ゴルフ業界分析

公表資料・ロストボール業界調査 · 2026年10月30日公開

池に落ちたボールは、誰の売上になるのか

ゴルフ場との契約、買取と売値、選別・在庫、複数年の変化。水や土に長くあった球の品質も実験資料から調べた。

GOLF DNA編集部 · 2026年10月30日調査

01

なくした球には、次の買い手がいる

池に落ちて諦めた球が、洗われ、袋に詰められ、ゴルフ場の売店や通販に戻ってくる。国内ではグリーンズが年間320万球の販売実績を掲げ、米国のPG Golfは2026年の資料で年間5,500万球超を回収・処理・再販売すると説明する。すでに大量の球を動かす商売になっている。

では、コースにはいくら入り、業者はいくらで仕入れ、店ではいくらで売るのか。公表している会社から規模と取引を追った。水や土に長くあった球の性能についても、池に沈めた実験、材料の劣化試験、傷付き球のロボット試験を調べた。

資料 [1] [5] [17]

公開資料から分かった、この商売の大きさ

公表資料・GD集計

国内卸の公表例

年間320万球

グリーンズが掲げる販売実績。対象年は記載なし。

米大手の2026年開示

年間5,500万球超

PG Golfの回収・処理・再販売に関する公表規模。

公開された買取1件

平均22.12円/球

REGOLFの4,578球・10万1,250円をGDが計算。

会社の売上高・全国市場規模を示す数字ではない。集計対象の違う3つの例を並べた。 [5] [17] [3]
02

ゴルフ場が球代を受け取る契約もある

ECO BallやPG Golfは、ゴルフ場から回収した球を買い取ると案内している。コースにとっては、池にたまった球が売却収入になる。ゴルフテーラーは池の無料回収を案内しており、こちらは回収作業の料金をコースに請求しないという説明だ。

契約によっては、作業料や清掃費をコースが払う。球の買取代金と相殺するなら、両方の明細を確認しないと手取りが分からない。作業できる時間、清掃する範囲、搬出方法、球数の数え方まで、コースと業者が決めることになる。

資料 [18] [4] [8] [9]

「回収代を払う」のは、どちらか

契約とお金の流れ

球の買取

業者 → ゴルフ場

回収球に値を付けて買い取る。PG GolfやECO Ballなどに案内がある。

無料回収

コースの作業料0円

ゴルフテーラーが池回収を無料と案内。球の買取代金まで約束する表示ではない。

作業の受託

ゴルフ場 → 業者

清掃範囲や作業人員などで費用が生じる契約もある。

回収箱・寄付

売却代金 → 支援先

来場者が不要球を寄付する静岡の取り組み。池の回収契約とは入口が違う。

契約の整理。球の代金、作業費、清掃費を相殺する場合は、それぞれの明細がないとコースの実収入は分からない。 [18] [4] [8] [9] [25]
03

回収の後に待つ、洗浄と選別

持ち帰った球には、泥、傷、変色、名前の書き込みがある。銘柄も年式もばらばらだ。洗ってから状態を調べ、店で売れる組み合わせにそろえる。

Pro V1にそろえる商品、安い銘柄を混ぜた商品、企業ロゴ入りの商品、傷を許容する練習向けの商品。仕分けを細かくすると、それだけ作業も在庫の種類も増える。回収、洗浄、卸売、通販まで一社で行う業者もあれば、途中で別の会社へ渡す業者もある。

高く売れる球を抜いた後に残る球にも、売り先が要る。安い混合品や練習用途まで扱うのは、そのためでもある。

資料 [4] [7] [2]

回収から販売までの全体図

工程と分岐の図
コースとの回収契約から、洗浄・選別を経て再販売、練習用途、雑貨加工・処分へ分かれる図。
  1. 回収契約から洗浄へ

    ゴルフ場 → 契約 → 専門業者が回収 → 洗浄・検品。

  2. 状態で振り分ける

    コース用に再販/練習用途/雑貨などの別用途・処分。

全体図を大きく見る →

各社の公開サービスを基に整理。図は洗浄品の工程を示す。再塗装は一部事業者が行う別工程。 [4] [7] [8] [1]

池から売店・通販へ戻るまで

工程図
  1. 契約

    コースと作業範囲、立入時間、代金などを決める。

  2. 回収

    池、OBゾーン、回収箱などから集め、搬出する。

  3. 洗浄・検品

    泥を落とし、傷・変色・銘柄・年式を確かめる。

  4. 商品化

    状態や銘柄ごとに分類。袋詰めし、表示を付ける。

  5. 販売

    卸先の売店・量販店、自社通販などへ。

  6. 売れない球

    練習用途への販売、雑貨加工、処分などを検討する。

公開サービスを基にGD編集部が整理。回収・卸・通販を同じ会社が兼ねる場合もある。 [4] [7] [1]
04

「最高120円」の査定例は、平均22.12円だった

REGOLFが掲載する4,578球の買取例は、合計10万1,250円。割ると1球22.12円だった。120円の査定が付いたのは112球で、全体の2.45%。残りには50円、20円、10円、5円の球がある。

最高額は、最新年式で状態のよいスピン系ボールなどに付く。混ざった球をまとめて売るときは、各ランクの球数と査定額を見る方が受取額をつかみやすい。最低数量、対象外の球、査定を断った際の返送料も、窓口によって違う。

この平均22.12円は、公開された一件の計算値。全国の買取相場ではない。

資料 [3] [12] [10]

最高120円でも、4,578球の平均は22.12円

公表された1件の内訳・GD計算
120円の球
112球
50円の球
907球
20円の球
1,096球
10円の球
1,645球
5円の球
818球
査定単価球数査定金額
120円112球13,440円
50円907球45,350円
20円1,096球21,920円
10円1,645球16,450円
5円818球4,090円
計4,578球101,250円
REGOLFの掲載実例を再計算。120円の球は112球、2.45%。掲載時点・モデルの内訳は非開示で、全国平均ではない。 [3]

同じ「買取」でも、送れる球と送料が違う

公表資料・GD集計
窓口最低数量など見落としやすい条件
LOST BUYKING(I GOLF)最低500球、直接・宅配買取対象地域や最新条件を発送前に確認。
球手箱おおむね500球以上は指定便着払い500球未満は自費発送、または着払い時に査定額から500円控除の案内。
REGOLF約500球から。宅配・対象地域の出張買取不可品だけの荷物は受付不可で着払い返送。レンジ球は同サービスの対象外。
2026年10月30日の公開条件。宅配の「送料無料」と、どんな中身でも無料処分できることは同じではない。 [12] [10] [3]
05

売る値段は、1球約37円から約312円まで

I GOLFの現行カタログには、傷や汚れなどを含む30球入り1,100円の商品がある。1球約36.67円だ。低価格銘柄中心の20球1,100円は55円、上級銘柄中心の6球1,870円は約311.67円になる。いずれも税込の参考小売価格で、送料は含まない。

Pro V1にそろえた20球2,200円の商品は、目立つ傷やこすれなどを含む品質区分だった。銘柄が高級でも、傷の程度は商品ごとに確かめたい。価格差には銘柄、状態、入り数、包装の違いが含まれる。

資料 [2]

同じ中古球でも、参考売価は1球約37〜312円

公表資料・GD集計
グレー30P
36.7円
オレンジ20P
55円
どっさりV1 20P
110円
グリーン20P
126.5円
ブラック6P
311.7円
商品例税込参考売価1球換算
グレー30P・傷などあり30球 1,100円36.67円
オレンジ20P・低価格銘柄中心20球 1,100円55.00円
どっさりV1 20P・傷などあり20球 2,200円110.00円
グリーン20P・中価格銘柄中心20球 2,530円126.50円
ブラック6P・上級銘柄中心6球 1,870円311.67円
I GOLF現行リンクのVol.8、PDF2・5・6・8・11ページ。参考小売価格であり、業者への卸価格でも成約価格でもない。送料は含めない。銘柄と品質が違うので、価格差を品質だけの効果とは扱わない。 [2]
06

国内のプレー量と、米大手の取扱規模を追う

国内の延べゴルフ場利用者は、NGKの年度集計で2022年度9,129万人、2023年度8,968万人、2024年度8,750万人。直近2年は減ったが、2019年度の8,597万人を上回る。

PG Golfの資料では、年間5,000万球超だった表記が2026年に5,500万球超へ変わった。こちらは米大手一社が公表する取扱規模の変化だ。国内のロストボール販売について、同じ条件で毎年つながる統計は見つからなかった。

プレーした年と、球を回収して売る年にはずれがある。池の古い球や家庭の不要球も仕入れに入るため、利用者数の増減をそのまま中古球の販売増減へ置き換えることはできない。

資料 [23] [15] [16] [17]

国内のプレー需要は2022年度を境に減少

需要の背景・業界統計
延べ利用者数・万人02,5005,0007,50010,000201520172019202120232024延べ利用者数・万人
延べ利用者数・万人02,5005,0007,50010,000201520192024延べ利用者数・万人
年度延べ利用者数
20158,775万人
20168,578万人
20178,554万人
20188,488万人
20198,597万人
20208,135万人
20218,969万人
20229,129万人
20238,968万人
20248,750万人
NGK資料の丸め値。税納入時点での年度集計で、2024年度はプレー実行月2024年3月〜2025年2月。人数は延べ数。ロストボールの回収量・販売量を示すグラフではない。 [23]

PG Golf:2024〜2026年資料で公表規模を追う

複数年の企業開示・「超」の値
2024年資料・超
5,000万球
2025年資料・超
5,000万球
2026年資料・超
5,500万球
公表資料年間球数の表記年間重量の表記回収地域
2024 Proxy5,000万球超約2,500 tons43州
2025 Proxy5,000万球超約2,500 tons43州
2026 Proxy5,500万球超約2,750 tons42州
棒は開示された下限を表示し、上端は実測値を意味しない。資料公表年による比較で、個別の対象会計年度は明記されていない。売上成長率・市場シェアは計算していない。tonsは原文表記。 [15] [16] [17]
07

老舗は通販、個人買取、自動洗浄へ進んだ

I GOLFは1967年にロストボール卸売業を始めた。沿革には、2010年の楽天市場出店、2019年の個人向け買取サイト開設、2021年の自動洗浄システム導入が並ぶ。ゴルフ場からの仕入れと店舗への卸に、家庭からの買取とネット直販が加わった。

2023年にはTheLostを展開し、2024年にはシミュレーター用のマーキングプリントを開始。2026年4月に商品をTheLostへ統合した。中古球でも、銘柄、品質、包装をそろえたシリーズとして売っている。

資料 [1] [3] [27]

卸売の老舗が、通販・個人買取・機械化へ

事業の変化・年表
  1. 1967年

    I GOLFの前身が創業

    国内卸売の長い歴史。最近できた回収ビジネスではない。

  2. 2010年

    I GOLFが楽天市場へ出店

    沿革に記載。ゴルフ場・店舗への卸にネット直販が加わる。

  3. 2018年

    AcushnetがPG事業持分80%を取得

    取得対価1,440万米ドル。新品メーカーが中古市場にも入る。

  4. 2019年

    I GOLFが個人向け買取サイトを開設

    家庭に眠る球を集める経路が加わる。

  5. 2021年

    I GOLFが自動洗浄システムを導入

    同社沿革の記載。設備投資額や生産性の実測値は非開示。

  6. 2022年

    PG Golfの残る持分をAcushnetが取得

    取得対価500万米ドル。PGの水再利用設備も2022年導入と後年資料に記載。

  7. 2022年9月〜2025年9月

    REGOLFが累計100万球超を買取

    3年間の累計。毎年100万球の意味ではない。

  8. 2023〜2024年

    I GOLFが商品ブランド・印刷用途を拡大

    2023年TheLost展開、2024年シミュレーター用マーキングプリント開始。

  9. 2025年

    ゼビオが練習場用品のリユース事業を発表

    年間100万球・マット4,000枚規模を想定。実績達成値ではない。

  10. 2026年

    PGの公表処理規模は5,500万球超に

    2024・2025年資料の5,000万球超から記載が変わった。

  11. 2026年4月

    I GOLFがTheLostへ商品を統合

    中古球にも商品シリーズと包装による売り分けが進む。

企業沿革・年次開示・発表を並べた。売上の連続統計ではない。 [1] [13] [14] [3] [27] [17]
08

タイトリストの親会社も、中古球を売っている

Acushnetは2018年、PG Professional Golfの事業持分80%を1,440万米ドルで取得した。2022年にはPG Golfの残る持分を500万米ドルで取得。比較用に現在の為替で換算すると、それぞれ約22.73億円、約7.89億円になる。

PGは回収・処理した球を、小売店、ゴルフ場の売店、通販へ流す。新品の高級球を作るグループが、中古球を買う人への販売経路も持っている。中古事業だけの売上や利益は、確認した親会社資料に分離した記載がなかった。

資料 [13] [14] [17] [33]

新品メーカーが中古球事業を買った金額

公表資料・GD集計

2018年10月・事業持分80%

1,440万米ドル
約22.73億円

PG Professional Golfの一定の資産・負債に係る持分の取得対価。

2022年4月・残る持分

500万米ドル
約7.89億円

内訳は現金360万ドルと条件付対価140万ドル。

円は2026年10月29日17時の日銀USD/JPY 157.82–83の中値157.825円で比較用に換算。当時の決済円額ではない。2件は時期・対象条件が違い、足し合わせて現在の会社価値とはしない。 [13] [14] [33]
09

洗浄品か、再塗装品かを確かめる

ロストボールの「再生」には、汚れを洗い落として選別するものと、外装の仕上げを処理して塗装・印字をやり直すものがある。GolfBallNutは再塗装品の工程を公開している。白くきれいな外観だけでは、元の傷や加工履歴までは分からない。

販売店のランクも独自基準だ。球手箱はA・AB・B・C、I GOLFは商品シリーズや星数などを使う。年式混合なのか、企業ロゴやマジック書きを含むのか、どの程度の傷を許すのか。買う店の商品説明で確かめる必要がある。

資料 [22] [11] [2]

洗浄、再塗装、素材・雑貨への再利用

加工の違い・説明図

洗浄して再使用

中古球の販売

表面の泥や汚れを落とし、状態で選別。元の銘柄・世代を確認する。

外装を加工

再塗装品

古い仕上げを除去し、塗装・印字・クリア処理などを行う。洗浄品と工程が違う。

ゴルフ球以外へ

雑貨などに加工

傷などで再販しにくい球を鉢や小物へ。ゴルフ球としての性能回復を意味しない。

販売先がない

保管または処分

雑貨になる量と、不要球の発生量が釣り合うかは別途確認が要る。

事業者の加工説明と取材を基に整理。「再生」の一語で全部をまとめない。 [4] [22] [28] [29]

店が違えば、同じA表示でも中身はそろわない

品質表示を読むための整理
確認する表示買う側が確かめたいこと事業者側で起こる作業
銘柄と年式同じPro V1でも何年モデルか、年式混合か印字・サイドスタンプの識別、在庫分割
傷・変色許容する傷の写真や程度が示されているか傷、こすれ、ツヤ、変色を選別
ロゴとマーク企業ロゴ、名前、マジック書きを含むか同じ球でも別ランク・別単価に分ける
加工履歴洗浄品か、再塗装・再印字品か仕入れと表示の管理
不良時の対応誤銘柄・割れ・大きな傷をどう扱うか再検品、交換、返金、送料負担
球手箱はA・AB・B・Cを独自に定義し、I GOLFは商品シリーズと星数などで表示する。ランク間の業界共通換算表は、本調査で確認できなかった。 [11] [2]
10

池に1年沈めた実験は、新品のPro V1だった

RaffelとLongが2023年に発表した論文では、新品・未使用の2016年Pro V1を3つの池に最長12か月沈めた。池底の泥にも触れる条件だったが、洗浄後に測った飛距離と左右のばらつきに、乾燥保管球との統計的な有意差は出なかった。

143球を調べたこの結果は参考になる。ただし、使い込まれた回収球の試験ではない。1年後もの傷みは軽く、著者も使用前の傷がある球は今後の検討課題としている。アプローチのスピンやグリーンでの止まり方も、この実験の結果からは分からない。

国内の2015年の材料試験では、26℃の水で反発の変化は小さく、60℃・湿度60%では反発低下や硬さの変化が出た。水にいた期間だけで、あらゆる球の性能を決められるほど単純な結果にはなっていない。

資料 [20] [34]

池の試験で調べたこと、残ったこと

学術論文の条件・GD要約
項目実験の条件と結果
球新品・未使用の2016年Pro V1。計143球
環境3つの池、1・3・5・12か月。池底の自然の泥にも接触
打球洗浄後、ロボットのドライバーで比較。総飛距離(+ラン)と左右のばらつきに有意差なし
残る疑問使い込んだ球やカバーの傷、1年を超える期間、ウェッジのスピン・止まり方
実験は2017〜2018年、論文公表は2023年。全て最も軽い傷みの区分だった。「有意差なし」は、どの回収球でも同じ性能という保証ではない。 [20]

水だけの条件と、高温高湿では結果が違った

反発・硬さ試験/飛距離試験ではない
2015年論文の環境反発・材料に出た変化
26℃の水反発係数の変化は小さい。カバー硬さの変化も小さかった
60℃約240時間で反発係数が約1%以上低下
60℃・相対湿度60%約1,100時間で反発係数が約2%低下。カバーは硬く、は軟らかくなった
市販2ピース球の材料試験。室内24時間+乾燥24時間を経て測定。反発は1mから石板へ落とした結果で、打球の飛距離や曲がりを示す値ではない。池や土中での劣化日数に換算しない。 [34]
11

傷付き球は、初速が近くても低く曲がった

MyGolfSpyの傷付き球テストでは、初速、、が無傷の球に近くても、弾道は大きく変わった。中程度の擦り傷を付けた例は最高到達点が約9m低く、キャリーは40ヤード超短かった。軽い擦り傷の例でも、目標線から8ヤード超外れている。

ここでいう軽い傷も、カート道に当てたような目で分かる擦れだった。試したのは人工的に傷を付けた球で、水や土からの回収球ではない。だが、初速が出ていても球筋が変わる現象は、実際に起きていた。

一方、林やラフの土に長期間埋まった球を、洗浄後に同条件で打ち比べた公開実験は見つからなかった。内部への水分の侵入はメーカーが対策を研究してきた問題だが、何か月の埋没でどれだけ曲がる、という数字までは出せない。編集部としては、距離や曲がりを確かめる練習に、履歴の分からない回収球を混ぜるのは勧めにくい。

資料 [36] [35] [37]

傷付き球が、目標線から外れた距離

傷付き球の実打・下限の表示
軽い擦り傷
8yd超
中程度の傷
45yd超
同じ100mphのドライバー試験掲載された観測
軽い擦り傷目標線から8yd超(約7.3m超)外れた
中程度の擦り傷目標線から45yd超(約41.1m超)外れた。キャリー205yd、無傷の平均より40yd超短い
MyGolfSpyの2023年掲載記事。傷は原則としての右側。棒は本文にある「超」の下限で、平均値や誤差を示さない。特定の損傷条件での例で、土中埋没・長期浸漬の試験ではない。 [36]

「長く埋まった球」で、どこまで確かめられたか

確認できたことと、未検証の問い
問い今回得られた資料
洗っても残る傷や摩耗は弾道を変えるか人工的に擦り傷を付けた実打では、方向と高さが変化した
内部への水分侵入は起こり得るか材料試験とメーカー特許に、水分や高温高湿への検討がある
林やラフに長期埋没した球は洗浄後どれだけ変わるか埋没期間・銘柄・洗浄条件をそろえた公開実打データは見つからなかった
海辺の回収球はどうだったか軽い傷みの球も、波で激しく摩耗・破損した球も観察された
上の2項目は長期の陸上土中埋没そのものを試した結果ではない。泥を洗い落としたことと、表面形状や内部の状態を確認したことを区別する。 [36] [34] [35] [37]
12

回収・選別・送料を払って、いくら残るか

球代のほかに、人と車を回し、池では潜水作業の体制を用意する。持ち帰った後は洗浄・選別。通販まで行う会社なら、包装、保管、発送、決済や販売サイトの費用もかかる。

同じ1万球を回収しても、商品にできるのが5,000球か9,000球かで負担は変わる。仮に回収から処理まで20万円かかれば、前者は1球40円、後者は約22.22円。各社の実際の原価は非公表なので、ここは説明用の計算だ。

売り物にできた球も、在庫に残る間は売上にならない。人気銘柄の売れ行きに加え、安い球をどこへ何球売れるかも採算に響く。

資料 [4] [7] [10]

販売価格から引かれる費用

GD編集部による費用の整理
  1. 仕入れ

    コースや売り手に払う球代。回収権の契約条件も影響する。

  2. 回収・移動

    作業員、潜水、陸上の支援、車、移動時間、搬出。

  3. 洗浄・選別

    水・設備・人手。銘柄や年式を細かくそろえるほど仕分けが増える。

  4. 販売できない球

    低価格品への振り替え、長期在庫、廃棄・処分。

  5. 商品化・販売

    包装、保管、出荷、送料、決済やモールの費用。

  6. 販売後

    説明と違う商品への問い合わせ、再検品、交換・返金。

費目の整理であり、各社の実額・構成比を推定した図ではない。業者が卸だけをするか通販まで行うかで負担は変わる。 [4] [7] [10] [3]

売れる割合が下がると、1球あたりの原価が上がる

仮定による感度分析
販売可能率 50%
40.0円
販売可能率 70%
28.57円
販売可能率 90%
22.22円
1万球から販売に回せる球回収・処理費用を20万円と仮定1球に配賦する費用
5,000球200,000円40.00円
7,000球200,000円28.57円
9,000球200,000円22.22円
GDの仮定計算。20万円も販売可能率も実在業者の実績ではない。再販できない球の売却収入は0円とし、別途の販売費・送料・税は含めない。 [4]

8,000球を商品化しても、すぐ全部は売れない

仮定による在庫・売上の例
期間内に50%売れた
40万円
期間内に75%売れた
60万円
期間内に100%売れた
80万円
期間内販売率売れた球残った球売上
50%4,0004,000400,000円
75%6,0002,000600,000円
100%8,0000800,000円
仮に販売可能な球が8,000球、平均販売単価100円とした計算。利益ではなく売上。在庫を捨てた扱いにはしていない。期間や実際の回転率を示す資料はない。
13

潜水する人、陸上で支える人、運ぶ人

事業者が労働者を潜水業務に就かせる場合、厚生労働省の規則は潜水士免許を求める。ECO Ballも有資格者のチーム作業や安全管理を案内する。

濁った池で拾う人だけでなく、陸上で支える人、機材を整える人、回収物を搬出する人が要る。移動とコースのプレー時間に合わせる調整も仕事のうちだ。拾った球が商品になるまでには、人件費と設備費がかかっている。

資料 [30] [4] [18]

14

不要球17万球を売り、約86万円を寄付

静岡県ゴルフ場協会は、コースに回収箱を置き、来場者の不要球を売った代金を子ども食堂の支援へ回している。2026年の取材報道では、開始後1年間に18万8,671球を集め、17万1,857球を売り、85万9,285円を寄付した。

売れた球で割ると寄付額は1球5円。チャリティー用の回収箱から業者へ渡した取引で、店頭の小売価格とは異なる。家庭やバッグにたまった球が、まとまった支援金になった例だ。

資料 [25] [26] [28] [29]

回収箱の18万8,671球が、85万9,285円の寄付へ

地域事業の実績・GD計算

回収した球

188,671球

来場者の不要球を集めた開始後1年間の報告。

売却した球

171,857球

回収総数との差は16,814球。

寄付金

859,285円

売却球1球あたりに直すと5円。

売却できた割合

91.09%

この回収箱事業の集計。池から引き揚げた球の歩留まりではない。

静岡県ゴルフ場協会の事業と2026年6月28日公開の取材報道。掲載された3数値をGDが再計算。個別の集計開始・終了日は記事に記載なし。 [25] [26]
15

練習場の球は、売買と洗浄返却の両方がある

I GOLFは中古レンジ球を買い取り、卸売している。ワイズグローは練習場から球を回収し、洗って返す。施設の球を買って他へ売る商売と、持ち主へ手入れして返す商売がある。

ゼビオは2025年に練習場用品のリユース事業を発表し、年間100万球、マット4,000枚の規模を想定した。こちらは発表時の計画値で、達成実績ではない。

個人向けの買取窓口には、レンジ球を対象外とするところもある。コース球を売るときも、練習場の球を入れ替えるときも、送り先の取扱品目を先に確認したい。

資料 [7] [1] [27] [3]

練習場の球は、回収だけでなく洗浄返却も商売になる

公表資料・GD集計

入替え

中古レンジ球の売買

練習場間の入替えで、まとまった数量が動く。

保守

使っている球を洗って返す

ワイズグローは回収・洗浄・返却を案内している。

別用途

シミュレーター用の印刷

I GOLFは2024年にマーキングプリントを開始。

新規参入

大手小売もリユースへ

ゼビオの2025年発表は練習場用品が対象。年間球数は想定規模。

コース向けロスト球との混同を避け、練習場用品の周辺事業として整理。各球の仕様や納入条件は個別に異なる。 [7] [1] [27]
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安さを選ぶときも、使う球の状態はそろえたい

ロストボールは球代を抑えられる。年24回回り、毎回3球補充する仮定なら、年間72球。1球50円なら3,600円、150円なら1万800円、500円なら3万6,000円になる。

ただ、安さだけで選んだ球が距離や曲がりの確認に使えるかは、別に確かめたい。銘柄と年式が合っていても、傷や表面の荒れ、塗り直しの有無は残る。店のランクは選別基準であり、1球ずつ弾道を測った成績表ではない。

公表資料では、国内の年間数百万球、米大手の5,500万球超という取扱規模まで追えた。次に知りたいのは、売るランクごとの球数と、どんな品質検査を経て出荷するかだ。コースへ戻ってくる球の状態は、そこに関わっている。

資料 [5] [17] [2] [11] [36]

球代は、1球の差より1年分で見ると分かりやすい

読者向けの費用試算
仮定する使い方50円/球150円/球500円/球
年12回・毎回2球を補充1,200円/年3,600円/年12,000円/年
年24回・毎回3球を補充3,600円/年10,800円/年36,000円/年
年48回・毎回3球を補充7,200円/年21,600円/年72,000円/年
全てGDの仮定計算。紛失だけでなく傷などによる交換も含む補充数としている。50・150・500円は比較用の単価で、市場平均や特定商品の実売価格ではない。送料・ポイントは含めない。

「市場規模」を作る前に、数える対象を決める

統計の集計範囲
  1. 紛失した球

    その場で見つからなかった球。後でプレーヤーが拾うものもある。

  2. 業者が回収した球

    池の在庫をまとめて回収すれば、過去年の紛失球も混ざる。

  3. 選別して販売可能な球

    回収数から傷・割れなどを除く。用途ごとに条件が変わる。

  4. 売れた球と最終売上

    在庫を除き、一定期間に購入者へ売れた分を数える。

「年間ラウンド数×1人の紛失数」は仮定した発生量。業者の回収実績や小売市場の実績にはならない。新品用品市場の矢野調査は中古品(ロストボールを含む)を対象外としている。 [24] [23]

出典・参考資料

  1. I GOLF 会社情報

    [1] · 2026年10月30日確認

  2. I GOLF 2026カタログ vol8(現行リンク)

    [2] · 2026年10月30日確認

  3. REGOLF 買取条件・実例

    [3] · 2026年10月30日確認

  4. ECO Ball 回収・卸売

    [4] · 2026年10月30日確認

  5. グリーンズ 公式

    [5] · 2026年10月30日確認

  6. Yell 会社情報

    [6] · 2026年10月30日確認

  7. ワイズグロー サービス

    [7] · 2026年10月30日確認

  8. Golf Taylor 池回収

    [8] · 2026年10月30日確認

  9. REGOLF 回収サービス

    [9] · 2026年10月30日確認

  10. 球手箱 買取案内

    [10] · 2026年10月30日確認

  11. 球手箱 独自ランク

    [11] · 2026年10月30日確認

  12. I GOLF 買取王

    [12] · 2026年10月30日確認

  13. Acushnet 2019 10-K(会社配信)

    [13] · 2026年10月30日確認

  14. Acushnet 2024 Annual Report(現行CDN)

    [14] · 2026年10月30日確認

  15. Acushnet 2024 Proxy

    [15] · 2026年10月30日確認

  16. Acushnet 2025 Proxy(現行CDN)

    [16] · 2026年10月30日確認

  17. Acushnet 2026 Proxy

    [17] · 2026年10月30日確認

  18. PG Golf 回収サービス

    [18] · 2026年10月30日確認

  19. GCLS コース契約と還元

    [19] · 2026年10月30日確認

  20. Raffel・Long 2023年 池浸漬の実験論文

    [20] · 2026年10月30日確認

  21. MyGolfSpy 2021 Reload再塗装球 実測テスト

    [21] · 2026年10月30日確認

  22. GolfBallNut 再塗装品の説明

    [22] · 2026年10月30日確認

  23. NGK 2024年度ゴルフ場利用者数

    [23] · 2026年10月30日確認

  24. 矢野経済研究所 ゴルフ用品市場の定義

    [24] · 2026年10月30日確認

  25. 静岡県ゴルフ場協会 SDGs

    [25] · 2026年10月30日確認

  26. みんなのゴルフダイジェスト 回収事業取材

    [26] · 2026年10月30日確認

  27. ゼビオ 練習場用品のリユース事業

    [27] · 2026年10月30日確認

  28. I GOLF 公式

    [28] · 2026年10月30日確認

  29. BAYFM 2024年11月10日 6G代表取材

    [29] · 2026年10月30日確認

  30. 厚生労働省 高気圧作業安全衛生規則

    [30] · 2026年10月30日確認

  31. 警視庁 古物営業の案内

    [31] · 2026年10月30日確認

  32. ALBA 2025年9月30日 回収業者取材(配信版)

    [32] · 2026年10月30日確認

  33. 日本銀行 2026年10月29日 外国為替市況

    [33] · 2026年10月30日確認

  34. 松尾・長谷山 2015年 高温及び高湿環境下におけるゴルフボールの劣化メカニズムと評価手法の開発

    [34] · 2026年10月30日確認

  35. Acushnet特許 US6806347 原公報PDF

    [35] · 2026年10月30日確認

  36. MyGolfSpy 泥付着・表面傷のロボット実験

    [36] · 2026年10月30日確認

  37. 研究者Savoca本人による海岸球の調査解説

    [37] · 2026年10月30日確認