寒地型芝と 暖地型芝は、 同じ 気温で 同じように 生育する?
芝草生理・温度
まず答え
しません。寒地型芝はおおむね15〜24℃前後、暖地型芝は27〜35℃前後で生育しやすく、同じ気温でも生育速度や回復力が異なります。ただし温度だけで決まるわけではなく、芝種・地温・日射・水分なども合わせて判断します。
詳しい解説
寒地型芝と暖地型芝では、生育しやすい温度帯が違うため、同じ気温でも伸び方や傷みからの回復速度は同じではありません。
USGAは、寒地型芝の生育に適した気温をおおむね60〜75°F(約16〜24℃)、暖地型芝を80〜95°F(約27〜35℃)として説明しています。別のUSGA資料で使われる「成長ポテンシャル」の考え方でも、寒地型芝は約67.5°F(約20℃)、暖地型芝は約88°F(約31℃)付近で相対的な生育が最大になるモデルが示されています。これらは厳密な境界温度ではなく、温度に対する生育反応を比較する目安です。
そのため、春や秋の涼しい時期にはベントグラスやポアアニュアなどの寒地型芝が生育・回復しやすい一方、バミューダグラスやゾイシアなどの暖地型芝は生育が鈍いことがあります。逆に夏の高温期は暖地型芝の生育が旺盛になりやすく、寒地型芝は高温ストレスを受けやすくなります。USGAは、ベントグラスやポアアニュアでは約59〜75°F(約15〜24℃)が地上部生育に適し、約86°F(約30℃)を超える高温では呼吸による消耗が光合成を上回りやすくなると説明しています。
管理判断では、この違いを刈込み、施肥、更新作業、播種、交通管理の時期へ使います。生育が遅い温度帯で強いエアレーションや損傷を伴う作業をすると回復に時間がかかり、逆に生育が旺盛な時期は傷から戻りやすくなります。暖地型芝でも低温期に無理に回復を期待できず、寒地型芝でも真夏に通常期と同じ成長量を求めると負担が大きくなります。
ただし、気温だけで作業日を決めるのは不十分です。根の生育には地温が重要で、日射、水分、湿度、風、芝種・品種、刈高などでも実際の反応は変わります。同じ『20℃』でも、根域が高温・過湿だったり、日照不足だったりすれば、寒地型芝が理想的に生育するとは限りません。
つまり、寒地型芝と暖地型芝では温度への反応曲線が違います。温度は『何度なら必ず作業する』という固定スイッチではなく、現在の芝がどれだけ成長・回復できる時期かを読むための基準として使うのが適切です。