芝の 線虫被害は、 黄化や 薄化だけで 判断できる?
芝病害虫・線虫
詳しい解説
芝を傷める植物寄生性線虫は根へ寄生するため、地上部では黄化、芝の薄化、生育不良、乾燥時のしおれなどが見られます。ただし、これらは水不足、過湿、栄養障害、根の病害などでも起こるため、見た目だけで線虫被害と確定することはできません。
USGAの線虫管理資料では、線虫が問題かを判断するには適切な採取と検査が必要だとしています。被害が疑われる場合、完全に枯れた場所ではなく、芝がまだ生育しているものの弱っている場所から土壌と根を採ります。完全に枯れた区域では餌となる根がなくなり、線虫数が減って実際の原因を過小評価することがあります。
1か所だけを大きく採るより、傷んだ区域から根の深さまで小さなコアを10〜20点ほど採り、まとめて一つの試料にする方法が推奨されています。比較のため、症状のない近接区域から別の試料を取ると、線虫密度と芝の状態の関係を判断しやすくなります。試料は乾燥・高温を避け、できるだけ早く線虫検査機関へ送ります。
採取時期も重要です。冬など芝の根がほとんど活動していない時期は、線虫が卵などの状態で越冬し、検査で検出される個体数が少なくなることがあります。USGAと大学の資料は、芝が活発に生育している時期に採る方が診断しやすいとしています。
検査結果の数字も単独では決め手になりません。線虫の種類、芝種、根域、季節、地域の基準によって、被害が出る密度は変わります。同じ密度でも健康な芝では症状が小さく、他のストレスが重なると被害が大きくなることがあります。そのため、線虫数だけでなく根の長さや分岐、土壌水分、施肥、病害なども合わせて評価します。
つまり線虫診断は「黄化したから線虫」と決める作業ではありません。症状と根を確認し、適切な場所・時期から複数点を採り、検査で種類と密度を確認して、他のストレス要因と切り分けるのが基本です。