公表資料調査 · 2026年10月28日公開
ゴルフ用品小売の市場と販売会社
新品と中古、店舗とネット。公表企業の売上と利益から、小売の現在地を追う。
GOLF DNA編集部 · 調査 2026年10月24日
JAPAN GOLF EQUIPMENT RETAIL
用品市場は拡大の後に小幅減。
小売各社の動きは分かれる
3,760 億円
2024年の用品市場・公表推計
2020年比 +18.6% / 前年比 −1.1%
クラブを作る会社の次は、それを私たちに届ける会社を見てみよう。ゴルフ5やヴィクトリアゴルフで試打し、中古店で買い取り価格を聞き、ネットでも価格を調べる。その選択肢を支えているのが、用品の販売・小売業界だ。
公表されている会社の数字から、事業の規模と、ここ数年で何が伸びているのかを追った。 見えてきたのは、市場全体が一斉に伸びる姿ではなく、中古品、ネット販売、在庫の売り方によって各社の動きが分かれる姿だった。
01
用品市場はコロナ直後に拡大し、足元では伸びが鈍った
まず市場全体の数年の流れを押さえたい。GMACの公開資料に載るゴルフ用品市場の推計は、2020年の3,170億円から2023年に3,800億円へ増え、2024年は3,760億円に少し下がった。
| 年 | 用品市場の公表推計 |
|---|---|
| 2020年 | 3,170億円 |
| 2021年 | 3,470億円 |
| 2022年 | 3,640億円 |
| 2023年 | 3,800億円 |
| 2024年 | 3,760億円 |
2020年比では18.6%大きいが、直近の1年は1.1%減。コロナ直後の拡大が、そのまま続いているわけではない。これは金額の推計なので、買う人やクラブの本数が同じ割合で増えたことを示す数字でもない。
この表は市場を見るための共通の物差しとして使う。新品・中古・個人間売買を全部合わせた小売の実測総額としては扱わない。メーカー側の売上を測る別の市場推計とも、基準が違う。
02
アルペンのゴルフ用品は約951億円、ゼビオは約802億円
お店を運営する会社は、どれほどの規模なのか。スポーツ全般を扱う会社では、全社の売上をそのまま「ゴルフの売上」と読むと、かなり大きく見えてしまう。そこで、確認できるゴルフ関連の区分を抜き出した。
表は横にスクロールできます
| 会社・見る区分 | 以前の売上 | 直近の通期売上 |
|---|---|---|
| アルペン・ゴルフ商品分類 | 2024年6月期 929.13億円 | 2026年6月期 950.75億円 |
| ゼビオHD・ゴルフ部門 | 2023年3月期 840.72億円 | 2026年3月期 801.85億円 |
| GDO・国内リテール | 2023年12月期 189.09億円 | 2024年12月期 196.05億円 |
| ゴルフ・ドゥ・直営事業 | 2024年3月期 約43.37億円 | 2026年3月期 約47.85億円 |
アルペンはゴルフ5を展開する会社。ゴルフの商品分類は直近で約951億円あり、全社売上2,859.54億円の約3分の1に当たる。ゼビオHDはヴィクトリアゴルフやゴルフパートナーなどを傘下に持ち、ゴルフ部門で約802億円だ。
一方、ネット通販などを手がけるGDOの国内リテールは約196億円。中古店のゴルフ・ドゥは全社でも61.85億円で、そのうち直営事業が約48億円という大きさになる。
この表は会社の規模をつかむためのもの。決算月も事業の範囲も違うので、順位や市場シェアにはしない。 ゴルフ・ドゥの直営事業にはECや関連サービスも含まれる。GDOは2025年9月に上場を廃止しており、通期の比較には確認できた2024年までの開示を使った。
出典:S06 アルペン 2026年6月期 決算説明・中期計画資料、S10 ゼビオHD 2026年3月期 決算発表資料、S20 GDO 2024年12月期 決算説明資料(JPX掲載原本)、S12 ゴルフ・ドゥ 2025年3月期 決算短信、S13 ゴルフ・ドゥ 2026年3月期 決算短信、S22 GDO 投資家の皆さまへ。
03
同じ用品販売でも、ここ数年の動きは違う
アルペンのゴルフ売上は、929.13億円、921.51億円、950.75億円と動いた。2025年6月期にはいったん減ったが、翌期に3.2%増へ戻っている。会社は、中古クラブが下支えし、下期には新品クラブの発売も寄与したと説明する。
ゼビオのゴルフ部門は、840.72億円、823.20億円、807.66億円、801.85億円。2023年3月期から3年で4.6%減った。ただし、その後の2026年4〜6月は前年同期比5.5%増へ転じた。長い流れでは減少が続き、最新の四半期では持ち直しが見えた、という順番で読むのがよさそうだ。
GDOの国内リテールも2024年は3.7%増。さらに中古品のEC売上は26%増だった。小売全体の伸びより中古ECの伸びの方が大きく、売れる商品の中身にも違いがある。
ただし、これだけで「新品が全部だめで中古だけが好調」とは言えない。アルペンでは新品の発売が売上を押し上げた。新作、中古、ウエアなどの組み合わせと、店ごとの売り方が結果を左右している。
出典:S05 アルペン 2025年6月期 決算説明資料、S08 ゼビオHD 2024年3月期 決算発表資料、S09 ゼビオHD 2025年3月期 決算発表資料、S11 ゼビオHD 2027年3月期 第1四半期決算発表資料、S20 GDO 2024年12月期 決算説明資料(JPX掲載原本)。
04
店舗とネットは、同じ在庫を売るようになっている
中古店は、買い取ったクラブを店内に並べるだけの商売ではなくなっている。ゴルフ・ドゥのオンラインショップでは各店舗の在庫を販売し、楽天市場やメルカリShopsにも販路を広げている。近所に欲しいクラブがなくても、別の地域の店にある一本を探せる仕組みだ。
| ゴルフ・ドゥのEC系販売 | 公表された変化 |
|---|---|
| 2026年3月期と前期の比較 | 14.0%増 |
| 2026年3月期と2024年3月期の取扱高比較 | 23.9%増 |
| 2026年4〜6月と前年同期の比較 | 12.9%増 |
対象はオンラインショップ、楽天市場店、メルカリShopsの合計。全国のゴルフ用品EC全体の成長率ではない。店舗在庫をネットで売る形なので、この金額を店舗や会社の売上へさらに足すこともしない。
中古では、売れる商品を買い取れること自体が競争力になる。買い取りが増えれば品ぞろえを充実させられ、新品への買い替えで出てきた中古品を、次の利用者へ回せる。GDOも下取りや試用サービスが、新品販売と中古品の品ぞろえに役立ったと説明している。
店舗には試打、状態の確認、フィッティング、修理といった役割が残る。ネットと店舗のどちらが勝つかだけで見るより、店にある在庫と接客を、ネットの探しやすさにつなぐ動きとして見ると分かりやすい。
出典:S14 ゴルフ・ドゥ 2026年3月期 決算説明資料、S17 ゴルフ・ドゥ 2027年3月期 第1四半期決算短信、S20 GDO 2024年12月期 決算説明資料(JPX掲載原本)。
05
売上が増えても、利益は増えるとは限らない
販売業では、仕入れた商品の代金や人件費、家賃、配送費、販売サイトの手数料を払う。売れ残った商品を値下げして売れば、売上は立っても利益は薄くなる。
ゼビオHDの2026年3月期は、全社売上が0.7%増えた一方、営業利益は70.06億円から23.70億円へ減った。全社の粗利益率が39.0%から37.7%へ下がり、経費も増えたためだ。この利益はゴルフ部門だけのものではないが、小売の難しさがよく表れる。
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| 会社全体の数字 | 前期 | 直近通期 |
|---|---|---|
| アルペン(2026年6月期)売上/営業利益 | 2,686.55億円/85.16億円 | 2,859.54億円/85.43億円 |
| ゼビオHD(2026年3月期)売上/営業利益 | 2,506.03億円/70.06億円 | 2,523.31億円/23.70億円 |
| ゴルフ・ドゥ(2026年3月期)売上/営業利益 | 59.17億円/約2,852万円 | 61.85億円/約9,906万円 |
アルペンも売上は6.4%増えたが、営業利益はほぼ横ばい。ゴルフ・ドゥは値引きの抑制などで通期の利益を改善したものの、その次の2026年4〜6月は増収減益だった。伸びる販路があっても、そこにかかる費用まで見ないと商売の状態は分からない。
出典:S06 アルペン 2026年6月期 決算説明・中期計画資料、S10 ゼビオHD 2026年3月期 決算発表資料、S13 ゴルフ・ドゥ 2026年3月期 決算短信、S17 ゴルフ・ドゥ 2027年3月期 第1四半期決算短信。
06
これから見るべきは「何を、どう売って、いくら残るか」
公開資料から見えるのは、コロナ直後の市場拡大が落ち着くなか、各社が中古品やEC、店でのサービスを組み合わせて売上をつくっている姿だ。大手だから一律に伸びるわけでも、中古を扱えば自動的に利益が出るわけでもない。
次に業界の変化を見るときは、まずゴルフ関連の売上が増えたか。そのうえで、販売数量や買う人が増えたのか、値上がりや新店の効果なのか、在庫を値下げせずに売れたのかを追いたい。中古では、売る力と同時に買い取る力、ネット販売では売上と同時に配送・手数料の負担が大切になる。
ゴルフ用品の販売は、メーカーとゴルファーの間で品物を渡すだけの仕事ではない。試して選ぶ、古い一本を売る、修理して使う、遠くの店の一本を買う。その接点をどうつくるかが、今の小売各社の違いになっている。
調査基準日:2026年10月24日。金額はすべて日本円。比較の詳しい年次表、利益の内訳、出典と計算式は調査レポートへ。
出典・参考資料
- S01 GMAC ゴルフマーケットデータ2026
資料6頁。ゴルフ用品2020〜2024年の公表推計。
- S02 矢野経済研究所 ゴルフ用品市場調査2025年(無料発表)
2024年推計実績・2025年予測とメーカー売上高ベースの定義。2025年10月10日。
- S03 矢野経済研究所 2026年版ゴルフ産業白書(無料紹介)
2026年8月27日刊。市場の定義と中古調査の範囲確認。本文は未購入・未使用。
- S04 アルペン 財務ハイライト
2022〜2026年6月期の全社財務。
- S05 アルペン 2025年6月期 決算説明資料
7頁の商品分類、10頁の店舗。
- S06 アルペン 2026年6月期 決算説明・中期計画資料
3・5・7・9・10・14頁等。全社・ゴルフ・在庫は範囲を分ける。
- S07 アルペン 第54期有価証券報告書
2026年9月24日提出。本文21頁の店舗形態別売上と商品分類の相違。
- S08 ゼビオHD 2024年3月期 決算発表資料
2・6頁。2023・2024年全社とゴルフ部門。
- S09 ゼビオHD 2025年3月期 決算発表資料
2・6頁。2024・2025年全社とゴルフ部門。
- S10 ゼビオHD 2026年3月期 決算発表資料
2・6・9・13頁。全社、部門、在庫、店舗。
- S11 ゼビオHD 2027年3月期 第1四半期決算発表資料
2026年4〜6月実績。2・5頁。
- S12 ゴルフ・ドゥ 2025年3月期 決算短信
PDF10頁損益。2024・2025年連結全社。
- S13 ゴルフ・ドゥ 2026年3月期 決算短信
PDF4・10・16頁等。後日訂正2件も併読。YPSは同社の引用として使用。
- S14 ゴルフ・ドゥ 2026年3月期 決算説明資料
7・9・10・22・29〜30頁。売上の内部取引込み図を外部売上と混同しない。
- S15 ゴルフ・ドゥ 2026年6月4日の短信訂正
潜在株式等の注記訂正。本稿の売上・営業利益金額の変更なし。
- S16 ゴルフ・ドゥ 2026年6月19日の短信訂正
希薄化EPSと中計進捗。連結売上62億円目標は未達に訂正。
- S17 ゴルフ・ドゥ 2027年3月期 第1四半期決算短信
2026年4〜6月実績。PDF4・8頁。店舗数は6月末。
- S18 GDO 2023年12月期 決算短信
2022・2023年全社の千円単位損益表。
- S19 GDO 2024年12月期 決算短信
2023・2024年全社の千円単位損益表。
- S20 GDO 2024年12月期 決算説明資料(JPX掲載原本)
15・19頁等。国内リテールと中古EC。会社サイト旧リンクの別文書を使わない。
- S21 GDO 2025年12月期 第1四半期決算説明資料
PDF17・21頁。国内リテールの2024・2025年1〜3月比較。
- S22 GDO 投資家の皆さまへ
2025年9月29日上場廃止。現在の公開IRの対象範囲。