ゴルフ場の 土地価格が 上がると、 営業を 続けるより 売却・再開発が 有利に なることがある?
ゴルフ場の財務・投資
まず答え
あります。住宅・商業など別用途での土地価値が、ゴルフ場として将来得られる収益や保有価値を大きく上回る地域では、売却や一部再開発が経済的に有利になることがあります。ただし、用途地域、許認可、造成・インフラ費、環境条件、閉鎖で失う収益や地域価値まで差し引いて比較する必要があります。
詳しい解説
ゴルフ場の土地価格が上がったときは、「土地が高いから売る」と単純には決めません。比較するのは、ゴルフ場として営業を続けた場合の将来価値と、売却・再開発した場合に実際に残る価値です。
American Society of Golf Course Architects(ASGCA)は、近年のコース改修理由の一つとして、地域によっては住宅・商業用途の不動産価値がゴルフ用途の価値を大きく上回る場合があると説明しています。その場合、全体を閉鎖するだけでなく、一部のホール配置を変えて開発用地を生み、その収入をコース改修へ回す方法もあります。
実例として、米国ミネソタ州のLes Bolstad Golf Courseでは、所有者であるミネソタ大学が土地売却を進め、2026年には住宅・商業・緑地を含む再開発案が公表されました。Falcon Heights市の公開情報では、大学は厳しい財務環境の中で土地・資源を大学の中核目的に合わせる判断を示し、売却は市場価格の評価や開発提案を経て進められています。これは、ゴルフ営業の継続価値だけでなく、土地そのものの代替用途価値が経営判断に入る例です。
ただし、「地価が上がった=再開発した方が得」とは限りません。まず、その土地が住宅や商業用途へ実際に変更できるかを確認する必要があります。用途地域、開発許可、道路・上下水道、雨水処理、湿地・洪水区域、環境調査などで、開発できる面積や戸数が大きく変わるからです。許認可に時間がかかる場合や、造成・インフラ費が高い場合は、見かけの土地価格ほど手取り価値が残らないことがあります。
一方、営業継続側にも、会費・プレー収入だけでなく、将来の改修費、灌漑設備やクラブハウスの更新、固定資産の維持費などがあります。逆に、会員基盤、地域の緑地、大学・自治体の教育・レクリエーション機能など、売却すると取り戻しにくい価値もあります。
したがって判断では、①ゴルフ場として今後生む収益と必要投資、②土地を別用途へ売った場合の市場価値、③許認可・造成・インフラ・税などの転用コスト、④一部開発でゴルフを残す案、⑤閉鎖で失われる利用・地域価値、を同じ土俵で比較します。
結論として、土地価格の上昇によって売却・再開発の経済合理性が高まることはありますが、判断すべきなのは単純な地価ではなく、「実現可能な別用途の正味価値」と「ゴルフ場を続ける正味価値」の差です。