ゴルフで いう 「予測的姿勢調整」って 何?
バランス・姿勢制御
まず答え
予測的姿勢調整は、大きな動きで姿勢が乱れることを見越して、主動作が始まる前から筋活動や足元の力を調整する仕組みです。ゴルフではスイング前後の足圧変化を考える手掛かりになりますが、特定の圧移動だけを見て予測的姿勢調整と断定はできません。
詳しい解説
予測的姿勢調整(anticipatory postural adjustment)は、自分の動作によって身体のバランスが乱れることを見越し、主となる動作より前に姿勢制御系が準備を始める現象です。外乱が起きてから立て直す反応的な調整とは区別されます。
ShiratoriとAruinは、立位で素早い腕運動を行う実験で、腕の動作が生む回転方向の乱れに先行して姿勢筋の活動が変わることを示しました。また、支持面が固定されているか自由に回転できるかによって、その先行調整の大きさや組み合わせも変化しました。つまり予測的姿勢調整は、いつも同じ反応ではなく、予想される力や支持条件に合わせて変わります。
ゴルフでも、動作前の条件に合わせて足元や身体の使い方が変わる例があります。Kimらはプロ20人でボール位置を数センチ変えるだけでも、アドレス時の左右荷重、地面反力、身体各部の角度が連鎖的に変化することを報告しました。Petersonらも高技能者9人で片脚側を高くした不整地条件を作ると、左右脚の地面反力の向きや寄与を個人ごとに組み替えながら全体の力積を調整することを示しています。
ただし、これらのゴルフ研究で観察されたすべての早い足圧移動を、そのまま『予測的姿勢調整』と呼べるわけではありません。厳密に判定するには、主動作に対して筋活動やCOP・地面反力がいつ変わったかを時間的に確認する必要があります。
実用上は、切り返し前後の足圧変化を『早いほど良い』と単独評価せず、その変化が本人の動作条件に先行した準備なのか、打点・クラブ挙動・バランスを保つのに役立っているかを合わせて見ます。予測的姿勢調整は、特定の踏み込み動作を全員へ当てはめる処方ではなく、身体が予想される動きに先回りして安定性を準備する仕組みを表す言葉です。