ゴルフの 「骨盤切り返し」とは?
切り返し・骨盤
詳しい解説
骨盤切り返しは、骨盤がバックスイング方向の回転からダウンスイング方向の回転へ移る瞬間・短い移行区間を指します。見た目の「腰を切る」という指導用語より、3次元動作解析では骨盤の回旋角度と角速度の時系列から定義する方が明確です。
代表的には、骨盤の軸回旋角速度がバックスイング方向から減速してゼロ付近を通り、その後ダウンスイング方向へ符号を変える時点を切り返しとして扱えます。ただし、使用する座標系や正負の定義、回転成分によって数値は変わるため、単に「トップの時刻」と同義にはできません。クラブ、胸郭、肩、骨盤はそれぞれ別の時点で方向転換することがあります。
Hanらの2019年研究では、ハンデ3以下の熟練男性74人のドライバースイングを3次元計測し、骨盤を含む複数セグメントについてバックスイングからダウンスイングへ移る時点を求め、切り返しの順序を比較しました。切り返しは身体各部が完全に同時に起こる一つの瞬間ではなく、近位側から遠位側へ向かう完全または部分的な順序として現れる傾向があり、スイングタイプによる違いもありました。
またTakagiらは右打ち熟練者31人のドライバーで骨盤の長軸まわりの角速度を解析し、骨盤回転の加速・減速を生む力学的要因を検討しています。こうした研究では、骨盤の「向き」だけでなく、いつ回転方向が変わり、その後どのように角速度が立ち上がるかを連続データとして扱います。
したがって、骨盤切り返しは「腰を最初に強く回せばよい」という処方そのものではありません。実用上は、①骨盤が方向転換した時刻、②胸郭・腕・クラブの方向転換との時間差、③その後の骨盤角速度、④打点・球速・方向性を同じ条件で見ます。切り返し時刻が早い・遅いだけで良否を決めず、本人の一連の運動順序として評価するのが安全です。