ゴルフ百科事典

ゴルフ場のIPMは、農薬を使わない管理という意味?

病害虫・雑草管理/IPM

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まず答え

いいえ。IPM(総合的病害虫・雑草管理)は、農薬を全面的に使わない方法ではありません。監視と正確な同定を行い、被害を許容できない基準を超えたときに、耕種・物理・生物・化学的手段を組み合わせ、必要な農薬を適切に使う考え方です。

詳しい解説

IPMは「農薬ゼロ」と同じ意味ではありません。IPMは、病害虫や雑草を見つけるたびに自動的に薬剤散布するのではなく、発生状況を確認し、必要な対策を選ぶための意思決定の仕組みです。

米国EPAはIPMを、害虫の生態と環境を理解し、利用できる複数の防除手段を組み合わせて、費用と人・環境へのリスクを抑えながら被害を管理する方法と説明しています。基本には、①発生量を監視する、②対象を正しく同定する、③対策を始める基準を決める、④予防と複数の防除方法を使う、という流れがあります。

ゴルフ場では、この「対策を始める基準」が場所によって変わります。GCSAAのゴルフ場向け管理資料では、グリーン、フェアウェイ、ラフなど管理区域ごとに、どの程度の病害・害虫・雑草を許容するかを決める考え方が示されています。同じ雑草密度でも、グリーンとラフではプレーや見た目への影響が違うため、同じ基準にはなりません。

基準を超える前には、・品種の選択、や施肥・散水の調整、通気・排水改善、物理的除去などの方法で発生しにくい環境を作ります。それでも被害が許容範囲を超え、薬剤が有効で必要と判断されれば、IPMでも農薬を使います。重要なのは「使うか使わないか」の二択ではなく、対象・時期・場所を絞り、必要性を確認して使うことです。

したがってIPMは、有機管理や無農薬管理と同義ではありません。農薬を含む複数の手段を、監視結果と基準に基づいて組み合わせる管理です。評価するときは、年間散布回数だけでなく、監視、同定、予防、基準設定、散布後の再確認まで仕組み化されているかを見る必要があります。