ラウネシャフトの違いと選び方
i60・i75・i90・i105の振り心地と球筋を比較
7番は気持ちよく打てるのに、5番になると球が上がらない。かといって、楽に上がるシャフトへ替えると、今度はショートアイアンの距離が合わない。ラウネは、その両方が気になるときに試したいカーボンシャフトだ。
長い番手ではしなり戻りを使って球を上げ、短い番手では先の動きを抑える。実際に5番だけラウネへ替えた人からは、高さが出るうえに前へ押してくれる感触も報告されている。
重さはi60・i75・i90・i105の4種類。ただ軽い順、硬い順に並べるだけでは選びにくい。切り返しでどこがしなり、当たり際にどれだけ動くのか。重量帯と番手の両方から見ていこう。
国内メーカー資料と試打者本人の記述による比較。GOLF DNAによる全仕様の実打測定ではない。使用ヘッドや確認できた試打条件は末尾にまとめている。
5番を上げたい。でも、ショートアイアンは振ったぶんだけ飛ばしたい

ラウネのアイアン用は、番手ごとにカーボンの積み方を変えている。長い番手は中間から先の戻りを使って打ち出しを上げ、ショートアイアンは手元側にしなりを残しながら先端の動きを抑える設計だ。
ブリヂストン221CBで試したGolf Powersのレビューでも、ロングでは戻りの動きが大きく、ショートでは余計な動きを感じにくかったという。同じシリーズでも、5番の上げやすさと、短い番手の落ち着きの両方を見る意味がある。
先が走る感触が好きなら、長い番手は気持ちよく振り抜けるかもしれない。反対に、しなりを待つのが苦手なら、7番ではよくても5番で当たり方がばらつくことがある。セットを替える前に、長い番手でも一度打っておきたい。
i105は実際には110g超。モデル名の数字で重さを決めない
| モデル | R | S | X | トルク |
|---|---|---|---|---|
| i60 | 63g | 63g | 設定なし | 4.1° |
| i75 | 75g | 76g | 設定なし | 3.2° |
| i90 | 93g | 94g | 設定なし | 3.1° |
| i105 | 設定なし | 112g | 113g | 2.9° |
i105は、105gちょうどのシャフトではない。7番用のSは112gある。重いスチールから少し軽くしたい人と、大きく軽量化したい人では、i105とi90のどちらから試すかが変わる。
i60はRとSで公表重量が同じ63g。それでも試打では振り心地が違っている。重さが合っていそうなのに切り返しが窮屈なら、重量帯を変える前にフレックスを比べる余地がある。
i60・i75は、手元の張りが欲しいか、しなりを待ちたいか
吉田朋広の7番試打では、i75Sは手元に張りがあり、その先が戻るときに速さを感じたという。Rはもっと少ない力でしならせやすかった。i60もSのしっかりした感触と、Rの滑らかさに違いがあった。
| モデル | R | S |
|---|---|---|
| i60 | 穏やかにしなり、軽さを使って振れる感触 | 軽量でも手応えがあり、Rよりしっかり感じる |
| i75 | 切り返しで力まずしならせやすく、高い球が出た | 手元に張り。当たり際に中間から先が戻り、高さも出た |
軽くしたいから、まずi60。そう選びたくなるが、メーカー試打会でi60とi75を打った女性の一人は、i75の重さがある方が振りやすかったと話している。軽さに手で合わせにいくより、重さを感じて振る方が当たりやすかった例だ。
筒康博のi75試打にも、大きく滑らかにしなりながら高い球が出たという記述がある。今のアイアンで球を上げようと力んでしまう人は、同じ番手でi60とi75を打ち、力を抜いたときの打ち出しを比べたい。
i90は重さがあっても、切り返しで棒のようには感じなかった例
吉田が打ったi90Sは、切り返しから滑らかにしなり、7番の球も高かったという。Rでは手元のしなりがさらに大きく感じられた。重さは残したいが、Sでうまく間が取れないなら、i90Rも並べて打つ理由になる。
一方、試打後にi90S入りのP790(2023)を購入した「楽しいGOLF LIFE」のNaoは、5・6番でキャリーを出しやすく、短い番手では余計に飛ばないところを評価している。購入後3ラウンドを使った本人の感想だ。
i75Sの戻りの速さが心地よい人もいれば、i90の重さがあった方が振り急がずに済む人もいる。i90を打つときは、重いか軽いかだけでなく、トップから手を下ろすまでにひと呼吸置けるかを確かめたい。
i105のSとX。重さは近くても、手応えまで同じではない
i105Sについて吉田は、手元と先端のしっかりした感触を挙げ、振り幅を抑えたショットでも距離を打ち分けやすいと評価している。Xでは手元の強さがさらに目立ったという。112gと113gの1g差だけで選べる二本ではなかった。
ただ、Xだからどの番手でもしならない、とも限らない。スポーツINGの鈴木は、低くなっていた5番をi105Xに替え、中元側がゆっくりしなる感触と、球の上がりやすさを報告している。6番以下にはDGを使っていた人の例だ。
この二つの試打は、番手も打者も条件が違う。i105XをDGのS200と同じ硬さだと換算する材料にはならないが、重いスチールの感触を残しつつ5番を上げたい人には、試す動機になる。
i105Sで球が上がり、距離を抑えた球も打てるなら、そのまま残していい。Xへ替えたときに、しなりを出そうとして切り返しを強くするようなら、硬くしたことが自分のショットに役立っているかを見直したい。
5番だけ替えた試打では、高さに加えて前へ進む感触もあった
野村タケオは、レックス&レジーナの5番・24度へi90Sを装着してコースで試している。手元は少ししっかり、中間がしなり、当たり際に先がわずかに動いて球を拾う感触だったという。
出た球も、ただ上へ浮く感じではなかった。高さが出ながら前へ押す感触があり、それまで高さと距離が足りなかった5番を振り切りやすくなったと書いている。
この使い方なら、最初からセット全部を替える必要はない。5番だけ上がらない人は、その番手のラウネと今の6番を続けて打ち、キャリーの間隔が戻るかを見たい。5番を打ちやすくすることと、6番との距離差を作れることは、両方確かめておきたい。
セットで替える人は、7番に加えて9番やPWでも試そう。長い番手で使いやすかった戻りの動きが、短い番手ではどう変わるか。フルショットだけでなく、少し抑えた球でも狙った距離に運べるかが選びどころになる。
トラヴィルとの違いは、同じヘッドで感じた「重さの場所」から
永井延宏がKP-109の7番・31度でシャフトを替えた試打では、トラヴィル95Sは先の方に重さを感じ、厚く打ち込みやすいと評価している。ラウネi90Sでは中間のしなやかさを感じ、余計に動き過ぎず、距離を合わせやすかったという。
この例なら、トラヴィルはヘッドを下ろして打ち込む手応え、ラウネは中間のたわみを感じながら振る心地よさを比べる入口になる。両者とも高い球を狙う候補なので、高さだけで決めず、どちらで打点とキャリーが揃うかも見たい。
Golf Powersにも、ラウネの方がしなりを大きく感じたという比較がある。ただし、そちらは両製品の重量・フレックスが明確でない。ラウネ全仕様がトラヴィル全仕様より軟らかい、という並べ方はしない。
MCIと迷うなら、重さを近づけてから当たり際を比べる
| ラウネ | 新MCI | トラヴィル |
|---|---|---|
| i75S:76g | 70S:75g | 75S:77g |
| i90S:94g | 90S:96g | 95S:99g |
| i105S:112g | 100S:106g | 105S:108g |
ラウネと新MCIを同じヘッド・同じ長さで打ち比べた十分な資料は、今回確認できなかった。表は試打候補を絞るためのもので、球の高さや方向性の順位ではない。
新MCIの本人試打には、80Sで当たり際の先の動き、90Sでその動きの少なさを感じた例がある。ラウネでもi75Sとi90Sは同じ感触とは限らない。「MCIとラウネ」の二択で終わらせず、どの重量・フレックスを比べるかまで揃えて打ちたい。
ユニタイズ、ハイブリッド、ウェッジは別に確認したい
ここまで比べたi60・i75・i90・i105は、番手別のテーパータイプ。名前にuが付くi60u・i75u・i90uは、チップを調整して組むユニタイズだ。同じi90の数字でも、番手別シャフトの公表重量や振り心地をそのまま写せない。
h45〜h85はハイブリッド用、w85・w100・w115はウェッジ用。アイアンのi105とウェッジのw115を、同じ設計の重さ違いとして並べないようにしたい。
ラウネは番手ごとの動き方を狙っているので、番手ずらしをする場合も、普通のRとSの中間になるだけとは考えない方がいい。まず標準の組み方で打ち、長い番手と短い番手の両方が合うかを工房と相談したい。
最初は二本と二つの番手で、今の不満が変わるかを見る
以下は、本人試打を踏まえたGOLF DNAの比較提案。ヘッドスピードだけで仕様を割り当てず、今のアイアンで困っている球を基準に二本を選びたい。
| いまの悩み | 比べる候補 | 見るところ |
|---|---|---|
| 軽くしたいが、軽いクラブだと振り急ぐ | i60とi75の同フレックス | 少し重い方が切り返しを待てて、打点が揃うか |
| i75Sの切り返しが窮屈 | i75Sとi75R | Rで力を抜いたときに、高さと左右がどう変わるか |
| 重いスチールから替えたい | i90Sとi105S | 最後まで振れる重さと、抑えたショットの距離感 |
| 5番が低く、6番と飛距離が変わらない | 現在の5番と、近い重さのラウネ5番用 | 高さだけでなく6番とのキャリー差。9番やPWの使いやすさも確認 |
| ラウネかトラヴィルか迷う | i90Sとトラヴィル95Sなど | 中間のたわみとヘッド側の重さの感じ方。打点と前後の散り方 |
試打の7番がよくても、悩んでいるのが5番なら5番を打って決めたい。逆に、短い番手の距離感が一番大事なら、9番やPWを省かない。ラウネの番手別設計が自分に役立つかは、その二つを打つと分かりやすい。
よくある疑問
ラウネのi60・i75・i90・i105は何が違う?
重量帯に加え、フレックスの構成が違う。i60〜i90はR/S、i105はS/X。i75Sの手元の張りやi90Sの滑らかさなど、本人試打の感触にも違いがある。
i105の重量は105g?
メーカー発売資料の7番用ではS112g、X113g。数字はモデル名で、完成クラブの重量でもない。
i90のRとSはどちらがつかまる?
同じ人が打っても切り返しの合わせ方で変わる。吉田朋広の試打ではRの手元のしなりが大きかったが、それだけで全員の左右の球筋は決まらない。今のSと交互に打って外れる球も見たい。
i105XはDG S200と同じ硬さ?
一般的な換算はできない。5番にi105Xを装着してしなりを感じた本人例はあるが、打者や番手、ヘッド、長さが違えば印象も変わる。
5番だけラウネに替えてもいい?
野村タケオが5番・24度にi90Sを装着した試打例がある。高さと振り切りやすさを得られたという。自分が替えるときは6番との距離差や振り心地のつながりも確かめたい。
ラウネとトラヴィルはどちらが高く上がる?
全仕様での順位は付けられない。ラウネにもトラヴィルにも高い球の例があり、ヘッドと仕様を近づけ、打ち出しだけでなくキャリーと落ち方を比べたい。
ラウネのユニタイズは通常のi90と同じ?
別仕様。i90uなどはチップのトリミングで組むパラレルタイプで、通常i90は番手別のテーパータイプ。同じ数字でも重量や組み方が違う。
7番だけ試せばセットを選べる?
7番で候補を絞ることはできるが、ラウネの特徴は番手別の動き。5番や6番の上げやすさと、9番やPWで距離を抑えた球の両方を試したい。