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ギア/シャフト 調査・執筆 公開

MCIシャフトの違いと選び方

新旧モデル・50〜120の振り心地とトラヴィル比較

アイアンをカーボンに替えたい。でも、軽くしたせいで球が散るのは困る。MCIを調べると50から120まで数字が並び、同じ90Sでも新旧がある。さらにトラヴィルも気になる。名前だけでは、どれから打てばいいのか分かりにくい。

2025年に変わった新MCIでは、手元の重さを感じて切り返せるRと、手元に張りを感じるSで好みが分かれそうだ。トラヴィルと比べると、当たり際に先が動いて球を拾う感触がMCIの方にあったという試打もある。

新旧90S、50〜100の重量帯、MCIとトラヴィル。実際に打った人の感触と球の出方をたどって、自分なら何と何を打ち比べるかまで考えてみたい。

国内公式仕様と試打者本人の記述をもとにした比較。GOLF DNAが全モデルを実打測定した記事ではない。比較条件と資料の位置づけは末尾に記載。

同じMCIでも、2025年の新型と旧型を分けて見たい

新MCI 70 FLEX S。濃いグレーのシャフトに白いMCロゴ
2025年モデルのMCI 70 S。写真:フジクラシャフト。未加工。

現行の新MCIは50・60・70・80・90・100の6重量帯で、すべてにRとSがある。旧型には110・120やXもあったため、中古や旧在庫を含めて探すと、世代の違うシャフトが同じ検索結果に並ぶ。

まず確認したいのは、重量の数字より年式と正式なモデル名。ここで新旧を比べるのは通常のMCIで、MCI BLACKやウェッジ用のSOLID/MILDは別設計だ。旧120を、新MCI100の上に続く現行モデルとして扱うと選び方を間違える。

旧MCI 70-S。シルバーのシャフトにMCIと赤いMCTロゴ
旧MCI 70-Sの公式製品写真。写真:フジクラシャフト。未加工。

旧90Sから新90Sへ。握った太さと、しなり始めの感触が変わる

旧90Sを長く使ってきたマイゴルフクラブの中島は、新90Sを握ると右手側がやや太く感じられたと書いている。ただ、振ると手元はしなやかで、切り返しを合わせやすかったという。太く感じることと、振って硬いことは同じではなかった。

球ではスピンが増えた感覚があり、旧型よりつかまり過ぎなかったという。新旧ともプロV1xを使った本人の例だ。今のMCIで左へ巻く球が気になるなら、重くする前に同じ重量帯の新型を比べる理由になる。

フジクラが新型で狙ったのは、スピンと振り心地の改善。金属複合による重心調整を残し、新たな繊維の積層設計を加え、番手間の握り感も揃え直している。メーカーの13人による比較では、スピンなどが増える傾向を確認している。

メーカー特集の堀尾研仁による新旧比較でも、スピンと落下角が増えた例がある。一方で、低く出して転がす球が使いやすい人まで、今の旧型を替える必要はない。買い替えで欲しいのは新しさより、グリーンで止まらない球や左のミスがどう変わるかだ。

新MCIの50〜100。重さを残してRを選ぶこともできる

新MCIの国内公式仕様。重量は7番用の公表値で、完成クラブ重量ではない
モデルRSトルク R/S調子
5053g55g3.4°/3.4°中
6063g65g2.7°/2.7°中
7073g75g2.4°/2.4°中
8084g86g1.8°/1.8°中
9094g96g1.7°/1.7°中
100104g106g1.5°/1.5°中

新型で選び方が広がったのが100Rだ。旧100はSとXだったが、新型は104gのRを選べる。重さは欲しいのに、切り返しで硬さに負ける。そんな人は、90Sから軽くする方向だけでなく、100Rで重さを残す方向も試せる。

表のトルクはRとSで同じ。それでも、この後に紹介する試打では手元の感触が違っている。数字が小さい順に硬さや左への行きにくさを並べても、RとSを選び分ける答えにはならない。

50・60・70は、RとSの切り返しを比べると違いが見える

クラブナビゲーターの吉田朋広が、新MCIの50・60・70を打ち分けている。Rではしなりを待ちやすく、Sでは手元の張りが目立つという感触だった。以下は、その本人試打を短くまとめたものだ。

新MCIの軽量3重量帯。感触と球筋は吉田朋広の試打例
重量帯Rの感触・球Sの感触・球
50軽くても手元に手応え。先が暴れる感じは少なく、高さが出た切り返しで張りを感じる。合えば振り抜きが速く、つかまりは控えめ
6050Rより重さを感じて待てる。滑らかに動き、高い球になったRより切り返しが硬い。合えば厚く当たり、高さも出た
70力まず切り返せて、当たり際は球を押せる感触手元から中間に張り。その先の動きで球を拾える感触

軽量化したい人が迷いやすいのは、60Sと70Rのように重さと硬さが逆になる組み合わせだ。「軽くて硬い方が振れる」のか、「少し重くても切り返しで待てる方が当たる」のか。どちらも試すと、自分が欲しい軽さが振り抜きなのか、しならせやすさなのかが見えてくる。

Sで切り返しを急いだり、球を上げようと手を使ったりするなら、軽くする前に同じ重量のRへ戻してみたい。軽いSが、少し重いRより楽とは限らない。

80・90・100は、先の動きと重さの使い方が分かれ目

同じ吉田の80・90・100の試打は、EPON AF507の7番を使用。80Sには当たり際の動き、90Sには先の動きの少なさ、100Rには重さを使って待てる感触があったという。

新MCIの中・重量級。感触と球筋は同じ打者による例
重量帯Rの感触・球Sの感触・球
80切り返しにしなりを感じ、高さも出た手元から中間に張り。先の動きで当たり際に速さを感じた
9080Rに近い穏やかさで、重さを使って切り返せた先の動きが控えめで、真っすぐ振り抜く感触
100ずっしりしているが待ちやすい。つかまり過ぎずスピンも得られた全体にしっかり。十分に負荷を掛けられないと高さが出にくいと評価

80Sの球の拾いやすさは好きだけれど、当たり際にもう少し静かでいてほしい。そういう人は90Sを比べたい。反対に、90Sで先の動きを感じられず球が低くなるなら、80Sに戻すと、どこで球を上げていたか確かめやすい。

重いスチールから替える人なら、100Sだけで決めず100Rも打ちたい。重さで切り返しの間を作れるなら、Rの方が最後まで振り切れることもある。Sで打てた一球の強さより、続けて打ったときの高さとキャリーが揃うかを見よう。

旧110・120もある。ただし、新型と同じ数字で置き換えない

旧MCI通常モデルの公式アーカイブ。旧表の基準番手は明記されず、新型の7番用重量との差し引きには使えない
旧モデルRSX調子
5055g57g設定なし先中
6065g67g設定なし先中
7073g75g設定なし先中
8084g86g設定なし中
9092g94g設定なし中
100設定なし104g106g中
110設定なし113g115g中
120設定なし122g124g中元

旧型は50〜70が先中調子、120が中元調子。新型の50〜100はすべて中調子になっている。旧50Sに慣れている人が新50Sへ替えるときも、単なる色替えとして注文しない方がいい。

旧110・120を使っている人には、同じ重さの現行MCIがない。新100は軽量化する候補として、トラヴィル105・115は重さを残す候補として分けて試したい。旧110・120と新100を同じヘッドで比較した十分な資料は今回確認できず、どちらが粘る、どちらが低いとは言い切れない。

また、旧100Xと新100Sは、公表重量だけならどちらも106g。これで硬さが同じとはならない。中古を探すときは、重量とフレックスに加えて世代まで確認しておこう。

MCIは当たり際の動き、トラヴィルは手元のたわみを比べたい

吉田が新MCI80Sとトラヴィル85Sを比べた感触は分かりやすい。MCIは手元に張りがあり、先の動きで球を拾いやすい。トラヴィルは手元のしなりを感じやすく、先端はしっかりしている。球を上げるときの助けを、どこに感じるかが違っていた。

ゴルフサプリで両者を比較した吉本巧も、MCIは球離れが速い感触、トラヴィルは球を長く持つような感触と表現している。トラヴィルのゴム層による戻り方が好きな人もいれば、MCIのすっきりした感触の方が振りやすい人もいる。

比較を始める重量の近い組み合わせ。国内公式の7番用重量で、硬さの換算表ではない
新MCIトラヴィル公表重量差
70S:75g75S:77g2g
80S:86g85S:88g2g
90S:96g95S:99g3g
100S:106g105S:108g2g

まず80Sと85Sを交互に打つなら、トップから下ろすときに待てるか、インパクトでヘッドが先へ出る感じが欲しいかを比べたい。MCIで当たり際が忙しくなるならトラヴィル、トラヴィルで戻りを待ち過ぎるならMCI。そのうえで、打点と左右の散り方が減る方を残す。

新MCIも高さとスピンを狙っており、トラヴィルも高い球だけで止めるわけではない。「MCIはスピン、トラヴィルは高さ」と二択にすると、実際の球を見誤る。飛び出した角度だけでなく、頂点、落ち方、キャリーまで見て、普段のアイアンで止めたい場所へ運べるかを確かめたい。

迷ったら、悩みに合う二本から打つ

最初から12仕様を全部打つより、今の不満が変わりそうな二本を選びたい。次の組み合わせはGOLF DNAの編集上の試打提案。適正モデルを断定するものではない。

次に試す二本と、打ちながら見ること
いまの悩み比べる候補残す方の見つけ方
旧90Sで左へ巻く球が気になる旧90Sと新90S握り感を確かめ、同じ球で打ち出し方向と左の外れ方を見る
軽くしたいが、60Sでは切り返しが窮屈新60Sと新70R重さを増やす方が、力まず切り返して振り切れるか
新80Sで先の動きが気になる新80Sと新90S当たり際が落ち着き、高さとキャリーも残るか
100Sを振ると球が低く、後半つらい新100Sと新100R重さを残したまま、球の上がり方と連続して打つ負担が変わるか
MCIとトラヴィルで迷う新80Sとトラヴィル85Sなど手元で待つ感触と当たり際の動き。合う方で左右と前後の散り方が減るか

一発だけ遠くへ飛んだ球より、少し薄く入った球、少し振り遅れた球がどこまで外れるかを見たい。MCIを選ぶ理由が軽さでも、軽くしたあとにアイアンの距離を合わせにいく振り方になってしまうなら、もう一段重い候補へ戻っていい。

同じヘッドで比べたい。握りと長さでも印象は変わる

新旧を替えるときは、同じグリップ名でも握った太さを確かめたい。新型の外径設計が変わっているので、巻き方まで含めて右手側の感触を合わせるか、あえて変えるかを工房と相談すると違いをつかみやすい。

今回のMCI80Sとトラヴィル85Sの原試打は、完成長がそれぞれ37.25インチと37インチ。純粋にシャフトだけを交換した同一条件の測定ではない。自分が選ぶときは、できるだけ同じヘッド、ロフト、長さ、球で交互に打ちたい。

差し込み寸法も新旧で表記が異なる。手元にあるヘッドへそのまま挿せると思い込まず、工房に適合と組み上がりを確認してもらおう。比較で気に入った振り心地を、自分のクラブでも再現するためだ。

よくある疑問

新MCIと旧MCIは何が違う?

2025年モデルは積層と外径設計を見直し、50〜100のR/Sへ構成を変更。旧90S使用者の新90S試打では、右手側の太さを感じながらもしなりを合わせやすく、スピン増加とつかまり過ぎの抑制を感じた例がある。

新MCIに110・120やXはある?

今回確認した国内の現行ラインナップは50〜100の各R/S。通常MCIの110・120やXは旧モデルの公式アーカイブにある。MCI BLACKなど別製品を通常MCIの続きとして混ぜないようにしたい。

新MCI100Rはどんな人が試す候補?

重量は残したいがSで切り返しに力が要る人の比較候補。104gの公表重量で、本人試打には重さで待てる感触と、つかまり過ぎない球の例がある。Sが振れないなら必ず軽量化、という選び方以外もできる。

Rにすると左へ行きやすくなる?

フレックス文字だけでは決まらない。Rで切り返しを待てることで当たり方が変わる人もいる。今のSと同重量帯のRを同条件で打ち、左へ外れた球まで含めて比べたい。

MCIとトラヴィルはどちらが球が上がる?

全重量帯で一律に順位は付けられない。両方に高い球の試打例がある。MCI80Sの先の動きと、トラヴィル85Sの手元のたわみを比べ、力まず上がってが揃う方を探したい。

旧MCI120から新MCI100へ替えてもいい?

軽量化の候補にはなるが、同じ重さ・同じ設計の後継ではない。重さを残すトラヴィル115なども並べ、後半の振り切りやすさと球の散り方で比較したい。

同じ重量なら新旧で硬さも同じ?

同じではない。例えば旧100Xと新100Sは公表重量が106gで一致するが、設計もフレックスも異なる。旧表と新表では重量の基準条件も揃っていないため、装着後の差は実測して確かめる。

トルクが小さい方が曲がらない?

数値だけでは決められない。新MCIは同重量のR/Sで公表トルクが同じでも手元の感触が違う。球の方向は当たり方やヘッドも関わるので、トルクだけを理由に左のミスが減るとは言えない。

参考資料と試打条件

資料確認:2026.10.26。メーカーの説明、原試打、GOLF DNAの試し方の提案を区別して参照しています。

  1. フジクラ/NEW MCI 国内現行製品仕様

    2025年更新モデル、6重量帯12仕様、7番用の公表重量・トルク・中調子を参照。13人のヒューマンテストはメーカーによる傾向。バット径は端部から150mm。海外版の別スペックは混在させていない。

  2. フジクラ/過去モデル・通常MCI

    通常MCI50〜120の公式アーカイブ。旧重量表の基準番手は明記されず、新型7番用との重量差・装着後の差へ換算しない。BLACK、SOLID/MILDは別製品。

  3. フジクラ/新MCI試打・開発特集

    メーカー販促企画。堀尾研仁の新旧比較を本人の一例として参照。各仕様、ヘッド、ロフト、長さ、球、球数を全て確定できず、数値差の一般化はしない。他出演者のマイクラブ比較を旧MCI比較に読み替えていない。

  4. マイゴルフクラブ中島/新旧90Sの本人試打

    2025年9月14日。旧90Sの継続使用者による新90Sとの比較。球は双方プロV1x。ヘッド/ロフト/完成長/グリップ/計測器/球数は未確認。本人の感触のみ参照し、トルクが左ミス減の原因という説明や、公式と食い違う製造国の記述は採用していない。

  5. みんなのゴルフダイジェスト/吉田朋広の新MCI50・60・70試打

    2025年8月19日。ゴルフステージ成城・吉田朋広のR/S本人試打。本文にヘッド型番/ロフト/長さ/球/球数の統一条件は記載を確認できず、後編のAF507条件を前編へ転用しない。提供・協賛の詳細は未確認(ページ末尾の汎用スポンサー表示は名称空欄)。振動数、万人への推奨、ヘッド差への一般化は不採用。

  6. みんなのゴルフダイジェスト/吉田朋広の新MCI80・90・100とTRAVIL比較

    2025年8月26日。EPON AF507の7番。MCI80S37.25インチ/TRAVIL85S37インチと長さが異なる。ロフト/グリップ/球/球数は未確認。試打者の感触を採用し、振動数の差を一般の硬さ換算にしない。提供・協賛の詳細は未確認。

  7. ゴルフサプリ/吉本巧のMCIとTRAVIL比較

    2026年9月17日。吉本巧本人の打感・球離れの比較。重量/フレックス/ヘッド/ロフト/長さ/球/球数は明記を確認できず、同条件測定や全重量共通の順位に使わない。高さとスピンの二者択一、飛距離や技量での一律な分類は採用していない。

  8. フジクラ/TRAVIL IRON 国内現行仕様

    前回制作時の保存原本を再利用。7番用公表重量、構造を参照。同じ重量に近づける比較の入口であり、硬さの等価換算ではない。

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