」について、ゴルフ場敷地内で生じたものを賠償責任補償特約の対象へ加えると説明する。
この変更は、人にぶつけた場合の賠償と、借りた車体の修理費を分けて読むと理解しやすい。他人の所有物を壊した事故でも、預かった物や借りた物には別の規定がある。
新版で車体損壊の対象が増えても、借りた物すべてが同時に対象になるわけではない。新版の支払わない例には、友人から借りたゴルフクラブを折ったケースが残る。カートの扱いが変わったことを、借用品全般の一律拡大と解釈していない。
カート車体の損壊:会社をまたいだ比較
損保ジャパンは「THE カラダの保険・ゴルファープラン」のFAQで、カートの使用で他人にけがをさせたり他人の物を壊した場合に加え、カート自体の損害も補償されると説明している。この説明は商品名が特定されたものなので、同社の別商品の約款や昔のゴルファー保険へ流用しなかった。
楽天のページは、ゴルフ場から借りたカート自体に与えた損害を対象外としている。対人・対物の賠償限度1億円が表示されていても、それだけでは借用車体の修理費まで含むと判断できない。
JP損保サービスの団体契約パンフレットには、カートを壊した約45万円の支払事例がある。ただし、その団体の東京海上日動商品で支払った例を、個人が加入するすべての商品での支払約束にはできない。レンタル時の契約条件と加入保険の双方を確認する箇所である。
実際の支払事例:数万円の物損から数十万円の費用まで
JP損保サービスの2025年向け団体パンフレットは、団体ゴルファー保険の支払事例として4件を掲載する。膝をひねって半月板を損傷し11日間入院した例が約16万5,000円、坂道でカートの操作を誤って転落しカートを壊した例が約45万円、練習中に床へ当てドライバーのヘッドを割った例が約5万円、ホールインワンの祝賀会と記念品の例が約30万円である。
原資料は加入タイプや事故の年、細かな計算内訳を示していない。膝の例を11日で割って「入院日額1万5,000円の単純支払」と確定することや、クラブの例を新品購入代金とすることは避けた。
これらは資料が支払事例として示す金額であり、平均額や最高額ではない。4件だけから全体の事故構成や保険会社の採算を計算することもできない。
資料 [3]
公表された保険金の支払事例
用品の損害:修理費、時価、自己負担、1点上限
三井住友海上のパンフレットでは、用品の支払額は修理費または時価額等に沿って計算する。時価額は再取得に要する金額から使用による消耗を考慮した額で、購入時の定価と同じとは限らない。修理で足りる損害について、総限度額まで自由に現金を受け取れる仕組みではない。
楽天は用品損害の自己負担を1万円と表示する。au損保の携行品は3,000円で、総限度に加え1個・1組・1対10万円までの上限がある。仮に各契約で認定される損害額が同じ3万円なら、自己負担を引く単純計算は楽天2万円、au損保2万7,000円となる。実際には対象物、事故場所、査定条件を先に満たす必要がある。
「クラブは高いから用品限度を上げる」という判断の前に、1点でいくらまでか、どの額から自己負担を引くか、修理と交換のどちらを査定するかを確認する。高額な1本を持つ人と、セット全体の盗難に備える人では、気になる上限も違う。
用品の損害:どこで何が壊れたか
三井住友海上の例では、ゴルフ場でプレー中にクラブを折った損害と、練習場でゴルフバッグを盗まれた損害が支払う例として示される。一方、バッグ自体の破損と、自宅の駐車場での用品盗難は支払わない例である。
盗まれたゴルフバッグと、破れたゴルフバッグでは結論が違う。ゴルフ用品という同じ名詞で括っても、盗難なのか、クラブの破損・曲損なのか、どの場所で起きたのかが契約の条件になる。
修理や廃棄を進める際には、破損状況、型式、購入時期、修理見積などを請求窓口が確認できる形で残す。紛失、置き忘れ、盗難を区別せずに申告してよいという意味ではない。事実に合った事故の説明が必要になる。
自分のけが:日額の表と「急激・偶然・外来」の条件
三井住友海上のA例は入院日額4,000円、通院日額2,000円。B・C例は6,000円、3,000円である。au損保は入院日額が3コースとも5,000円、通院日額は500円、1,500円、3,000円と異なる。楽天の最も低いタイプには通院日額がない。
傷害の対象には、急激かつ偶然な外来の事故という条件が付く。三井住友海上は、練習を繰り返して手首に痛みが出た例を支払わない例に載せ、脳疾患や病気などによるけが等にも除外を設ける。コースで具合が悪くなったという場所の説明だけでは、けがの補償の対象になるとは限らない。
日額給付は治療費や休業による所得減をそのまま精算する額でもない。給付の金額に加え、事故からの支払対象期間、入院・通院の限度日数、手術の定義まで契約で確認する。
同じ会社のA・B・Cでも、入っている補償が違う
| 三井住友海上・2025年10月以降 | A | B | C |
|---|---|---|---|
| 年額保険料 | 3,820円 | 11,160円 | 15,880円 |
| 賠償上限 | 1億円 | 2億円 | 2億円 |
| 死亡・後遺障害 | 400万円 | 500万円 | 500万円 |
| 入院日額 | 4,000円 | 6,000円 | 6,000円 |
| 通院日額 | 2,000円 | 3,000円 | 3,000円 |
| 用品上限 | 20万円 | 25万円 | 30万円 |
| ホールインワン費用 | なし | 30万円 | 50万円 |
打球事故の判決:誰が何を確認していなかったか
事故は1999年11月9日。プレーヤーはグリーンに近い深いバンカーの斜面から打ち、球は右へ約70度、約11メートル先のキャディーに当たった。キャディーは他の客の球を拭こうとして、打者から目を離していた。
名古屋地裁は、打者が難しい足場から打つ状況で、周囲が安全な位置にいるか、球を避けられる態勢かを確かめる注意を欠いたと判断した。他方、経験あるキャディーにも打球を注視する注意を求め、被害者側の過失を50%とした。
判決は「シャンクしたから当然に全額責任がある」という短い説明ではない。足場、距離、角度、周囲の立ち位置、声掛けの有無を検討している。現場記録にこれらが必要になる理由も、事実認定の経過から分かる。
資料 [1]
同じ事故でも、責任を問われる相手は一人とは限らない
プレーヤーの打球・操作
誰が打ったか、誰が操作したか、その前にどこを見て何を伝えたか。
コース・設備の管理
交差する通路、見通し、表示、警告装置、点検記録を調べる。
被害者側の行動と損害
立ち位置、危険の認識、けが、治療、仕事への影響を確かめる。
賠償と保険の確認
責任・過失割合・認定損害を確かめた上で、その契約が対象とする事故かを見る。
失明事故の認定損害と、労災給付の控除
判決が認定した過失相殺前の損害は2,939万3,905円。被害者側の50%の過失を考慮した額は1,469万6,953円で、そこから労災保険給付の518万256円を控除し、951万6,697円となる。これに弁護士費用95万1,670円を加えた元本が1,046万8,367円である。
判決は、別に受け取った特別支給金180万2,253円については給付の性質上控除しないとした。受け取った公的給付を何でも同じように差し引いた計算ではない。
労災と第三者への賠償請求が同じ負傷に関わる実例である。ただし、これは当該事件の計算であり、別の事故の控除額や過失割合を決める表ではない。原資料では遅延損害金も命じているが、本稿の比較額は元本に揃えた。
資料 [1]
左眼失明の判決:認定損害から1,046万円になるまで
| 計算の段階 | 金額 |
|---|---|
| 過失相殺前に認定された損害 | 29,393,905円 |
| 被害者側の過失50%を考慮 | 14,696,953円 |
| 既払の労災保険給付を控除 | −5,180,256円 |
| 控除後 | 9,516,697円 |
| 認められた弁護士費用 | +951,670円 |
| 判決で命じた元本 | 10,468,367円 |
ゴルフ場の設備責任:レール式カートと通路の交差
大阪地裁の公表判決が扱ったのは、1999年9月22日、雷と強風を伴う豪雨の中で起きた事故である。キャディーは同行せず、バッグを載せたレール式カートをプレーヤーがリモコン操作する方式だった。
カートのレールは通路から離れた低い場所を通り、木立の陰を抜けて歩行者の右斜め後方から通路へ現れる。事故当時、交差地点には特段の路面表示や看板、警告灯等がなかった。裁判所はこうした構造に応じた注意喚起設備を整えるべきだったとし、コースの設置・保存に瑕疵があると認めた。
被害者側にも20%の過失があるとして、個人に348万9,317円、本人が取締役を務める会社には169万7,520円の支払を命じた。会社の損害を個人の治療費と一括せず、別の請求として掲載した。
現在のすべての乗用カートへ結論を移すことはできないが、利用約款で注意を促すだけで設備の責任が消える、と扱わなかった点は運営側に関わる。
資料 [2]
電動カートと歩行者の交差点で、何が問題になったか
現場の構造
急にカートが現れるレールは木立や斜面の陰を通り、歩行者の右斜め後方から通路へ上がる。
事故当時の設備
表示・警告設備なし交差を示す特段の路面表示、立て看板、接近を知らせる警告灯等がなかった。
判決の結果
施設側の責任を認定被害者にも20%の過失。個人へ3,489,317円、会社へ1,697,520円の支払を命じた。
運営会社の施設賠償:客への責任と従業員のけが
三井住友海上の施設所有(管理)者賠償責任保険は、施設や設備・用具の管理の不備、業務活動中のミス等で他人にけがや物損を生じさせ、法律上の責任を負う損害を補償する。プレーヤー本人が入るゴルフ保険に対し、こちらは施設運営側の責任を対象とする契約である。
同じ資料は、業務に従事中の従業員の身体障害に関する賠償を基本の対象外としている。預かった物にも基本条件の除外と追加特約等があり、客への事故、従業員のけが、預かり品の損害を一つの施設契約ですべて処理できると考えると漏れが出る。
大阪地裁の電動カート判決は施設側の法律上の責任を示す事例として採用したもので、そのゴルフ場がこの商品へ加入し、保険金が支払われたと確認したものではない。
施設側の保険料と示談:定額の個人商品と違うところ
施設賠償の保険料は、施設の種類・規模、業務や行事の内容、限度額、免責、付ける特約等で変わる。資料は、賃金・入場者数・売上高等の見込みで決めた契約では、実績値が確定した後に保険料を精算する場合があると説明する。契約規模をどう見積もるかも、加入・更新の仕事に入る。
この商品には、保険会社が被保険者に代わる示談交渉サービスがない。会社に相談し、同意等の条件を確認しながら交渉を進める仕組みである。個人向けのゴルフ商品に国内の示談交渉サービスがあることを、そのまま施設向けへ当てはめられない。
パンフレットにある飲食店や小売店の保険料例は、ゴルフ場の見積として載せなかった。コース固有の引受条件、契約範囲と限度額を確認した料金が必要になる。
施設側の保険は、規模や業務に応じた設計になる
引受条件
施設・業務の内容施設の種類と規模、行事、支払限度、免責、特約等で保険料が変わる。
年間の精算
見込みと実績賃金・入場者数・売上等の見込値で算定した契約は、実績で精算する場合がある。
事故後の交渉
個人向けと異なるこの施設賠償商品は、保険会社が代わって行う示談交渉サービスを提供しない。
自動走行の事故は、操作者だけ調べても足りない
厚生労働省の労災事例には、新しく設置した電磁誘導型カートの訓練中、下り坂のカーブで横転しキャディー4人が負傷した例がある。自動ブレーキが作動せず、乗っていた人もフットブレーキを操作できなかった。
原因として挙げられたのは、ノイズ等の異常に対応しきれない制御プログラム、導入時の走行テスト不足、異常時の操作訓練と事前教育の不足である。現場には別方式のリモコンカートも使われており、試験ではその使用環境を十分考慮していなかったとする。
安全対策の対象は、運転した人の注意だけにとどまらない。設置時の試験、非常停止、毎日のブレーキ点検、説明と訓練が具体的な確認先になる。公表ページから発生年やメーカーを特定していないため、現在販売中の特定機種の不具合としては扱わない。
資料 [22]
ホールインワン費用:支出と証明の二段階
ホールインワン費用は、日本国内のゴルフ場等で所定の達成があり、慣習として対象のお祝い費用を負担した場合の補償である。東京海上日動は記念品、祝賀会、記念植樹等を案内し、アマチュアを対象として、競技や指導を職業とする人の達成を対象外とする。
達成していても、対象費用を支出していないのに限度額全額をもらうことはできない。また費用の領収書が揃っていても、契約が求める達成の証明を満たすかは別に確認される。
プロや有償の指導者については、このホールインワン費用の除外と、指導中の対人賠償や本人の傷害の引受条件を区別する。「プロはゴルフ保険に一切入れない」と一般化する根拠にはしていない。仕事で教える人は、業務中の責任まで対象となる契約かを確かめる必要がある。
セルフと公式競技:2026年の東京海上日動の条件
2026年10月以降始期向けの案内は、公式競技以外のホールインワン等について、同伴競技者と同伴競技者以外の第三者の両方の目撃、または記録映像等で客観的に達成を確認できる場合を挙げている。第三者の例は同伴キャディー、ゴルフ場従業員、他の組の競技者である。
公式競技では、同伴競技者か第三者のいずれかの目撃、または映像等の条件となり、私的なラウンドと表の条件が異なる。公式競技という区分も、加入商品が定める条件に沿って読む。
セルフへの案内では、ショットからカップインまでの連続した動画を撮り、第三者が目撃していればその場で証明書への署名等を依頼することを勧める。後でカップの球だけ撮った動画が、同じ証明になると書かれているわけではない。
セルフのホールインワンは、達成時に証明を残す
そのショットの記録
東京海上日動は、ショットからカップインまで途切れない動画の撮影を勧める。
第三者の目撃
従業員や他の組の人が目撃していれば、その場で証明書への署名等の協力を依頼。
達成後の費用
記念品・祝賀会など、対象の費用と領収書を整理。限度額までもらえる定額賞金ではない。
契約条件と照合
公式競技か、私的なラウンドかでも東京海上日動の目撃要件は異なる。
ホールインワン条件の2025・2026年改定
三井住友海上の2025年10月改定案内は、カップに入っている球を確認しただけでは「目撃」に当たらない旨を明確にした。この箇所について、案内自体が実質的な変更はないと説明している。新たな補償縮小があった、と書く根拠にはならない。
東京海上日動は2026年10月以降始期で、ホールインワン等の達成後、雨天等で競技を中止した場合の扱いを緩和した。パー35以上の9ホールを正規に回る予定だったことを予約画面等で確認できる場合に限る。雨で中止した旅行代やプレー代全体を返す特約の説明ではない。
同じ「改定」の案内にも、文言を明確にしたものと、対象を広げたものがある。価格の変化と一緒に条件を確認しないと、契約更新で何が変わったかを取り違える。
2006年東京簡裁:従業員が直接カップインを見ていなかった事件
2005年8月11日に達成したホールインワンについて、前の組の人は目撃していたが、売店の従業員は説明を聞いて証明した。保険会社は、従業員が打球やカップインを直接見ていないので契約の目撃要件を満たさないと主張した。
東京簡裁は2006年8月30日、2005年の契約の文言を検討し、当時の状況や第三者の証言から従業員が達成の蓋然性を認めたことも含むと解して、100万円の支払を命じた。事件番号は平成18年(ハ)第5412号である。
現行の約款に対する統一的な支払基準として引用していない。現在は第三者の目撃や映像を定める資料があり、当該契約の文言と証拠が請求を左右する。
資料 [16]
ADR:ホールインワンの達成を客観的に判断できなかった例
そんぽADRセンター2021年度第4四半期の「新種・海上保険-7」は、ゴルファー保険によるホールインワンの請求を扱う。保険会社は、セルフ中の達成について、約款が求める第三者の目撃や映像等を確認できないと主張した。
委員会は双方の主張の隔たりが大きく、提出資料だけでは客観的に事実を判断できず、互譲による解決は難しいとした。結果は「不調(見込みなし)」である。請求者の虚偽を認定したわけでも、支払拒否が適法と判決したわけでもない。
これは2022年1〜3月の統計号に掲載された手続事例であり、事故がその期に起きたとまでは分からない。ホールインワンが何回あり、何%が拒否されたかを計算する分母にも使えない。
資料 [17]
ADR:練習中のけがと医療・事故記録が争われた例
2024年度第4四半期の「傷害保険-7」は、練習中に負傷したとする人が総合生活保険の傷害補償基本特約に基づく通院保険金を求めた事件である。商品名がゴルファー保険だったとは記載されていない。
保険会社は、症状を裏付ける医学的他覚所見がなく、練習場の事故報告書の経緯を確認しても事故や受傷の裏付けに足りないと主張した。委員会は資料から客観的に事実を判断できず、和解成立の見込みがないとして手続を終えた。
保険会社の主張を医学的事実として採用した事例にはしていない。ただ、いつ何が起きたかという申告、現場の記録、医療資料が一致するかを確認する手続があることは分かる。事故報告書を出したという一点だけで給付が確定するわけではない。
資料 [18]
プレーヤーの事故調査:77場の回答をどう読むか
宮澤太機、北徹朗、吉原紳による研究は、中部地区の325場へ調査を送り、77場から回答を得た。回答率23.7%。調査対象期間は2013年5月〜2014年4月で、2017年に公表された。
カート事故は28場で51件、ボール・クラブは29場で62件、転倒・滑落は32場で56件、内科的事故は12場で20件とする。救急車の出動は48場で159件。期間中のプレーヤー死亡は2件である。
同じ研究には開場以来の死亡52件も載るが、1年間の死亡2件とは観測期間が違う。これらを合算したり、52件を1年の全国死亡件数としたりしてはいけない。回答した施設の状況を示す調査で、未回答場と全国へそのまま拡張できる標本設計ではない。
資料 [19]
77場の回答では、打球だけでなく転倒やカートも起きていた
従業員の労災:2008〜2024年の推移
一季出版が掲載した日本ゴルフ場支配人会連合会の2024年調査には、2008〜2024年の労災件数と死亡事故件数の表がある。件数は2008年1,242、2012年1,135、2016年972、2019年1,015、2020年871、2024年947と推移している。
2024年の調査は1,615クラブで、前年から18クラブ減った一方、労災は919件から947件へ28件増えた。資料掲載の1クラブ当たりは0.56件から0.59件へ上昇した。これは従業員数や勤務時間を分母とした率ではない。
2022年の説明では、静岡と新潟を除く45都道府県の協力場を対象とし、新潟は2021年末に支配人会を退会したとされる。長期グラフは同じ施設を固定して追ったものではなく、参加施設と働き方の変化も含む。事故件数の低下を、そのまま1人当たりのリスク低下や保険金支払減少へ結び付けていない。
従業員の労災は2024年947件。回答クラブ数も変わる
件数だけでなく、調査に入ったクラブ数を確認する
| 年 | 協力クラブ数 | 労災件数 | 1クラブ当たり |
|---|---|---|---|
| 2023 | 1,633 | 919 | 0.56 |
| 2024 | 1,615 | 947 | 0.59 |
従業員の死亡事故:2024年は6件
死亡労災は2009・2010年に各7件、2019年7件、2021年0件、2022年1件、2023年4件、2024年6件だった。2024年は東日本3件、西日本3件である。一般の労災件数とは別の図で追った。
2024年の報告は、コース管理作業中の作業車の転倒や斜面、不整地、樹木伐採等への注意を促している。客に打球が当たる事故と、作業中に起きる災害は、必要な対策も加入者も同じではない。
労災報告で挙がる作業車の転倒や伐採事故には、斜面での運転、機械点検、作業計画の確認など、現場に応じた対応が要る。今回の死亡件数は調査協力場で報告された労災であり、全国の客の死亡を含む合計ではない。
死亡労災は2023年4件から、2024年6件へ
団体料金に出ていた、割引と損害率の割増
JP損保サービスの2025年団体パンフレットは、団体割引20%、損害率による割増5%を適用し、全体として16%の引下げになる計算式を示す。1−(1−20%)×(1+5%)=16%で、単純な20−5=15%ではない。
この表示から確認できるのは、対象となる団体の料金に規模による割引と損害率による調整が共存していることだ。一般の個人向けと同じ年額・同じ補償の比較には使えない。資料は2025年5月1日〜2026年5月1日の契約案内なので、調査日の新規加入料金としても採用していない。
同団体の割増を全国のゴルフ事故悪化の証拠としたり、三井住友海上や楽天の値上げ理由に転用したりはできない。各社の改定の背景を説明するには、それぞれの損害率や改定理由の開示が追加で必要になる。
資料 [3]
団体向けには「団体割引」と「損害率による割増」が併記される
団体割引
20%JP損保サービスの2025年度向けパンフレットに掲載。
損害率による割増
5%団体割引に加え、損害率を用いた割増も適用。
合わせた引下げ幅
16%1 −(1 − 0.20)×(1 + 0.05)=0.16。20% − 5%ではない。
保険金が出た後の更新拒否:自動更新にも条件がある
東京海上日動の2021年1月以降始期用ゴルファー保険の重要事項説明書は、保険金請求状況によって次回以降の更新を断る場合や、引受条件を制限する場合があると記載する。PDF9ページの「満期を迎えるとき」にある。保険会社側から更新しない通知を行う仕組みも同じページに記されている。
JP損保サービスの2025年度向け団体資料にも、請求状況や年齢等によって更新を断る、または条件を制限する場合があると載る。更新制限があり得ることは、少なくともこれら異なる時点の資料で確かめられる。
支払われるべき事故について保険金を受け取った後でも、満期後の契約の引受けでは履歴が検討対象になり得る。契約途中の解除と、満期後を引き受けない通知も手続が異なる。実際の通知の内容と時期は、個別の契約で確認する必要がある。
保険金の支払いと、次の契約の引受けには別の確認がある
事故が起きる
その時点の契約に沿って、事故・損害・証明を確認する。
保険金が支払われる
支払いが完了しても、翌年以降の引受けまで確約されたとは限らない。
満期を迎える
請求状況等により、更新拒否や条件の制限があり得ると記載する商品がある。
別の商品へ申し込む
申込先でも他社を含む過去の請求歴が告知対象になる場合がある。
「3年・5万円」の公開条件:加入不可と申告対象
楽天損保の楽天旅行保険(国内)の申込画面は、旅行目的にゴルフを選べる。告知項目には、過去3年以内に傷害保険金を5万円以上請求または受領したことがない旨があり、一つでも「いいえ」であれば契約できないと明記される。このネット申込経路の条件として採用した。年契約の楽天ゴルフ保険へ同じ基準を移してはいない。
三井住友海上が掲載するNECゴルファー保険等の団体重要事項は、同種の保険等で過去3年以内に合計5万円以上の保険金を請求・受領した場合、申込票の請求歴欄への記入を求める。同種の範囲にはゴルファー保険や個人賠償、団体総合生活補償等が挙がり、他社、共済、生命保険等も含まれる。この文言単独では、該当した人を全員断るとは読めない。
対象の保険金、合計する範囲、期間の基準を揃えず、傷害・用品・賠償・ホールインワン費用を一律に5万円へ足すことはできない。「過去3年の履歴を問う条件」と、拒否通知日から3年の加入禁止も同じではない。再申込の時期は、請求・受領の日付とその商品の判断条件を確認する。
「過去3年・5万円」は、申込みの条件にも出てくる
| 公開資料 | 請求歴の条件 | 記載されている扱い |
|---|---|---|
| 楽天旅行保険(国内)のネット申込 | 過去3年以内の傷害保険金5万円以上の請求・受領歴 | 該当歴がないことを告知。一つでも「いいえ」なら契約不可。 |
| 三井住友海上・NEC団体保険の重要事項 | 同種保険等で過去3年に合計5万円以上を請求・受領。他社等を含む。 | 申込票の請求歴欄へ記入。金額だけで一律拒否するとの記載ではない。 |
| 東京海上日動・2021年始期用ゴルファー保険 | 保険金請求状況 | 次回以降の更新を断る、または条件を制限する場合がある。 |
他社への申込みでも、過去の請求歴が対象になる
三井住友海上の団体資料は、他社等における同種の保険も請求歴の告知に含める。加入先を替えるときも、前の会社の履歴を尋ねる商品があるということだ。
損保協会は、契約内容、事故状況、保険金請求等の情報を共同利用する制度を公表し、契約の締結・存続や給付の判断の参考にする目的を示している。本人等が登録内容の開示を求める手続も用意されている。
各制度の対象や用途は異なり、この仕組みが特定の人の全社での拒否を引き起こしたかは、個別記録なしには特定できない。公開記事には、個人の未確認の通知内容や体験を各社共通の基準として転載せず、公表された引受・告知・更新条件を載せた。
既契約の個人賠償と重複:4区分で照合する
楽天のページは、同じ事故を補償する契約が複数あっても、賠償や損害の実際の額を超えて重複して受け取れないと案内する。個人賠償責任特約等に加入済みなら、ゴルフ中の事故、対象の本人・家族、借用品、国外、示談交渉の条件を並べる。
賠償が重複していても、用品破損やホールインワン費用が別に不足している場合がある。逆に、ゴルフ保険の用品も別の携行品補償と重なる可能性がある。契約名で丸ごと必要・不要を決めず、4区分で照合する。
自分のけがの定額給付と、実損を埋める用品・賠償は計算方法が異なるため、すべての給付を「二重加入だから払われない」とする説明も避けた。個別契約の重複時の規定は約款で確かめる。
示談交渉と、事故時に保険会社へ渡す記録
三井住友海上は国内事故について所定の条件で示談交渉を引き受けると案内するが、法律上の責任を負わない場合、相手が同意しない場合、責任額が保険金額を明らかに超える場合等には行えないとする。限度額の大きさと、すべての交渉を任せられることは同じではない。
約款は事故の通知や損害を示す資料などを定めており、保険会社の承認を要する事項もある。現場では人の救護と施設への連絡を先に行い、その後、時刻・場所、誰が何をしたか、目撃、現場や破損品、請求された費用の内訳を整理して窓口へ伝える。
HIOの目撃や練習中のけがが争われた事例では、後から客観的に確認できるかが解決を左右した。保険を掛けていた事実と、請求が成立する証拠は両方が必要になる。
次に追うべき数字と、公表資料で比較できるところ
今後の更新では、各社の契約始期別料金、カートと借用品の条件、用品の自己負担、ホールインワンの証明条件を保存し、同じ商品・同じ契約例で追う。新料金を過去へ遡って当てず、古いパンフレットも残す。
ゴルフ単独の加入者数や保険金総額を得られれば、価格が変わった理由や事故負担をさらに調べられる。ただ、現時点では公表された4件の支払例や数件の裁判だけを平均像にはできない。GDの口コミについても、書込みがあるだけで事故発生数や請求拒否率には換算しない。
今回確認した範囲では、借用カートの補償拡大、料金の改定、セルフの証明方法、雨天中止時の扱いが実際に変わっていた。更新時に見る場所を契約始期と条項まで絞って残すことで、次の改定と比較できる。
元数値と調査方法
採用資料と保存方法
保険会社・販売窓口の公式資料、裁判所の判決原文、日本損害保険協会の統計・ADR、日本ゴルフ教育学会の研究資料、厚生労働省の労災事例、支配人会連合会調査を掲載した一季出版の資料を用いた。ウェブ確認日は2026年10月30日。
PDF・HTMLの原本、取得URL、確認日、HTTP結果、SHA-256、PDFページ数を内部の資料台帳へ保存した。抽出文字が乱れたPDFは別の文字抽出で読み直し、保険料・支払事例・事故表はページ画像でも照合した。確認できなかった旧URLは成功した取得に見せかけず、失敗記録を残している。
画面末尾の出典は記事の調査・引用元である。内部保存先や原本ファイルそのものはこのプレビューから配信しない。
料金の比較条件と計算式
三井住友海上は旧版(2023年1月〜2025年9月始期)と新版(2025年10月以降始期)のA・B・Cの契約例を対応させた。上昇率=(新額÷旧額−1)×100。表示は小数第1位まで四捨五入する。新契約でカート自体の損壊が追加されたため、完全に同一補償の物価指数として扱わない。
楽天は2026年10月31日以前始期と11月1日以降始期の表示年額を用いた。調査日は新料金適用前。旧額がいつから適用されていたかは、今回の料金ページから遡って決めていない。3社の価格から全国平均や最安順位は算出しない。
au損保は日帰り・1泊2日の料金を主表に用いた。年契約とは期間、賠償限度、自己負担、移動中の範囲が違うため、同等補償の損益分岐回数は出していない。
判決額、支払事例、仮定計算を区別
打球・電動カートの金額は判決主文の元本。遅延損害金を含めず、保険会社の実支払額としない。打球事故の過失相殺後の円未満処理は判決記載に合わせる。労災給付控除後の9,516,697円+弁護士費用951,670円=10,468,367円を確認した。
JP損保サービスの4例は、資料が実際の支払事例として示す概数。事故年・加入タイプ・査定内訳は非開示。2025年向けパンフレットに載るからといって2025年発生の事故とはしていない。
認定損害3万円から自己負担を引く図は、編集部の仮定計算。実際の請求額、見積、保険査定の結果ではない。
事故統計の母集団と観測期間
プレーヤーの研究は中部地区325場へ送付、77場回答、回答率23.7%。2013年5月〜2014年4月の事故を尋ねた調査で、公開年は2017年。死亡2件はこの1年、52件は開場以来である。地域・回答の限界があり、全国の総数や2026年の率に変換しない。
労災は支配人会連合会の調査に協力した場の従業員事故であり、客の事故ではない。長期表は2024年掲載資料に揃えた。構成が固定されていないこと、2022年の説明では新潟の2021年末退会等があることを注記した。
2024年の協力場1,615、前年から18減という記述から、2023年は1,633と計算。1場当たり0.56、0.59は資料の表示値を採用した。従業員数・労働時間・ラウンド数当たりの率は算出しない。
ADRの結果と掲載期の扱い
2021年度第4四半期は2022年1〜3月、2024年度第4四半期は2025年1〜3月の統計号である。掲載された事件の事故年とは区別した。ホールインワンはPDF60〜61ページの「新種・海上保険-7」、練習中の傷害はPDF63ページの「傷害保険-7」。
どちらも「不調(見込みなし)」で、提出資料から客観的な判断ができず和解に至らなかった。会社の主張を委員会の事実認定や裁判の判決に置き換えない。報告書全体の相談・紛争件数を、ゴルフ保険だけの件数に読み替えていない。
今回の対象外と、更新時の確認先
公表された特定商品の比較であり、全保険会社の全商品を網羅したランキングではない。保険会社の全体業績からゴルフの利益を割り当てる推計、未公表の加入率・不払率、裁判例から現在の標準賠償額を求める推計は行っていない。
GDの内部口コミDBは今回の事故件数の分母・分子には使っていない。事故の自己申告、同一事故の重複、契約・給付の裏付けが未確認のまま件数化すると、公開された事故統計や保険実績と比較できないためである。
次回は各商品の契約始期別ページ、改定案内、保険料注記を先に確認する。過去資料は上書きせず、新旧の条件を対応させる。
引受・更新条件の資料と、個人の体験の扱い
引受条件では、楽天旅行保険(国内)のネット申込、三井住友海上掲載のNEC団体重要事項、東京海上日動2021年始期用の更新条件、JP損保サービス2025年度資料、損保協会の共同利用案内を確認した。楽天の旅行型と年契約のゴルフ保険は別商品として記載する。
対象保険金と期間が異なるため、公開条件を全社共通の拒否基準へ一般化しない。5万円以上は5万円ちょうどを含む。過去3年という質問から、通知日を起点とする再加入日を計算していない。個人が断られた理由、拒否した会社名や請求種類が確認できていない体験は、公開本文や集計データへ転載しなかった。
付帯保険・保証・収支の比較条件
カードは正式な券種と選択プラン、開始日を対応させた。三井住友カードの重要事項PDF2・4ページで限度を画像でも照合し、旧カート除外の一般説明は2026年改定案内と合わせて読んだ。JCBザ・クラス、JCBゴールド、一般カードの条件は互いに流用しない。
自動車等の個人賠償特約の加入者・対象者・借用品と、ノーカウントの等級扱いを確認した。既契約で補えることと、更新を断られた個人が別商品へ新規加入できることは分けて扱う。メーカー保証、工房保証、買物保険は対象原因が違うので、期間の長短だけで優劣を付けない。
損害率と事業費率は損保協会全種目の指標。単純合計は2024年度64.1+31.9=96.0%、2025年度61.0+31.2=92.2%と計算した。純利益率でもゴルフ保険単独の収支でもない。組合せと差引計算は条件を明記した編集部モデルで、個人の補償額を確定する査定ではない。
集計データのダウンロード
料金の新旧比較、支払事例、プレーヤー事故調査、2008〜2024年の労災、判決・ADR、商品比較をJSONにまとめた。数値の単位、契約始期、出典ID、計算条件、対象の限界を各ファイルに付けている。
公表原資料の丸ごとの再配布ではなく、編集部が転記・計算・整理したデータである。原資料へのリンクはこのページの最後に置いた。
出典・参考資料
- 裁判所:キャディーの左眼失明・打球事故判決
資料ID:court-eye7735 · 2026年10月30日確認
- 裁判所:ゴルフ場電動カート事故・施設責任の判決
資料ID:court-cart6639 · 2026年10月30日確認
- JP損保サービス:団体ゴルファー保険2025・保険金支払事例
資料ID:jp-payment-cases2025 · 2026年10月30日確認
- 三井住友海上:2023年1月〜2025年9月始期用パンフレット
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