文献研究 v1.0 · 2026年10月25日公開
GD RESEARCH · アイアン · 研究本編
アイアンの狙い方とホールアウトまでの打数:距離・ライ・技量別データの比較
距離・ライ・技量別の捕捉と近接、外した後の打数から、狙いを比較する
ゴルフの科学 · 国内外のプロ・技量別アマの公表成績と文献

公表統計と文献を比較した研究資料です。GDによる新規の選手測定や、査読済み論文ではありません。
国内アマの距離×実ライ別全分布とLPGA2025通年の距離別近接は未取得。海外の数値や途中値を、国内実測・通年実績へ読み替えていません。
研究本編の目次
要旨
グリーンを狙う一打を、乗ったかどうかだけで評価すると、止まった場所の違いが抜ける。ピンまで同じ距離でも、芝の上、砂の中、使えるグリーン面の少ない側では、次に打つ球が違う。本研究は、距離・ライ・技量別の公表成績と、ホールアウトまでの打数を整理し、アイアンの狙いを考えるための条件を示す。
PGA TOURの2025年公式表では、150〜175ydの平均近接距離はFW等8.56m、ラフ13.69m。Shot Scopeの130〜150yd・全ライ集計では、HC0のグリーン捕捉率61.7%・平均総打数3.13打に対し、HC20は20.2%・3.94打だった。距離、出発ライ、技量区分で成績が異なる一方、この差は同一条件で狙いだけを変更した実験結果ではない。
狙いとクラブを比較するには、結果地点の確率と、そこからの残り打数の両方が要る。平均近接距離だけから二次元の散布や池に入る率は復元できない。数値の図は公表値と計算を分け、グリーン上の狙いを動かす図は位置関係だけを説明する模式図とした。国内アマの技量×距離×実ライ別全分布、LPGA2025通年の距離別近接、同一選手の狙いからホールアウトまでの個票は未取得として残す。
本稿は公表統計と文献を比較した研究資料で、GDが新たに選手を測定した調査や査読済み論文ではない。数値の確認日は2026年10月24〜25日。出典と対象/出典と対象
1.対象・方法・数値の区分
主対象はグリーンを狙う100〜220yd程度の一打。比較用に75〜225ydを含め、PGA TOUR・LPGA Tour・JGTO・JLPGA、技量別アマの公開資料を探索した。男子・女子、国内・海外を混ぜた一つの平均は作らない。7番アイアンという番手より、残距離と出発ライを優先する。番手が同じでもロフト、キャリー、必要な力感が揃わないためである。
一次資料は公式ツアーの統計と定義、追跡サービスの原冊子、査読研究の本文・著者公開資料を優先した。距離帯の境界は原典の表記を保持し、帯を任意の一点にしない。1yd=0.9144m、1ft=0.3048m、1in=0.0254m。図のmは換算値で、測定の精度を小数桁まで保証するものではない。
| 区分 | 対象 | 解釈 |
|---|---|---|
| 公表実戦集計 | ツアー公式値、Shot Scopeの表 | その採録条件と利用者・選手の範囲での成績 |
| GD再集計 | 掲載行の成功数÷機会数など | 公式ツアー平均と同一とは限らない |
| 管理実験・個人計測 | レンジ、人工的に揃えた条件、特定の人 | 一般アマの実戦分布へ広げない |
| 著者推定 | 過去実戦データに当てはめた期待打数 | 現在の実測値や本人の成績ではない |
| GD条件付き計算 | 入力と仮定を明記した算術例 | 狙い変更や練習による介入効果ではない |
| 説明図 | 仮のグリーンと仮のズレ | 球数・捕捉率・最適な狙いを推定しない |
同じ選手が複数の指標に載っても別人として数えない。連続した球は風やその日の調子を共有する。選手数と球数、個人内と個人間のばらつきを区別する。機器利用者の集計を全ゴルファーの代表標本とした信頼区間も作っていない。
2.PGA TOUR:2025年の距離・ライ別近接
距離帯6つ、FW等とラフの12指標について、公式の2025年年間表を用いた。集計終期の表示はThrough Week Ending 12-29-2025。年度と採録条件は各指標の表示・定義に従った。
図は公式表示のTour Averageで、掲載180人から再計算した平均へ置き換えていない。例えば150〜175ydのFW等は、掲載180人の28,083試行の合計から加重すると27.8909ftとなる一方、公式平均は28ft1in。掲載対象と公式平均の対象・処理が同じとは限らないので、別の値として保持した。
75〜100ydと100〜125ydのFW側はfairway。125〜150yd以遠はfairwayまたはPar3のtee boxを含む。全距離帯を純粋な地面からのFW対ラフ比較と呼ばない。ラフには軽い/深いの区分がない。
近接距離には出発・終了条件がある。距離別指標はショットがグリーン上・周辺・ホール内などで終わったものを採録する。総合近接の周辺はグリーン縁30yd以内とされるが、距離別についても個々の定義を保存した。全ての重大ミスを含む停止分布でも、乗った球だけの平均でもない。 平均8.56mを「半径8.56mに全て収まる」と読んではいけない。
同じ原表から左右の符号、狙い位置、共分散、80%包含域、池・OBの率は得られない。平均だけから正規分布を仮定し、プロやHC別の実測楕円として表示することは避けた。公式統計と採録条件
距離・ライ別に残るピン距離
公式Tour Average。125yd以上のFW等はパー3ティーを含む。グリーン上・周辺など採録条件を満たす球の平均で、全打球の散布幅ではありません。出典と定義 →
3.捕捉率、GIR、ホール成績は別の指標
GIRは打順を含むホール単位の指標である。Par3なら第1打、Par4なら第2打、Par5なら第3打までにグリーンを捉える。対して、残り140ydからの一打でグリーンに乗った率は、そのショットからの捕捉率。Par4の第3打から乗っても、その一打は成功だがGIRにはならない。
PGA2025の「FWを捉えた後のGIR」は公式77.52%、「ティーショットがFWバンカーに止まった後」は46.9%。これは同じ距離の球をFWと砂に置き替えた試験ではなく、特定距離からの一打の捕捉率でもない。バンカーの顎や距離、脱出を優先した球は分かれない。FW後のGIR/FWバンカー後のGIR
150〜175ydのRTP(対パー平均)はFW等−0.035、ラフ+0.186。これはホールの最終成績で、外した地点からの残り打数ではない。打順、Par3の混在、対象ショットの条件が違うため、差の0.221打を「ラフへ行く罰」とすることもできない。FW等RTP/ラフRTP
同じ成功率でも、成功後のパット距離と失敗後の状態が異なれば平均打数は変わる。捕捉率は狙いを考える入口にはなるが、それだけで打数への効果まで決まる指標ではない。
4.海外アマ:130〜150ydの捕捉と総打数
Shot Scopeの原冊子はHC0・5・10・15・20・25を分け、130〜150yd・全ライからのGreens Hitとホールアウトまでの平均打数を併記する。集計年、国・男女の内訳、各セルの人数・球数、HCの厳密な範囲は非公表。日本の2025年平均や、全ての初心者の代表値とはしない。
HC0は捕捉61.7%・3.13打、HC10は38.6%・3.52打、HC20は20.2%・3.94打。距離帯が同じでも、球が乗る頻度とその後の成績には違いがある。各列が厳密に同じショット集合・重みかどうかは、公開個票では確認できない。
同冊子のPar3・150〜200ydは別の表で、HC0のGIR51%・平均近接41ft(12.50m)、HC10は30%・66ft(20.12m)、HC20は17%・100ft(30.48m)。ティーショットと地面からの一打を混ぜず、130〜150yd全ライの表と接合しない。
冊子にはFROM150YDSのショート/オーバー割合もあるが、本文にはwithin150ydという記述がある。130〜150yd表と選定条件が一致するとは限らない。手前・奥・左右を足して一つの停止分布にはしていない。原冊子PDF8〜9頁
Arccosはグリーン捕捉が50%となる距離として、HC20=92yd、15=110yd、10=129yd、5=147yd、scratch=165ydを公表する。ライを固定した表記はないため、FWだけの値とは呼ばない。距離の意味を確認する比較資料として使い、上の表の未取得セルを埋める値にはしない。出典と対象
130〜150ydからの捕捉率と総打数
Shot Scope、130〜150yd・全ライ。右列は現在の一打からの平均総打数。国・男女・集計年・各セルの球数は非公表。日本のアマ平均ではありません。出典と定義 →
5.長いアイアンとハイブリッド
同じShot Scope冊子の175ydでは、HC20のグリーン捕捉はアイアン8%、ハイブリッド14%。200ydでは4%と6%。一方でHC0の175ydはアイアン46%、ハイブリッド44%で、全ての区分・距離でハイブリッドが上という表ではない。
| HC区分 | 175ydアイアン | 175ydハイブリッド | 200ydアイアン | 200ydハイブリッド |
|---|---|---|---|---|
| 0 | 46% | 44% | 30% | 32% |
| 5 | 31% | 33% | 17% | 21% |
| 10 | 22% | 25% | 14% | 19% |
| 15 | 14% | 18% | 6% | 9% |
| 20 | 8% | 14% | 4% | 6% |
| 25 | 2% | 8% | 1% | 2% |
クラブは無作為に割り当てられていない。持っている人、使うライ、クラブのロフトや狙いが揃わないため、持ち替えるだけでこの差が得られるとは言えない。セルNと検定の詳細もなく、有意差や改善率はGDでは算出していない。
自分の比較で必要なのは、必要なキャリーを越えるかと、止まる距離・左右の裾がどう変わるか。同じ175ydでも、手前を越えるだけでよい球と、奥へ転がってほしくない球は違う。番手の名前ではなく、その場面で残る球を比べたい。これはGDの比較の提案で、上の観察差から確定した練習処方ではない。出典と対象
6.国内アマと国内プロ:確認できた範囲
国内の計測例として、樋口建氏はTrackManで9クラブ・計285球を打ち、クラブを頻繁に替えながら分布を記録している。公開図の平均総距離は7I153.1yd、5I154.3yd、6I155.3yd。番手間で平均距離がほとんど変わらないという、その人の実例である。キャリーの平均や、一般アマ全体の番手差ではない。
同図にはsigmaと左右の偏りも表示されるが、sigmaの方向・分母・包含率の定義が分からない。左右σや90%幅へ変換せず、国内アマの技量別分布の入力には使わなかった。ライと傾斜の補正、10,400球のサンプリングは著者のモデルで、実ラフで10,400球を測ったという意味ではない。実戦確認も1ラウンドのため、過去平均との差を介入効果にはしない。出典と対象
国内の大学生18人のアイアン実験は、最低5試行から自己評価の高い3球を選ぶ。クラブ間のスイング比較には使えても、重大ミスを含む全打球の散布にはならない。人数・球数・採録法を確認できなかった国内施設のHC別σ表も、計算入力から除外した。国内アマの技量×距離×実ライ別の全停止分布は未取得であり、海外の値を国内実測へ置き換えていない。出典と対象
国内プロは2025年の年間GIRを確保した。JGTO掲載103人の成功79,418/機会117,846を合計すると67.39%。JLPGAは公式データ246人のうち規定対象92人の掲載率の単純平均67.94%。前者は掲載者の機会加重再集計、後者は率の単純平均で、同じ平均方法ではない。JLPGAの丸め率から整数の成功数を実測として作ることはしていない。いずれも距離・ライ別の散布表ではない。出典と対象/出典と対象
7.LPGA:通年GIRと途中の近接距離
2025年・大会未選択の公式表から、全体GIR154人、FW後GIR154人、非FW後GIR200人を採録した。各表の分子・分母からのGD再集計は、全体115,497/165,762=69.68%、FW後70,734/91,683=77.15%、非FW後19,256/38,577=49.92%。公式Tour Averageの表示値とは区別する。
3表の共通掲載者152人に揃えた場合は、全体69.74%、FW後77.21%、非FW後50.28%。名前で照合した共通掲載者であり、距離とショットを対応させた比較ではない。FW後と非FW後はPar3を除き、非FWはラフ以外も含む。出典と対象
距離別近接はKPMGの公式大会前資料から4帯の途中値を確認した。100〜125ydはMexico前、125〜150ydはCPKC前、150〜175ydはPortland前、175〜200ydはFM前。公表時点が違うため、この4行を2025通年の距離別曲線にはしない。各表に開始ライ、セルN、重大ミスの採録条件はなく、PGAの定義を自動的に適用していない。
最終戦CMEの大会前資料にも竹田麗央の150〜175yd近接28ft0in(8.53m)・4位が載る。これは最終戦前の個人成績で、ツアー平均や通年確定値ではない。
通年平均を復元するには、途中までと残り期間の球数・ピン距離合計が必要になる。未取得の分子・分母を欠くため、途中平均の単純平均やGIRからの逆算は行わなかった。2025通年の距離別近接は未取得と記す。
前年値にも不一致がある。2025HSBC資料は2024年150〜175yd平均を31ft9in、2025Founders CupのR1資料は30ft1inとする。訂正や対象差を確認できないため、どちらかを正解にして前年差を作らない。原資料の表記と不一致を保持した。HSBC資料/Founders資料
LPGAの距離別近接:4つの途中値
全て2025年の途中値。公表時点が違う4行をつないで、通年の距離別成績にはしません。
6.71m22ft 0in
8.59m28ft 2in
10.52m34ft 6in
13.03m42ft 9in
開始ライ・球数・採録条件は各掲載表に未記載。2025通年近接は未取得。出典と定義 →
8.ピン基準の誤差と、狙い基準の誤差
狙いを右へずらして打ち、狙った場所に止まった球は、ピン基準では右へのズレになる。その記録だけを見て、右に曲がる癖と判断することはできない。
ピン位置をp、狙い位置をa、停止位置をzとすると、位置ベクトルの関係は 「z−p=(a−p)+(z−a)」。これは距離の大きさを足す式ではない。実戦のピン距離には、意図した狙いと打球の誤差が混ざっている。
全幅、標準偏差、平均絶対誤差、平均半径、特定の20球の最大最小は違う。平均ピン距離だけから前後左右の分散・共分散・95%域を求めることはできない。重いミスを除外した分布を、全ショットの分布としても使わない。
下の図は、幅32yd・奥行き28ydという仮の長方形グリーンと、4つの仮のズレを使う。同じズレのまま狙いだけを移すと、球が止まる場所の種類がどう変わるかを示す。4球を等確率の標本とはせず、捕捉率、池率、平均打数や最適点は算出しない。ライ・狙いを変えても誤差が同じ、という条件も説明のための仮定である。
狙いを動かすと、同じズレはどこへ出るか
説明用の仮のグリーンは幅32yd・奥行き28yd。4つの仮のズレを固定し、狙いだけを動かします。観測した球や確率分布ではありません。
狙いを選ぶ
- 1左・手前へのズレ → 池
図上のピン距離11.7yd(10.7m)
次は救済方法に応じた地点から。罰打も別に数える。
- 2右へのズレ → グリーン
ピンまで10.0yd(9.2m)
通常はパット。残る距離も比べる。
- 3大きなショート → グリーン
ピンまで17.0yd(15.5m)
通常はパット。残る距離も比べる。
- 4奥へのズレ → ラフ
ピンまで14.0yd(12.8m)
次はラフから。球の沈み方と使える面を見る。
左への同じズレが、狙いを中央へ動かすと池からグリーンへ変わる。一方、右へ寄せすぎれば右のラフが近づく。
点線は狙いと停止点の対応で、弾道ではありません。残距離は仮の座標からの幾何学計算。4点を等確率とせず、捕捉率・池率・平均打数や最適点は計算しません。ライと狙いを変えてもズレが同じ、という説明用の仮定を置いています。
9.距離・ラフ条件を揃えた実験から何が分かるか
RobertsonらのApproach-Iron Skill Testはelite26人と高水準アマ23人を比較する。Eliteにはプロと豪州代表アマが混ざる。55〜165mの9目標に27球を2回、1人54球。未記録の試行はやり直し、レンジ球のキャリーを平面に補正して評価する。跳ねやランを含むコースの最終停止位置ではない。
Table IIの技能得点はeliteが第1回56.3±5.6、第2回58.5±4.6、高水準アマが46.0±6.7、46.1±6.3。抄録ではアマのSDの順が異なるため、Table IIの値として記録した。これらはPEI技能得点で、GIRや距離別σへ変換しない。Figure2の検証済み数値原表は未取得。出典と対象
Strunkらのラフ実験は男性2人、scratchとUSGA index8を対象とする。3芝種・刈高11条件で7Iを各5球。index8を一般的な高HC集団と呼ばない。著者解説には同じ3インチの芝から189ydと161ydの球が出た例があり、刈高だけで一律に距離損失を置けないことが分かる。ただし、この2球からフライヤー率は求められない。
露出80%で−1.8yd、60%で−4.1ydという値は著者の回帰モデルによる予測で、全ゴルファーの観測平均ではない。国内の高麗芝、傾斜、濡れた条件、打点の違いまでを同じ表で確認したものでもない。出典と対象/著者解説
「必ず一番手大きく」で済ませると、届かなかった球だけでなく、奥まで出る球も動く。実験が扱う露出や芝を確認し、自分の通常の球と大きなミスを両方含めて番手を比較する必要がある。
10.捕捉率と平均打数を結ぶ条件付き計算
捕捉率をp、乗った後の平均残り打数をG、外した後をMとすると、現在の一打を1回だけ含む平均総打数Eは 「E=1+pG+(1−p)M」 となる。乗った球と外れた球を分ける恒等式である。
Shot Scopeの130〜150yd・HC10欄からp=0.386、E=3.52を使う。ただし、公表されたpとEが同じ試行集合・重みを表し、現在の一打を含むという条件を置く。個票で確認できたわけではない。
Gが未公表なので、GDの仮定として1.6/1.8/2.0/2.2打を動かす。すると 「M=(E−1−pG)/(1−p)」 でMが逆算される。このMは実測を回収した値ではない。1.8打は古いPGAの16ftベンチマークと対応するが、HC10の平均として借りた実測値ではない。
さらにpだけを10ポイント増やし、G・M・ペナルティ・距離・能力を固定すると、総打数の減少は0.052〜0.150打になる。同じ捕捉率増加でも、乗った後と外した後の差で計算結果が違う。
この幅は信頼区間でも改善予測範囲でもない。実戦で狙いを変更すれば、乗った後の距離、外し先、罰打の割合も変わり得る。捕捉率だけが変わるという仮定は説明用である。6HC区分×4仮定の24例をデータ付録に保存し、元のEへ戻る恒等式と差分を検算した。乱数や二次元の推定散布は使っていない。
捕捉率だけを10ポイント増やす仮定
HC10欄の捕捉率38.6%と平均総打数3.52打を入力。捕捉率だけ48.6%へ変え、乗った後・外した後の平均コストを固定します。
- 乗った後 G:仮定
- 1.6打
- 外した後 M:逆算
- 3.098打
条件付きの減少0.150打
- 乗った後 G:仮定
- 1.8打
- 外した後 M:逆算
- 2.973打
条件付きの減少0.117打
- 乗った後 G:仮定
- 2.0打
- 外した後 M:逆算
- 2.847打
条件付きの減少0.085打
- 乗った後 G:仮定
- 2.2打
- 外した後 M:逆算
- 2.721打
条件付きの減少0.052打
E=1+pG+(1−p)M。元表のpとEが同じ試行集合・重みを表すことも仮定。逆算したMは実測ではありません。感度の幅であり、信頼区間や改善予測ではありません。
11.外した場所からの打数を比べる
BroadieのTable9は2003〜2010年のPGA実戦800万打超から推定した期待打数を示す。残距離とライを指定した状態のベンチマークで、2025年の生の平均や国内アマの成績ではない。
20ydの砂は2.53打、30ydのFWは2.52打。残距離が10yd短い前者が、打数でも有利とは限らない。30ydのラフは2.70打で、同じ距離のFW2.52打とは違う。砂とラフの順序も距離で変わるので、「砂はいつも何打悪い」と一定の加点にはしない。
ただし、この表は顎、砂質、使えるグリーン面、奥からの下りや次のパットの傾斜を分けない。ショートサイドを一律にrecoveryへ置き換えることもできない。0.01打という丸められた推定値の差を、現実の優劣として識別できるという意味でもない。Table9の対象と原著
外した後の実戦成績にはスクランブリングもある。先行のアプローチ研究から、PGA2025公式58.52%、LPGA2025掲載154人の28,266/50,283=56.21%などを参照できる。これはGIRを外したホールでのパー以下の率で、任意のラフから2打以内で上がる率ではない。砂からの率、近接距離、平均残り打数とも別の指標である。アプローチ研究の本編
別集団・別年の「乗る率」「寄る率」「入る率」を掛けても、同じ人のホールアウト成績にはならない。本稿の条件付き計算は、その不足を隠さず、仮定を置いた場合の結果として分ける。
外した場所から、あと何打かかるか
| 残距離 | FW | ラフ | 砂 |
|---|---|---|---|
| 10yd 9.1m | 2.18 | 2.34 | 2.43 |
| 20yd 18.3m | 2.40 | 2.59 | 2.53 |
| 30yd 27.4m | 2.52 | 2.70 | 2.66 |
| 40yd 36.6m | 2.60 | 2.78 | 2.82 |
単位:打。Broadie、2003〜2010年PGAデータ由来の推定。2025年の実測やアマの値ではありません。顎、砂質、奥からの下りなどは非分離。出典と定義 →
12.狙いを比較する三場面と、状態遷移
左に池、左寄りのピンがある150ydのFWでは、ピン・中央・右寄せを比べる。同じ左へのズレが、どこから池になるかは狙いで変わる。ただし、実際の池率には狙い基準の全散布が必要で、平均近接だけでは求められない。
手前に砂、奥に難しい寄せが残る170ydのラフでは、手前を越えることと奥へ外さないことを一緒に見る。通常番手と一番手変更では、平均だけでなく前後の裾、フライヤー、最終停止位置が必要になる。一定の距離損失を足しただけでは、この比較を解けない。
奥ピンの130ydでは、奥へのミスを避ける代わりに長いパットが残る。中央を狙う価値は、その長いパットと奥からの寄せをどう評価するかによって変わる。残距離とライだけの粗い期待打数表では、下りや使える面の差が抜ける。
一般形は 「E(s,a)=1+ΣP(s′,k|s,a){k+V(s′)}」。sは打つ前の状態、aは狙いとクラブ、s′は次にプレーを再開する状態、kは追加打罰。実打1打は最初に1回だけ数える。OBなら打ち直し前の元の状態、ペナルティエリアで救済するなら救済地点からのVを用い、罰打や打ち直しを二重計上しない。
この3場面の技量別最適点は、今回の資料からは確定していない。現実の成功率が未取得のまま、図の4球を4等分して25%ずつ割り当てることもしない。
13.自分の狙いを検討する記録と限界
以下はGDの測定案であり、効果が比較試験で確かめられた練習処方ではない。最初は通常の7Iなど1クラブを、異なる日に少量ずつ合計30球程度から記録する。30球は始めるための運用上の目安で、95%域や事故確率を十分な精度で推定できる保証ではない。
記録するのは、狙い位置と目標線、残距離、打順、クラブとロフト、持ち方、出発ライ、足場、風。結果はキャリー着地点と最終停止位置を分ける。全てのミス、未計測、罰打と救済地点も残す。良い球だけ抜くと、危険を避けるために知りたい裾が消える。
コースでは、止まったライ、ピンまで使える面、残距離、そこから何打で上がったかも記録する。狙いを変えた比較をするなら、先に比較条件を決め、結果を見てよい球だけを選ばない。同じ日の反復球を別人の標本として扱わず、別の日・別のピンでも確かめる。
本研究の限界は、国内の共通実測分布、女子ツアー通年の距離別近接、狙いからホールアウトまでの同一群記録が不足していること。サービス利用者の選択、未計測の重大ミス、年度とライの不一致もある。事前ランキングで定めたトッププロの共通集団は組んでいない。指標上位の数人をトッププロ一般の平均にしたり、scratchを競技実績で定めたトップアマへ読み替えたりしない。
結論として、乗る率、止まる場所、その後の打数を分けて読むことはできる。自分が狙う一打では、届く距離の見込みだけでなく、ずれた先から何を打つかまで並べたい。公開表から確かめられる比較と、個人の記録が必要な判断を、ここで混ぜない。
データ付録
公表された成績と、仮定を置いた計算
公表集計には対象年・ライ・採録条件を添えました。GDの計算は別ファイルです。個別ランキング全行や原著PDF、生ショットデータは再配布していません。
グリーンの狙いを動かす図は、仮の座標を使う説明図です。測定された散布や成功確率、最適点を示していません。距離別近接の平均から散布を作り足す計算も行っていません。
出典と対象範囲
照合:2026年10月24〜25日。年度選択のある公式統計は2025年を参照。男女・国・年度の異なる資料を一つの母集団として合算していません。
- PGA TOUR 2025 距離別近接・GIR・RTP →
公式年度2025。近接はon/around等の採録条件あり。125yd以上のFW等はPar3ティーを含む。
- Shot Scope Data Booklet →
PDF8–9頁。HCは提供元区分。国・男女・集計年・各セルNは非公表。
- LPGA Approach the Green 年度2025 →
原表ごと掲載対象が異なる。通年GIRと距離別近接は別。
- JGTO 2025 パーオン率 →
103掲載選手の成功数・機会数からGD再集計。全出場者平均ではない。
- JLPGA 2025 パーオン率 →
公式公開データの規定対象92人。成功数は未取得。
- Broadie(2011)Assessing Golfer Performance on the PGA TOUR →
2003–2010年の800万打超からの推定。Table9、印刷31頁。2025実測ではない。
- Robertsonほか(2013)Development and validation of the Approach-Iron Skill Test →
Elite26人はプロ・豪州代表アマの混合、高水準アマ23人。27球×2回。原図の検証済み点データは未取得。
- Strunkほか Golf ball lie and shot performance →
男性2人(scratchとUSGA index8)。3芝種・刈高11条件・各5球の7I実験。一般アマや日本のラフへ一般化しない。
- 著者解説 Golf ball lie, mowing height and shot execution →
露出率と飛距離の数値は著者回帰モデル。全ゴルファーの観測平均ではない。
- 樋口建(2026)AIを使ってデータドリブンにゴルフしてみる →
1人9クラブ285球。図のsigmaの軸・定義は未確認。実戦は1回で介入効果は未確定。
- 柏木ほか シングルレングス/従来型アイアンの実験 →
大学生18人。最低5回から自己評価の高い3球を選別。一般アマの全散布には代用しない。
- Arccos グリーン捕捉50%となる距離 →
HC20=92、15=110、10=129、5=147、scratch165yd。ライ非明示。
- LPGA/KPMG(2025)Mexico Riviera Maya Open 大会前資料 →
2025年5月、大会前。厳密な集計締切は非公表。PDF4頁、100〜125yd近接。
- LPGA/KPMG(2025)Portland Classic 大会前資料 →
2025年8月、大会前。厳密な集計締切は非公表。PDF4頁、150〜175yd近接。
- LPGA/KPMG(2025)CPKC Women’s Open 大会前資料 →
2025年8月、大会前。厳密な集計締切は非公表。PDF7頁、125〜150yd近接。選手名のRise Zhangは原文表記を保持。
- LPGA/KPMG(2025)FM Championship 大会前資料 →
2025年8月、大会前。厳密な集計締切は非公表。PDF2頁、175〜200yd近接。
- LPGA/KPMG(2025)CME Group Tour Championship 大会前資料 →
2025年11月、大会前。厳密な集計締切は非公表。PDF4頁、竹田麗央の150〜175yd近接。通年確定値ではない。
- LPGA/KPMG(2025)Founders Cup 第1ラウンド資料 →
2025年2月。PDF2頁、前年2024年の150〜175yd平均を30ft1inと記載。HSBC資料との不一致を保留。