ゴルフ百科事典

3Dスイング解析でモーションデータを「平滑化」するのはなぜ?

3Dモーションキャプチャ・信号処理

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まず答え

3Dモーション計測の生データには、カメラやマーカー追跡などのが含まれます。位置データから速度や度を計算するとノイズが増幅されやすいため、平滑化や低域通過フィルターで不要な高周波成分を抑えます。ただし強くかけすぎると本来の速い動きまで消えるため、固定の設定を全計測に当てはめるのは適切ではありません。

詳しい解説

3Dスイング解析では、カメラやマーカーから身体・クラブの位置をフレームごとに求めます。ところが生の座標には、画像の分解能、3D再構成、マーカーの微小な揺れなどによる測定ノイズが混ざります。

特に問題になるのは、位置から速度、さらに加速度を計算するときです。時間微分は細かな揺れを大きく見せやすく、実際には起きていない急な速度変化や加速度ピークが数値に現れることがあります。DavisとChallisの2021年の研究も、光学式モーションキャプチャの運動学データを時間微分するとノイズが増幅されることを前提に、フィルタリング方法を比較しています。

そこで使われるのが平滑化や低域通過フィルターです。人の動きとして残したい比較的ゆっくりした成分を残し、測定ノイズとして扱う高周波成分を弱めます。方法はButterworthフィルター、スプライン、ウェーブレットなど複数あります。

フィルターは細かな変動を減らす一方、処理を強くするとピークやタイミングなど必要な特徴も変えることがあります。ここでは処理の違いを示すため合成信号に移動平均を適用しています。七点という窓幅は推奨設定ではなく、実際は計測周波数、動作、目的、フィルター方式に合わせて選びます。

ただし、滑らかにすればするほど正確になるわけではありません。Schrevenらの2015年の研究では、3D運動データに一律6 Hzのカットオフ周波数を使うと、条件によっては未処理データより精度が低下し、適切なカットオフは測定位置や被験者でも変わりました。IsmailとAsfourの1999年の研究も、複雑な運動では単純なデジタルフィルターだけでは十分でない場合があるとして、ウェーブレットによる平滑化を検討しています。

ゴルフスイングは短時間に高速な変化が起きるため、強すぎる平滑化は実際のピークやまで削る可能性があります。解析値を見るときは「平滑化したか」だけでなく、どの信号を、どの方法と設定で処理したかまで含めて判断するのが安全です。