NDVIと 熱画像は、 芝の ストレスを 見る とき何が 違う?
リモートセンシング・芝診断
まず答え
NDVIは主に芝の緑量・植生状態の変化を反射光から捉え、熱画像は表面温度を通じてその時点の蒸散や水分ストレスを捉えます。NDVIは比較的蓄積した変化、熱画像は急な水不足の兆候を見つけやすい一方、どちらも単独で原因を確定するものではありません。
詳しい解説
NDVIと熱画像は、同じ芝を見ても測っているものが違います。
NDVIは、植物が赤色光を強く吸収し、近赤外光を強く反射する性質を使った植生指数です。値の変化から、芝の緑量や被覆、植生状態の変化を追えます。芝が薄くなった、葉量が減った、長期的に生育が落ちてきた、といった変化を面で比較するのに向いています。
一方、熱画像は芝面や葉群の温度を見ます。植物は水が足りていると蒸散によって葉を冷やしますが、水分不足などで気孔が閉じると蒸散が減り、温度が上がりやすくなります。NASAのECOSTRESSも、この温度変化を利用して植物の水利用や水分ストレスを評価しています。
USDA Agricultural Research Serviceの資料では、葉群温度は「その時点のストレスの始まりや程度」を示しやすく、植生指数はより長い時間にわたるストレスの影響を追うのに使えると整理されています。つまり、水切れが始まったばかりで芝がまだ緑に見える段階では、NDVIの変化が小さくても熱画像に温度差が出る場合があります。反対に、長く続いた生育低下や被覆の減少はNDVIで追いやすくなります。
ただし、熱画像の温度は水分だけで決まりません。日射、風、気温、湿度、影、撮影時刻、芝の密度などでも変わります。NDVIも、照明条件、土壌の見え方、密な植生での飽和などの影響を受けます。
実務では、熱画像で『今どこが熱くなっているか』を探し、NDVIで『その場所の植生状態が時間とともにどう変わっているか』を確認し、最後に水分計や目視で現地確認します。二つは競合する指標ではなく、時間軸の違う手掛かりとして組み合わせると使いやすくなります。