運動学習・保持/転移
ドリルで良くなっても、本番で元に戻るのはなぜ?
ドリル中の改善は、その場の成績が上がっただけで、動きが保持・転移したとは限らないからです。誇張動作、補助、反復、強いキューなどがある間は良くても、それを外した通常球や時間を空けた球、コース条件で再現できなければ、学習はまだ定着途中です。
ドリル中に球が良くなっても、本番で元に戻ることは珍しくありません。理由は、練習中に見える「その場の成績」と、あとから自力で再現できる「学習」は同じではないからです。
ドリルでは、動きを誇張したり、補助具を使ったり、同じ条件を繰り返したり、特定のキューへ強く注意を向けたりします。こうした条件は狙った動きを出しやすくする一方、その支えを外すと効果が薄れることがあります。フィードバックや補助が多いほど必ず悪いわけではありませんが、それがある間だけ成功しているなら、まだ自力で再現できる状態とは言えません。
さらにコースでは、クラブ、距離、ライ、風、狙い、待ち時間、プレッシャーなどが毎回変わります。練習場の一つの条件で出せた動きを、別の条件でも使えるようにする「転移」が必要です。ゴルフの運動学習研究でも、練習中の短期的な改善を、そのまま長期的な上達とみなさないことが重要とされています。
判断するときは、まずドリルを外した通常球で変化が残るかを見る。次に時間を空けても残るか、さらに番手・距離・目標などを変えても使えるかを確認します。ドリル中だけ毎回良く、通常球や翌日には毎回消えるなら、そのドリルが完全に無効とは限りませんが、少なくとも「身についた」とはまだ言えません。
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